電気や機械の技術者は様々な業界で需要があります。したがって、条件をつけなければ仕事は必ずあります。

しかし、働くならより良い条件で勤務したいと考えるのが当然です。より良い条件で仕事をすることを考えると、仕事の見つけ方には注意点があります

しかし、人生の中で転職は何度もするものではありません。実際、私が転職をしたときも失敗をしました。当時は正しい転職方法を理解していなかったのです。

このとき最後には満足できる転職ができたのですが、転職活動に苦労したことを振り返ると、転職成功のためにはいくつかのポイントがあります。今回は私の実体験をもとに、転職活動のポイントについて解説します。

鉄道会社で順調に育てられるも、活躍の場を求めて退職へ

私が新卒で就職したのは、鉄道会社です。この鉄道会社では、主に列車に電力を送るための設備を保守したり、新設の電気工事をしたりする仕事に携わってきました。

入社後、現場の遮断器や断路器などの電気設備保全という泥臭い仕事を4年経験しました。鉄道は「列車が動いているのが当たり前」であるインフラなので、「止めてはいけない」というプレッシャーの中で、緊張しながら仕事したのを覚えています。

台風や大雨で会社が休みになるはずはなく、むしろ非常事態のときは率先して出勤しなくてはなりません。休日に突然呼び出されることも当たり前でした。
いわゆるブラック企業そのままの勤務ですが、不思議と辞めようと思ったことはありません。自分たちが鉄道を支えているという、自負があったのだと思います。

その後、東京で他社に出向し、電気設備を遠隔で操作するシステムの保守を3年続けました。このとき計算機(コンピューター・システム)や、下の写真のような通信機器の仕事に触れ、ほかの多くの電気系社員とは違う力をつけました。

出向が明けるとき、上長から次の仕事を打診されて真っ先に希望したのが、新規路線の開業にかかる電気設備の新設工事です。これは、出向時代に身に着けた計算機や通信のスキルを大いに活かせる仕事でした。この申し出は受け入れられ、そのあと4年は新規路線開業の仕事を担当することになります。

新規路線開業の仕事は、無事にプロジェクトが成功して遅れることなく開業することができました。下は、新規に作っている線路と変電所の写真です。

こうして、鉄道会社時代は多くの経験をさせてもらいました。

やめようと思ったきっかけは横暴な上司

しかし新規路線が開業したくらいから、これからの働き方について疑問を持つようになってきました。
大きなプロジェクトに携わることはしばらくなく、年功序列ですぐに部長や役員などへの出世が見込めるわけでもなく、上司の道筋を見ていると「昇給などはほぼなく、定年までの暗い道筋」がなんとなく見えてしまいました。それなら違う会社に行って、自分の技術力を活かして楽しく生きようと考えたのです。

新規路線開業のプロジェクトの次は、列車を動かす指令所という立場で仕事をしていたのですが、これが全く面白くありませんでした。それに加えて、鉄道会社は社風として極めて保守的であり、その傾向が著しいのが指令所です。

何かをやろうとしても頭を押さえつけられるばかりで何もできず、ほとほと嫌になってしまいました。

最終的なとどめを刺したのが、横暴な上司との不仲です。「思いつきで指揮系統を無視した指示を出す」「部下に指導したことと、自分の行動が矛盾している」などさまざまな要因の中で、上司とうまくいかず鉄道会社を飛び出す決意をしたのです。

退職届を出したあと、社団法人の代表とけんかする

鉄道会社を飛び出そうとしていたときに声をかけてくれたのが、一般社団法人の理事として、法人経営していた人です。次に行く場所がないか探していたところ、「事業内容は電気系だけではないが、裁量で事業を動かしていい」という話を持ちかけられました。

この人は初めて出会ってから3年ほどになる人で、行動力など一目置いていました。そのような人から誘われたこともあり、むしろこちらから頼むような形で採用が決まったのです。

一般社団法人の都合もあり、鉄道会社を退職するのは半年以上先でした。辞めることは同僚に全て伝えており、知らないのは不仲の上長だけという状況で半年過ごしました。このように、後戻りはできない状況にしてから上長に辞意を伝えたのですが、実際に話しを切り出すときは声が震えたのを覚えています。

