電気・機械技術者の転職では、転職サイトを使うと無料で様々なサービスを受けながら転職活動を行うことができます。転職エージェントを使えば、年収や待遇などを含めて満足できる転職につながりやすいです。
しかし転職サイトは使い方を間違えると、なかなか転職が決まらなかったり、不幸な転職をしたりすることになります。これは、事前に転職サイトの特徴を理解していなかったり、転職エージェントサービスの仕組みを知らなかったりすることで起こります。
そこで転職エージェントごとの特徴を事前に確認・把握しておくことで、転職で失敗するのを防ぐことが可能です。
ここでは転職サイトを使うメリット、転職サイトの特徴・活用方法に触れ、さらには口コミや評判に優れた転職エージェントを紹介します。
もくじ
転職サイトを使うメリットを理解する
実際に転職するときに、満足いく転職を成功させた人ほど転職サイトを利用しています。転職サイトを使うメリットは様々ありますが、エンジニアが使うメリットは煩わしい作業のほとんどを代行してくれるところにあります。
例えば、自ら年収交渉や就業条件(残業時間など)を交渉するのは現実的ではありません。ただ、転職サイトであればこうした交渉を全て代行してくれます。
もちろん面接や試験に行くのはあなたなので、面接試験対策を打つ必要があります。しかし、事前情報を元に転職エージェントがサポートしてくれることで転職成功しやすくなります。
ただし、転職サイトの活用方法を間違えると、そのメリットを享受できなくなります。以下に、どうしたら転職サイト・転職エージェントのメリットを活かせるか、その方法について解説します。
複数の転職サイトに登録するのが成功への近道
転職サイトを使うときに、より転職成功させやすい方法は、どのようなことがあるのでしょうか。第一に挙げられるのは、複数の転職サイトを利用することです。
転職サイトは、一つのサイトで全ての求人を網羅しているわけではありません。
企業が採用活動を行うのには費用が限られているので、より効果的な転職サイトに求人を出します。転職エージェントごとに得意分野がありますし、対象としている都道府県も違うからです。そのため、網羅的に求人を探すには複数の転職サイトへ登録が必須です。
また1社だけに登録した場合だと、満足いく求人を得られないときに、ほかに手を打ちようがありません。
例えば私が転職したとき、「大手総合転職サイト」「技術系特化転職サイト」「中堅総合転職サイト」の3社を使いました。そのうち、大手総合転職サイトと技術系特化転職サイトからは、魅力的な求人を複数提示してもらい、実際10数社受けました。
このとき中堅総合転職サイトからも何件か紹介してもらったものの、全てがこちらの要望に合わず応募しませんでした。なお、最終的に転職したのは技術系特化転職サイトに紹介してもらった求人案件です。
このとき中堅総合転職サイトだけ登録していたら、転職成功できませんでした。1社のみを使ったとき、担当者と相性が合わなければ良い求人を紹介してもらえないため、リスクを分散するためにも複数サイトを利用しましょう。
もちろん複数転職サイトを使うことで、あなたが負わなければならないペナルティはありません。利用料は無料で、紹介してもらった求人に合格したからといって必ず入社しないといけないわけでもありません。断っても全く問題ないです。
以下はエンジニア専門の転職エージェントで知られるメイテックネクストですが、ここにも利用はすべて無料と記されています。
実際、私は大手総合転職サイト経由で複数社の内定を得ましたが、全て断って技術系特化転職サイトで紹介を受けた会社に入社しました。内定辞退しても、叱られたり嫌味をいわれたりすることはありません。そのため、いくつも登録することに心配はいりません。
一つの転職サイトを使い、転職エージェントの言いなりになるのはダメ
なお、何にでもいえることですが選択肢が一つしかないと、良し悪しの区別ができません。あなたが仕事で何か発注するときは、相見積もりが必須だと思います。同様に転職エージェントサービスも複数社利用して、比較しながら使いましょう。
また、転職エージェントもボランティアではなく、仕事で職業斡旋をしています。彼らの給与の源泉は、あなたを企業に入社させたことによって企業から支払われる報酬です。この額は、あなたの年収額の2~3割です。
