あなたが転職を考えるとき、最終学歴が高卒だからといって躊躇(ちゅうちょ)していませんか?

確かに学歴で制限をかけている求人はあります。例えば、研究職は最低でも大卒以上が対象になることが多いです。

しかし、これまでしっかりと社会人として経験を積んで、技術や資格を持っているのであれば、その経験を活かした職種に転職は可能です。反対に、社会人として経験の浅い、第二新卒と呼ばれる人も、分野を絞ることで転職は難しくはありません。

ここでは、主に高卒の20代前半くらいで、「電気系の職種に転職をするときの注意点」や「転職しやすい分野」「実際の求人例」などについて解説します。

転職して新しい分野へ挑戦するのは早い方がいい

もし、あなたが経験のない新しい分野に挑戦しようとしているのなら、早く決断しなければなりません。今すぐ転職活動を始めるか、このまま今の会社に残って技術や資格を積極的に修得するかです。

これは、新卒で採用されて概ね3~5年を経過すると、転職市場では経験者として扱われるからです。つまり、3~5年を社会人として過ごしたからには、即戦力となる技術や経験がないと転職は難しいです

今の仕事に不安や疑問を感じていて、これから先、技術や経験を積めないのなら、早く転職すべきです。

特に大きな組織でいえることですが、高卒の人に求めるものは、電気の専門性ではなく、「素直さ」など人間性です。電気の技術力は、ゆっくりと教育して育て上げていくという考え方で採用していることが多いです。

私が以前勤めていた鉄道会社では、たくさんの高卒社員を採用していました。同期にも高卒がたくさんいます。彼らを見ていると、最初は苦労したようですが、5年を超えたくらいから職場での第一戦力になっていきました。

そのような考えに沿うと、第二新卒といわれる年齢のうちに転職してしまうのが得策といえます。

ハローワークだけでなく、転職サイトも活用する

では実際に転職活動をするときには、どのように進めると良いでしょうか。

高校のときは、一人一社ずつ学校推薦をもらって就職活動をしたと思います。学校の先生の就職指導も、丁寧にあったのではないでしょうか。

しかし、転職になると自分で進めなくてはなりません。転職で求人を探し企業に応募する方法は、大きく2つあります。ハローワークを利用する方法と、転職サイトを利用する方法です

ハローワークの名前は、聞いたことがあるのではないでしょうか。厚生労働省所管の、いわゆる役所です。転職サイトは、鉄道の車内広告(下写真参照)やWEB広告で見たことがあるかもしれません。

これらの特徴として、ハローワークは、地元の中小企業中心で採用時の年収は低くなりがちです。一方、転職サイトは全国規模で大企業もあり採用時の年収は高くなりやすいです。

使い勝手で大きく違うのは、WEBで応募できるかどうかです。ハローワークは役所に行く必要があります。しかし、転職サイトは全てWEB・電話で完結します。

下に、ハローワークと転職サイトの特徴を一覧表として示します。

 

ハローワーク 転職サイト
利用料 無料 無料
面談 対面 電話のみもある
登録会社 地元の中小企業中心 大企業や中小企業でも資金力のある優良企業が多い
サイトの使い勝手 悪い 良い
非公開求人 なし あり
応募 ハローワークで申し込む WEBで申し込む

これらの違いを理解した上で、ハローワークと転職サイトを使う必要があります。おすすめは、両方登録してしまうことです

私が転職活動をしたときは、ハローワークと転職サイトを3サイト使って活動を進めました。転職サイトを使い始めたのは、石川県に住んでいたときなのですが、出身の山口県に近いところの求人を探しました。

結局、納得した案件が転職サイトにしかなかったので、転職サイトを経由して、今勤める北九州の会社に転職を成功させました。

また、私自身の経験や、身の回りの転職した人の話を聞いていると、自分の経歴に自信がなく転職サイトで相手にされないのではないかと考えている人は多いです。

私も、「こんな経歴で転職できるわけないだろう!」と叱られるのではないかと、ヒヤヒヤしながら登録したのを覚えています。しかし、心配はいりません。むしろ気持ちがいいくらいに、褒めてくれます。褒められると、自信もでてきます。

このように、転職サイトは十分に仕事を探す手段の一つとして活用できます。

高卒でも問題ない電気技術職の求人は、電気工事と設備保全が多い

では、実際に高卒・第二新卒OKの求人はどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、転職サイトに出されている求人を確認していきます。