退職願を提出したら必ず受理されるので、あとは退職に向けての準備と、新しい仕事の準備を進めるだけです。

ところが、ここにきて社団法人の理事が、私を「都合よく使える作業員」くらいにしか考えていないことが露呈しました。当初話していた裁量もなく、拘束時間は長く、それでいて名目は「役員」のため給料は安いという、とんでもないことを言い出したのです。

しかも言い出したのが3月の中旬で、退職願を撤回することも叶いません。いわゆる縁故採用で社団法人とは契約書なども交わさずにいたので、条件が違うともいえない状況でした

まさかそのまま社団法人に入社するわけはなく、一旦ご破算にして4月から無職となったのでした。こうして、口約束だけで転職先を決めると後で大変なことになることを学びました。

無職で転職サイトに登録して電力プラントへ入社

晴れて無職になったものの、10数年ぶりに全くの自由な状況に置かれて何をしたら良いのかわからず、数日は無為に過ごしました。あれやこれやと考えているうちに、出身地である山口に帰ろうということになりました。

鉄道会社を退職した最後の職場は石川県で、実は仕事の縁しか関わりがありません。実家には家も土地もあるので、一旦帰って体制を整えてからやり直すことにしました。いつかは「山口に帰りたい」という気持ちはあったので、いい機会だと考えたのです。

このとき仕事を探すのに転職活動をしなければならないのですが、鉄道会社には学校推薦で入社し1社しか受験していなく、どうやって仕事を探したら良いのかわかりません

そうしたとき、地元に戻った翌日に久々に友人と飲んだとき「仕事をやめたいなら、とりあえず転職サイトに登録してどんな求人があるか見たら? 俺も転職サイト経由で転職したけど良かったよ」と教えてくれました。

恥ずかしながら、過去に私はWEBでエロサイトに個人情報を入力して架空請求が来たことがあります。そういうこともあり、転職サイトというよくわからないものに個人情報を入力するのに抵抗はありました。鉄道会社在職中なら、まず登録していないです。

しかし、このときは失うものは何もなく、反対に活路が見いだせるかもしれないと期待して恐る恐る大手総合転職サイトのdodaに登録しました。なにかお金を請求されたら、すぐに連絡先を遮断すればいいだけだと開き直ったわけです。

出身の山口に帰り転職活動を開始する

実際に転職活動をしてみた時系列は、以下の図のとおりです。

dodaに登録してから、すぐに電話でキャリアカウンセリングがありました。このとき、「ゴールデンウィーク中は企業もお休みなので、その間にしっかり履歴書と職務経歴書を作って準備しましょう」とアドバイスされました。

実際には、履歴書と職務経歴書はゴールデンウィーク前に完成したので、企業への申込みを4月中にして「ゴールデンウィーク明けに書類選考の結果と、面接の日程調整を行う」というスケジュールで進めました。

やってみたかった計算機(コンピューター・システム)は無理だと諭される

電話でのキャリアカウンセリングで話した内容を、もう少し詳しく書いておきます。はじめての転職活動だったので、いろいろと思うところをぶつけました。以下が実際の質問内容と回答です。

・山口および隣県で通える範囲で仕事を探したい。
→問題ない。当該の地域の求人を紹介する。・「高度情報試験」の資格を取りたい。試験は9月なので、それ以降に本格的に求人を探したい。
→早く転職することを強く勧める。4ヶ月以上のブランクがあると、途端に内定率が落ちる。また受かっても、あなたの希望する地域にその資格を求める企業がない。

・計算機(システム)関係の求人はあるか。
→あなたの経験と年齢(33歳)ではシステムエンジニアとして転職するのは難しい。システム関係にこだわるなら技術営業職を探すことになる。

・今の自分の経歴・資格で転職成功できるか。
→同様の人を何人も転職成功に導いている、問題ない。

・夜勤がない会社に転職したい。
→承知した。難しい条件ではないので大丈夫。

このようなやり取りをしました。

高度情報試験の資格とシステム系求人の情報は、早い段階で聞けたのが良かったとあとになって思いました。自分の強みが活かせない分野で転職活動しても、納得するような内定はなかなか出なかったからです。

高度情報試験の資格とシステム系求人に固執して転職活動をしていたら、いつまでも仕事が決まらなかったでしょう。そのため、ありがたいアドバイスだったと思っています。

電験資格を活かした転職活動に切り替えても求人が見つからない

アドバイスを受けたあと、自分の最大の強みの電気系スキルを活かして転職活動を進めることになりました。具体的には、第2種電気主任技術者試験(電験2種)の有資格者であるため、優位に転職できないかを模索しました。