そのため転職サイトの担当者によっては、あなたがいまいち納得できていない求人で内定をもらったとしても、早く入社を決めるように強く促してきます。
実際私が転職したときも、最初に内定が出た送電線などの電気工事会社を最後まで推されました。ただ、私は電験2種の資格を活かしたいと考えていました。下の写真のような送電線の工事では活かせるとは考えにくく、不満を転職エージェントに伝えていたにも関わらず、執拗に勧められたのを覚えています。
このような場合に1社しか使っていないと、こちらも強気になりにくいです。もっと希望に沿う求人を紹介してくれと伝えても、転職エージェントがそれ以上の求人を紹介してくれないのではないかと不安になるのです。
そこで複数社使うことで主導権を握り、希望に沿わなければ明確に断るようにしましょう。あなたの人生なので、あなたが最終的に納得して決めないと不幸な転職をすることになります。
難易度の高い資格を活用する求人は転職エージェントが必須
また、中には高度な資格を保有した状態での転職を考える人もたくさんいます。
電気主任技術者試験や技術士資格など、難易度の高い資格を持っているなら、それらを活かして有利な条件で転職したいと考えるのは自然な考え方です。私が転職したときは、難関といわれる「第2種電気主任技術者試験(電験2種)」の資格を活かしたいと考えて求人を探しました。
この資格を取得したときに、まわりからの「これでどこでも食っていけるな」という言葉を鵜呑みにして、まずはハローワークから求人を探しました。しかし、電験2種はおろか、電験3種の資格者にすら求人が出ていませんでした。
そこで転職サイトに登録して求人を探し、非公開求人を紹介してもらうことで、「電験2種歓迎」の求人案件にたどり着くことができました。
難易度の高い資格を活かしたいとき、転職サイトに対象の求人が多く出ます。これは、有資格者を求める企業側に立って考えると、企業は有資格者には高い給料を払う必要があるからです。
企業が転職サイトを使えば、転職エージェントが求人に見合った人材を選別して紹介してくれます。企業も転職サイトを使ったほうが、高い給料を払うに値する優秀な人材を採用できる可能性が高まるわけです。
したがって、難易度の高い資格を取れるような優秀な人材は、転職サイトを使うことにより、対象の求人を見つけやすくなります。
非公開求人は転職エージェントに存在する
また、転職サイトを使うと成功しやすいのは、非公開求人を紹介してもらえることも大きいです。
転職エージェントにあなたの要望(希望年収、勤務地、待遇など)の詳細を伝えておくと、それに合致した非公開求人を紹介してくれます。
非公開求人とは、転職エージェントを介してのみ知ることのできる求人です。求人を非公開にするのは、「経営戦略に直結する」「人気企業で公開すると応募が殺到する」など、理由は様々です。例えば大手総合転職サイトのマイナビエージェントでは、下図のように扱っている求人の8割が非公開求人であると謳っています。
私が転職したときも、転職エージェントに非公開求人を紹介してもらって転職しました。入社試験を受ける段階になって初めて知ったのは、この非公開求人が大企業のものだったことです。
不動産など他業界では有名ですが、電気事業まで手掛けているとはほとんど知られていない企業なので、公開求人だったら応募していないかもしれません。非公開求人の副次的な効果として、純粋に仕事の内容・給与待遇に注目して転職先を選ぶことができます。
そのほか転職エージェントを使うメリットとして、前述の通り企業への応募から年収の交渉・内定後の手続きまで、転職活動の煩わしい作業のほとんどを代行してくれることがあります。
仕事をしながら転職活動をする場合、自分で求人票の情報から面接の段取りをし、面接試験などを受け、年収や待遇の交渉をするのは大変です。転職エージェントを利用して事務的な手続きはすべて丸投げすれば、あなたは企業研究や試験対策など、重要な部分に注力できます。
このように、転職エージェントをうまく利用することによって転職成功する確率を高めることができます。
転職サイトの特徴と活用方法
では、登録転職サイトはどのように選べばよいのでしょうか。転職サイトは大小たくさんあり、特に初めて転職するときは、どれを選んだらよいかわからないと思います。
転職サイトを選ぶときに、特に注目すべき特徴は下記のとおりです。