どの分野でも求人はありますが、求人数が多いのは「電気工事の分野」と「電気設備保全の分野」です。これらは、ある程度仕事をこなせるレベルに到達するまでの敷居が低く、未経験であってもわかりやすいものです。

電気工事の仕事は、入社後電気工事士資格が必要になり、ものづくりが好きな人におすすめ

まず、電気工事の分野について説明します。

あなたの身の回りには電気製品がたくさんあると思います。家庭では、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などがあります。仕事場でも、パソコン、コピー機などたくさんのものが電気で動作しています。電気なしの生活・仕事は考えられないでしょう。

電気工事は、これらの電気製品を使うための電気工作物を「新設」「修繕」「撤去」する仕事です

なお、コンセントにプラグを差し込んで機器を設置すれば終わるようなものは電気工事には該当しません。専用の電気配線を引くものや、壁や天井に聞きを埋め込んで設置すると電気工事になることが多いです。

例えば、簡単な例でいうと、下の写真のようなコンセントの配線を一旦外すことがあると電気工事になります。

具体的に電気工事を、コンセントを例に説明します。

まず「新設」(下図参照)だと、壁に穴を空け、壁の裏に配線を通してコンセント部品に配線をつなぎ込み、壁にコンセントを固定し、電気を送ります。

次に「修繕」(下図参照)だと、ブレーカーを落として、写真のような二口のコンセントから配線を外して、三口のコンセントに配線をつなぎ替えて、再設置し電気を送ります。

最後に「撤去」(下図参照)は、ブレーカーを落として、コンセントと配線を外して、配線を壁裏から引き抜き、壁の穴を埋めます。ケーブルの撤去は無理に行わず、そのまま壁の中に残すこともあります。これを「埋殺し」といいます。

家庭用やオフィスの電気工事は、コンセントが灯具になったり、エアコンになったりするだけです。大規模な工場などになると、電気配線が太く長くなり、機器も10t以上の変圧器だったり、電動機(モーター)だったりします。

しかし、「新設」「修繕」「撤去」の考え方はコンセントの例と同じです。

このような、電気工事の求人には以下のようなものがあります。下の図は、本社が福岡にある、株式会社AGAINの求人です。

仕事内容は、「各種業務用機器の施工や住宅設備のアフターフォロー」とあります。具体的に何かというと、照明、空調、OA機器などの設置施工と、その設置後の不具合対応などです。上で説明した「新設」「修繕」が主な仕事内容になります。

また下の図は、同じ求人の対象となる方の欄です。

図にあるように、高卒で無資格でも問題ない求人です。仕事内容の欄にある、工事アシスタントから始めることになります。

工事アシスタントとは、要するに見習いのことですが、この見習いについて不安を感じる人は多いです。「電気工事の業界は職人の世界で、上下関係が厳しく、見習いで散々にしごかれるのではないか」というのが主な不安要素と聞きます。

これについて、知り合いに電気工事会社の社長に実態を聞いてみました。すると、以下のようなことを教えてくれました。

確かに以前は徒弟制度のような、「技は盗め」という風潮はあった。しかし2010年代に入って、20代から30代の若い世代が少なくなり、ベテラン(40代50代以上)の職人もしごいてばかりだと、人がすぐに辞めてしまうことに危機感を感じている。

そのような状況から、わからないことに対して適切に指導し、技を伝承する人が増えてきた。特に新人には丁寧に教えるようになった。

これは、私の実経験でも感じています。私は2004年に鉄道の電気業界に就職し、電気工事業界とも付き合いがありました。確かに、当時は職人気質の人がたくさんいて、若い人がしごかれていた印象があります。

しかし、10年以上経った今では、そのような場面にでくわすことはなくなりました。むしろ、ベテランが若手を連れて、丁寧に教えて現場を回っている場面をよく見ます。

これらから、「見習い期間がきつい」ということは、あまり気にしなくても良いといえます。

なお電気工事を行うには、電気工事士の資格が必要になります。見習い期間にしっかりと技術を身に着けて、入社後早い時期(1~2年程度)で資格を取得することになります。

電気工事士の資格は、工業高校の生徒が現役でも取得する資格なので、あまり心配する必要はないです。むしろ、技能試験があるので現場で経験を積んだあとの方が、合格しやすいともいえます。