しかし、案外電験2種資格者を募集する求人がないことに気づきます。鉄道会社在籍中に電験2種を取得したとき、「これで職に困ることはない」といわれていて、現実とは異なる大きなギャップを感じました。

またdodaで求人を探すと同時に、ハローワークでも探しました。しかし、ハローワークでは電験2種はおろか、下位資格である電験三種有資格者の募集もなかったのです。

このままではダメだと思い、転職サイトへの登録を増やしました。そのときに増やしたのは、dodaに加えて以下の4社です。

  • メイテックネクススト
  • パソナキャリア
  • マイナビエージェント
  • type転職

複数の転職サイトに登録したことにより、電験二種資格者を募集する求人案件をいくつも手に入れることができるようになりました。結局、私の条件に合わなかった「マイナビエージェント」「type転職」は外して、「doda」「メイテックネクスト」「パソナキャリア」の3社で求人を探していくことになります。

希望勤務地を広げて転職成功へ

電験二種資格を活かす理由は、技術的な点と年収面で優遇されたいということからです。しかし技術的な希望は叶う求人はあったものの、年収面で折り合いがつかずなかなか決まりませんでした。

そこで、少し頭を柔らかくして「週末だけでも山口に簡単に帰れる場所」で探すことにしました。つまり、実家から通える範囲ではなく、北九州の求人まで幅を広げることにしたのです。

実は、北九州は山口と相互に往来が活発な都市です。しかも工業都市として発展してきた歴史があり、工場など電験二種資格者募集の求人も多いだろうと考えました。

これを転職サイトの担当者に話すと、考えは的中してすぐに何件かの非公開求人を紹介してくれました。

いま働いている会社の求人に決めたのは、発電プラントの技術職だったからです。これまでは「電気を使う設備」だけ扱ったことがあり、「電気を作る設備」を扱ったことがなく、大きな技術的成長が望めると思い決断しました。

なお、転職前後で下表のように変わりました。

鉄道会社(転職前) 電力プラント(転職後)
年収 実績600万円 提示560万円
勤務時間 7時間45分 7時間
転勤 あり なし(希望通り)
夜勤 あり なし(希望通り)
電験資格 活かしにくい 活かせる

表では年収が600万円から560万円に下がっていますが、夜勤手当で50万円くらいもらっていたので給料が下がるのは許容範囲です。また、勤務時間が毎日45分短くなっており不満はありません。

また下の写真のように、基本給は大幅に上がっています。上が鉄道会社の基本給通知書で、下が電力プラントの給与明細です。

・鉄道会社

・電力プラント会社

年収については、転職エージェントが伝えた希望額を超えるように、最後まで粘り強く交渉してくれたのをよく覚えています。

さらに、考えていたより機械系の仕事が多かったものの、計算機や通信の仕事(計装)の仕事があり、その面でも満足しています。進歩的な社風の会社でもあり、今は裁量で仕事を進めつつ新しい技術の習得に燃えているところです。

転職活動を成功させるにはポイントを押さえる

このようにして、私は技術職としての転職を成功させました。ただ、一本道でうまく行ったわけではなく、紆余曲折を経て最後に成功をつかみ取りました。

実際のところ、自力でなんとかするのではなく早く転職サイトを活用すればよかったと感じました。このとき私が気づいた転職サイト利用のポイントは、以下のとおりです。

  • 複数のサイトを利用する
  • 担当のエージェントに、しっかりと希望条件を伝える
  • 多くの転職サイトを利用し、最終的に2~3の転職サイトに絞る(合わないエージェントとは付き合わない)

3社以上の複数のサイトを利用することで、希望する求人を見つけやすくなります。その後、それぞれの転職エージェントにあなたの希望条件を明確に伝えることがコツです。そうすることで転職エージェントは、あなたに合った優れた求人を提示しやすくなります。

しかしながら、エージェントによってはあなたの希望に関係ない求人を提示したり、求人そのものを提示できなかったりします。そういう場合は、その転職エージェントと付き合うのをやめて、使う転職サイトを絞ると良いです。

このようなポイントを抑えて転職活動することで、転職成功しやすくなります。以上の私の経験談が、あなたの転職成功に向けてお役に立てれば幸いです。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。