総合型・特化型に分かれる
まず、総合転職サイトなのか、技術系特化転職サイトなのかで分けることができます。それぞれの特徴は、下表のとおりです。
総合転職サイト | 技術系特化転職サイト | |
---|---|---|
求人数 | 多い | 少ない |
求人の技術的難易度 | 幅広い | 難易度が高いものが多い |
提示年収 | 幅広い | 高めが多い |
転職エージェント | 技術系経験者は少ない | 技術系経験者は多い |
総合転職サイトと技術系特化転職サイトには、このような特徴があります。そこで両方を利用することで、求人を網羅的に探すことができます。一方で片方だけを利用すると、希望する求人に出会う確率が低くなります。
対象地域(全国・都市部)、対象年齢を確認する
転職サイトが扱っている求人の対象地域も、それぞれ強みと弱みがあります。全国を対象にしている転職サイトのほか、都市圏(首都圏、関西圏、中京圏)の求人を扱っている転職サイトがあります。
また、転職エージェントサービスを受けることができる対象を「都市圏のみ」に限っている転職サイトがあります。これには、UZUZやマイナビエージェントが該当します。
あなたが九州や東北に住んでいるとしたら、このような転職サイトを使っても転職が成功する確率は上がりません。自分の住んでいる地域が、転職サイトのサービスの対象になるか十分に確認しましょう。
さらに、転職サイトによっては年齢による制限を設けている場合があります。事実として、40代以上の転職は難しくなります。転職エージェントも早く結果がほしいので、転職しやすい30代以下を対象としたがります。
あなたが40代以上だったとして、30代以下を対象としている転職サイトに登録しても無駄になります。あなたの年齢が転職サイトの対象になっているか、あわせて確認して利用しましょう。
退職支援などの付帯サービス
どの転職サイトも、あなたが転職を成功させるために様々なサービスを行っています。主なものを挙げると、下記のとおりです。
- 履歴書・職務経歴書添削・指導
- 面接対策事前指導
- 面接・試験の日程調整
- 年収交渉など
これらは、どの転職エージェントでも行っているサービスです。このほか、退職支援サービスや入社後のアフターフォローサービスを行っている転職エージェントもあります。
退職支援サービスはで、退職に伴う様々な事務手続き(年金、健康保険、雇用保険、離職票、源泉徴収票の受領など)について、的確なアドバイスをくれます。
例えば私が鉄道会社を退職したときは、鉄道会社の中に「事務センター」という事務手続きを専門に扱う部署があり、そこに何回も通って手続きや書類(下写真に一部を掲載)について教えてもらいました。それでも情報が足りずに、自分でも散々調べました。
技術系の人はこのような事務手続きや事務書類に触れることが少なく、不得手な人も多いです。私の場合は転職時に専門部署があったので助かりましたが、退職する会社に事務の専門部署がないとき、退職支援サービスがあれば事務手続きが苦手な方には心強い味方になります。
そのほか、入社後のアフターサービスは、入社後数ヶ月立ったところでメールや電話で状況を確認してくれるサービスです。私が転職したときには、三ヶ月後に下図のようなメールでのフォローがありました。
新卒と違い、中途採用の場合は同期入社社員がいないことが多いです。同期がいれば仕事の不安や疑問などについて気軽に聞けるものですが、転職だと聞く相手がいません。
転職エージェントのアフターフォローサービスがあれば、転職活動中にお世話になったエージェントにいろいろな疑問を聞くことができます。特にはじめての転職のときは、特に心強いサービスです。
以上のようなサービスを考慮するのも、転職サイトを選ぶおすすめのポイントです。
転職サイトの特徴に合わない条件で転職活動するはダメ
なお、当然ながら希望する求人を扱っていない転職サイトを使っても失敗します。
例えば、あなたが50代だとして、30代以下を対象とする転職サイトを使っても無駄です。また、都市圏の求人を多く扱っているのに、地方の求人を求めても紹介してもらえる求人はありません。
条件が違う場合、登録しても転職エージェント側に相手にされない可能性が高いです。上で述べたように、あなたが企業に入社することで転職エージェントは成果報酬を受け取ることになります。あなたが対象の求人条件に合致していなければ、放置されるのは当然です。