電気工事施工管理技士を目指せば、電気工事士以上の年収を狙える

電気工事には、上で述べた施工の仕事のほかに、施工管理の仕事があります。

施工管理について簡単に説明します。小さな住宅やオフィスでの電気工事は、5人以下の少人数で済むことが多いです。しかし、大きな工場などで新設工事や大規模改修工事を行うときは、数十から100人以上で行うこともあります。

複数人で仕事を行うと、仕事を工程に沿って引き継ぐときに待ち時間が発生したり、意思疎通(コミュニケーション)に時間を取られたり、電気の仕事以外に時間がかかります。下の図のように、1人で10の仕事ができるから、5人集めれば50の仕事ができるわけではないのです。

ここで、テクニックとして施工管理が重要になってきます。全体の仕事を把握して、待ち時間が発生しないように仕事を割り振ったり、意思疎通をしやすいように作業を図示して視覚的に理解しやすいような工夫をしたりして、工事を進めます

施工管理の重要要素として、工程管理、安全管理、品質管理、コスト管理があります。施工管理する人の腕次第で、同じ10人の作業者で工事をしても、工程を短くし、事故を起こさず、出来上がりもよくなります。そして、工期が短縮され事故がなければコストも安くなります。

たくさんの電気工事士(職人)をまとめる仕事なので、地域が同じなら給料は施工管理の仕事の方が高いことが多いです。これは、上述の電気工事会社の社長が教えてくれました。

このような施工管理をする求人もあります。次図は、株式会社花森の求人です。学歴・経験不問で「第二新卒」も募集していることが明記してあります。

また下図は、同じ求人の具体的な仕事内容の欄です。電気工事の施工管理を任されることがわかります。

この会社の本社は東京ですが、北海道から沖縄まで広く事業展開しています。そして、この求人では、東京、大阪、名古屋、福岡の各支店で採用をしており、入社後はその拠点を中心に仕事をすることになります。

また、施工管理の仕事は、将来的に電気工事施工管理技士(略して、電気施工管理技士とも呼ばれます)の資格取得を目指します。これは、建築業法で一定規模の工事の現場には、この資格者を専任で置くことが決められているからです。

全く未経験で入社し施工管理を始めた場合10年程度、途中電気工事士1種の資格を取得すれば5年程度で取得可能です。この資格を取得することで、手当を給料に上乗せする会社もたくさんあります。

ここまで説明した電気工事の仕事は、自分の仕事がわかりやすく形として残るものです。ものづくりが好きな人には向いている仕事といえます。

電気設備保全の仕事は資格不要で、未経験でも取り掛かりやすい

最後に紹介するのは、電気設備保全の仕事です。電気設備保全の仕事は、電気設備が機能を維持できるように、適切に管理する仕事です。

電気設備保全は、「電気設備管理」「電気設備保守」「電気設備保安」などとも呼ばれます。概ね同じ意味で使われているので、求人情報を探すときは、言葉を変えて検索すると、より望む求人に出会える確率が上がります。

では、電気設備保全は具体的にどのようなことをするのでしょうか。下の図のような、「検査」「分析・評価」「対策検討」「対策実施」をサイクルとして回していくことになります。

  • 検査:設備の状態を適切な周期で確認します。数週間から数ヶ月の短い期間での検査は、異音・異臭・異常発熱など感覚的なものを中心に確認します。検査周期が数年に及ぶものは、絶縁油の成分分析や、摩耗箇所の摩滅具合など数値的に確認します。(これは一例であり、設備によって適切な周期は変わります)
  • 分析・評価:検査で得られたデータが、電気設備の故障の前兆か判断します。
  • 対策検討:分析・評価によって対策を取る必要があると判断されたものに対して、どんな対策を取るべきか検討します。このとき、会社事業に対する設備の重要度や、予算と照らし合わせて考えます。
  • 対策実施:対策検討の段階で考案された対策を実施します。

このサイクルは、電気設備ごとに回していくことになります。大規模事業所になると、何百、何千もの設備があり、それぞれ周期が違うこともあります。

電気設備保全の仕事は、それらが常に適切に使う者の制御下にあり、管理されていることが求められます

このように聞くと、難しく大変そうな仕事に思えますが、あまり恐れる必要はありません。なぜなら、入社後わずかな研修を受ければ、日常の仕事はこなせるレベルまですぐに到達できるからです。比較的短期間で、「電気屋」として独り立ちできるのです。

私が以前勤めていた鉄道会社では、高卒でも大卒でも、新入社員研修を終えると、まず電気設備保全を担当します。そのあと、5~10年で電気設備保全からはなれ、工事設計をしたり、電気設備運転をしたりします。