あなたの条件にあった転職サイトで、転職活動を勧めましょう。
口コミ・評判の良い転職サイトを選択・活用する
技術者が転職するとき、転職サイトを使うことで多くの人が成功を勝ち取っています。転職サイトなしに、年収や待遇などで満足する転職を実現することは難しいです。
しかし転職エージェントにはそれぞれの特徴があり、これらを理解して転職活動を進める必要があります。そこで技術者が利用できる転職サイトの中でも、特に口コミや評判が良い転職サイトは以下の5つがあります。
- doda
- メイテックネクスト
- UZUZ
- パソナキャリア
- マイナビエージェント
それぞれの特徴や違いは、以下に示します。
・doda
大手総合転職サイトの中で、電気・機械の技術系転職にも強い転職サイトがdodaです。さらに全年齢を対象とした求人を扱っており、その対象も全国で、求人数は多数です。また、40代以上が応募できる求人を扱っている貴重なサイトでもあります。
利用する転職エージェントに迷ったときdodaに登録しておけば、大きく失敗することはありません。多種多様の求人があり、あなたが希望の求人を提示してもらいやすいです。
・メイテックネクスト
製造業の技術職を専門に扱う転職サイトが、メイテックネクストです。わずかながら、エネルギーやプラントエンジニアリングなどの技術職求人もあります。
職種については、メイテックネクストだと開発研究・機械設計のような難易度が高く、提示年収額も高額となり、技術職らしい求人が多数あります。
また転職活動の支援をしてくれるメイテックネクストは、ほかの転職サイトとは違い、エンジニア経験者やメーカー経験者が多数在籍しています。技術者の気持ちを理解してくれた上でサポートしてくれる、珍しい転職エージェントです。
・UZUZ
理系特化で都市部の求人に強いのがUZUZです。理系出身者が転職しやすい電気・機械関係の求人を多数取り扱っています。
若い人のみ利用できるという制限があるものの、10代や20代なら「第二新卒」「未経験」「フリーター・ニート」という状態でも登録できる転職サイトです。そして、経験年数が浅い人を転職成功に導くために、手厚いサポートがあるのが特徴です。
また、自社基準によりブラック企業を徹底的に排除しています。転職失敗の不安が少ない転職エージェントです。
・パソナキャリア
dodaに次ぐ大手総合転職サイトが、パソナキャリアです。全国の求人を扱っており、技術系では製造業に注力して求人を紹介してくれます。
大手総合転職サイトだけに、求人数は製造業だけで10,000件以上あります。年齢制限もない貴重な転職サイトなので、40代以上なら登録は必須です。
また、この転職サイトのほかにはないサービスは退職支援サービスです。技術職が普段触れることがほとんどない、退職に関する書類や手続きについて、適切なアドバイスをくれるサービスは非常に心強いです。
・マイナビエージェント
首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)と関西圏(大阪、京都、神戸)、東海地方(愛知、岐阜)に強みを持つ大手総合転職サイトがマイナビエージェントです。求人の多い業界は製造業であり、求人全体の3割程度が製造業です。大手企業の求人が多く、大手企業を狙うのに適しています。
対象は、30代以下の転職回数が少ない人(0~2回)です。企業の人事や採用担当と太いパイプがあるため、事前に会社の評判を聞きつつ的確なアドバイスと共に、手厚いサポートを受けることができます。
対象地域が絞られており、年齢制限があるのはデメリットですが、これらに合致する人にとっては非常に優れた転職サイトになります。
技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。
企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。
しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。
以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。