私も、電車線路設備、変電設備、電気通信設備、計算機設備など入社後7年間、電気設備保全の経験があります。

また電気設備保全には、仕事をするのに絶対に必要な資格がありません。自動車を運転するのに、自動車免許がないと法律違反になりますが、電気設備保全にはそのような資格がないのです。そういった面も、電気設備保全の敷居が低い理由です。

そして、働き方の観点から見ると、納期や工期の考え方がなく、休みを取りやすいです。私が保全の仕事をしていたときは、年次有給休暇(年休、有休)を年間20日使い切っていました。

ただ、電気設備が故障したときは、休日でも呼び出されて対応することはあります。これは、年に3~4回は覚悟しておく必要があります。

では、実際に電気設備保全の求人はどのようなものがあるのでしょうか。次図は、J-POWERグループの開発電子技術株式会社の求人情報です。

J-POWER(電源開発株式会社)とは、国の出資で設立された特殊法人が前身です。国が直轄でやるべき事業ではないと判断され法人になっていますが、国家公務員に準ずる待遇の会社でした。

この会社は、J-POWERの子会社です。J-POWERに準ずる待遇であると考えられます。

そして、仕事内容は下の図のようにJ-POWERが行っている事業の電気通信設備の保守が主なものです。

図にある、電気通信設備やネットワーク設備の保守は、電気設備の保守と変わりません。

私は、鉄道会社で働いていたとき、220kVで動く変圧器や遮断器を保全していたことも、100V以下で動く電気通信設備や計算機(システム、ネットワーク機器)を保全していたこともあります。

もちろん構造や動作原理は違うので、その部分は個別に覚える必要がありますが、保全のサイクルは同じです。上で述べたように、「検査して、分析・評価し対策を打つ」というサイクルは変わりありません。

さて、この会社の求めている方の欄(下図)をみると、「高卒以上で未経験・第二新卒歓迎」とあります。ただ、注意しておかないといけないのは、電気・電子・情報学科を卒業した人が対象になります。

この求人で対象を電気関係学科卒に絞っているのは、仕事内容の記述にあるようにゆくゆくは設計をさせるからだと考えられます。

私の経験からも、設計には保守以上に電気の深い知識が必要ですので、少しでも電気の素養がある人を対象にしていると考えられます。

では、普通科卒の人は電気設備保全のどのような求人を探せばよいでしょうか。普通科卒の人には、次の図のような求人が対象になります。これは、都市環境整美株式会社の求人です。

 

図のように、学歴不問で未経験・第二新卒歓迎の案件です。また、学科の指定がありませんので、普通科卒でも問題ありません。もちろん、電気・電子・情報科卒でも問題ありません。

この求人には、歓迎するスキルにいくつかの資格が書かれているので補足します。

上で述べたように、電気設備保全では絶対に全員が持っておかなければならない資格はありません。

しかし仕事を進めていく上で、職場の誰かが持っていなければならない資格はあります。それが記載にあるような、電気工事士やボイラー技士などです。

先程の開発電子技術株式会社であれば、電気通信の工事担任者資格や電気通信主任技術者資格が勤める上で必要になる場面があります。また、電気主任技術者の資格も求められることがあります。

これらの資格は、入社してから取得すると一時金をくれたり、資格手当として給料に上乗せされたりします。入社後、給料を増やすのに有効な手段だとして覚えておくと良いです。

このような電気設備保全の仕事は、電気工事の仕事と違って、形に残る仕事ではありません。しかし、仕事の仕方や設備改善(修繕回数を減らす工夫など)を成果として残すことは可能です。

したがって、電気設備保全の仕事に向いてる人は、ルール作りが得意な人や、興味がある人です。

まとめ

このように、高卒の第二新卒の人が電気関係の転職先を探すとき、様々な方法で求人を探すと良いです。そのとき、転職サイトなどは複数登録すると仕事を見つけやすくなります

また、電気関係で未経験でも求人が多い分野は、電気工事と電気設備保全の分野です。

電気工事は、出来上がりが形として残るわかりやすい仕事で、ものづくりが好きな人には、特に向いています。

反対に、電気設備保全は仕事の成果が形として残りにくいところがあります。しかし、保全のサイクルを回すルールを改善していくことが大切なので、ルール作りやルールの見直しなどが得意な人に向いています。

求人を探すときには、このような仕事の特性と、自分の興味を把握して転職活動をすると転職成功しやすくなります。

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。