転職は、人生の一大イベントです。やはり、失敗したくありません。あなたもきっと失敗をしたくなくて、いろいろと情報収集の最中だと思います。

転職の情報収集の際によく見かけるのは、転職サイト(求人サイト)です。列車の広告やテレビCM、WEB広告も盛んです。

私は、これらの転職サイトを活用して転職成功させました。しかし、転職サイトへの登録の際には、少し疑問を感じつつ登録しました。

なぜなら、広告で紹介されるのは、スーツ(背広)を着た営業職風の人が多く、自分のような作業服を着て仕事をする技術職でも転職できるのだろうかと、疑問を持っていたからです。

あなたも、同様に感じて今ひとつ踏み出せないでいるのではないでしょうか。

今回は、そんな不安を解消するために、転職サイト・転職エージェントのサービスを利用するときのメリットや注意点を紹介します。さらに、転職を成功に導くには、転職サイト・転職エージェントとどのように付き合うべきかを解説します。

もくじ

転職サイトを利用するときのメリット

転職サイトで、エージェントのサービスを使うメリットはたくさんありますが、一番のメリットは「あなたを客観的に分析して、アドバイスをくれる」ところです。さらに、その上で履歴書・職務経歴書の書き方指導、面接の考え方や対策の実施なども実施してくれます。

私が転職活動をしていたときも、転職エージェントのアドバイスが大変役立ちました。はじめての転職だったので、何から始めたらいいのかさっぱりわからなかったのを、適切なアドバイスもらって転職できたのを覚えています。

私の場合、4月に転職活動をはじめました。以下が、私の転職活動期間のタイムチャートです。

最初は悠長に構えていて、9月の資格試験に合格してから転職活動をするつもりでした。また、地元の山口近県に転職を考えていることなどを伝えました。

すると、以下のようなアドバイスをエージェントからもらいました。

あなたが取ろうとしている資格は、求めている会社が少ない。さらに、大都市圏に集中しており、希望する山口近県で、その資格を求めている求人はない。

(私の場合、3月に退職していたので)多くの場合、3ヶ月以上の無職期間があると採用試験の合格率が下がる。正当な理由があれば問題ないが、資格取得だとマイナス評価にしかならない。

今すぐに、転職活動を始めるべきだ。

このようなアドバイスをもらって、すぐに転職活動を始めました。結果、6月初旬には納得のいく転職先が見つかりました。

転職エージェントのアドバイスが具体的でなかったら、自分の意見を押し通して、資格試験を受験していたと思います。

当時の私には、転職市場についてほとんど知識がありませんでした。転職エージェントからのアドバイスは非常に具体的な内容で、あとから考えると適切なアドバイスでした。

さらに、面接の対応として、想定問答をしてくれました。下図、その一部です。

転職活動において、私も大いに苦労した志望動機についてです。あなたも頭を悩ませているのではないでしょうか。

必ず訊かれるとわかっているのに、回答が難しいのが志望動機です。

私の場合は、実家のある山口県を中心に就職先を探していました。このとき応募しようとしていた会社は隣県の北九州エリア(福岡県)にあったので、そのことも含めて志望動機とするように転職エージェントからアドバイスをもらいました。

転職エージェントは、求職者に採用が決まったあとに、「面接で何を訊かれたか」「それにどのように答えたか」を訊いています。このたくさんの事例から、あなたにもアドバイスをくれます。

私が受けたエージェントサービスでは、全部で20くらいの想定問答がありました。そして、それぞれについてアドバイスをくれました。

私が技術者として働いてきた中で、多くの技術者は、他者に対するアピールや説明が苦手です。それは、もうすでに科学的にはっきりとした事象を相手に仕事をしているからではないかと思います。ひょっとしてあなたも、そのきらいがあるのではないでしょうか。

そのような口下手な人には、転職エージェントのサービスが強い味方になります。

転職エージェントが代わりに企業との調整をしてくれる

転職エージェントのサービスを利用すると、「履歴書、職務経歴書の送付」「面接の日時調整」「年収の折衝」など、企業との調整や折衝は、あなたに代わって全てやってくれます

今働いている会社に勤めながら転職活動すると、昼休みなど時間外で行うことになります。また、公然と社内で転職活動するわけにもいかないでしょう。同僚から隠れて転職活動をするのは、かなり骨が折れます。

そこに、冒頭に書いたような「履歴書・職務経歴書の送付」「面接の日時調整」「年収の折衝」などを自分でするとなると、かなり忙しくなるのではないでしょうか。

企業との調整を転職エージェントに任せたとしても、採用試験に向けてやるべきことはたくさんあります。

私が転職活動をしたときも、(手書きのものを求める会社は相当数あったため)履歴書・職務経歴書の準備、採用面接会場への交通・宿泊の算段、企業研究、面接対策など、夜遅くまで準備したのを覚えています。

この部分を、転職エージェントに肩代わりしてもらうことによって、時間的余裕を得ることができます。あなたは、空いた時間で企業研究や面接の準備など、転職を成功させるためにすべきことに注力できます。

技術系の非公開求人を紹介してくれる

非公開求人とは、求人情報の一部または全部が非公開とされている求人です。ハローワークでは、すべての求人が公開されており、求職者が見られない求人情報はありません。

しかし、転職サイトには、転職エージェントを通してのみ紹介される非公開求人があります。例えば、大手転職サイトのマイナビAGENTでは、下図のように全求人の8割が非公開求人であるとしています。

また、リクナビネクスト、リクルートエージェントを運営するリクルートも、全求人の8割以上が非公開求人であるとしています。

ではなぜ、非公開求人があるのでしょうか。これは主に、企業側の都合によります。

例えば、誰もが名前を知っている有名企業が求人を出すと、応募が殺到することがあります。企業も、採用にかけられる人的資源や時間は限られているので、極端に応募があるのは望みません。

また、公開していない新規プロジェクトのための人員を募集するとき、公開求人で募集するとプロジェクトが公になってしまいます。このようなときも非公開求人として募集します。

非公開求人として募集すると、転職エージェントが条件にマッチした人材を紹介してくれます。企業としては採用にかける資源を節約できる上、無差別に募集をかけるより良い人材に当たりやすくなります。

私は、非公開求人の紹介を受けて、鉄道会社から下の写真のような発電所(電力プラント)に、正社員への登用前提の契約社員として転職しました。9ヶ月の契約社員を経て、今は正社員です。

それまで工場(プラント)での勤務経験がなく心配があったものの、純粋に仕事の内容や待遇のみを考慮して選び、満足のいく転職をしました。これが、公開求人だと、雇用形態を見て躊躇(ちゅうちょ)していたかもしれません。

また、会社名を見ると、「もっと大きな会社がいい」というような見栄や、「外資系は嫌だ」というようなバイアスがかかることがあります。それにより、本当は条件がよくて向いている仕事でも選択しなかったり、断ったりすることがあるでしょう。

あなたの仕事の満足度に影響が大きいのは、会社名だけではないはずです。遅かれ早かれ会社名は知ることになるので、まずは仕事の内容で会社を選ぶとよいです。

このように非公開求人を利用することで、転職の選択肢は増え、満足のいく転職につながる可能性は上がります

エージェントが紹介する企業は、資金力のある企業が多い

転職サイトにある求人は、資金力のある企業が求人を出していることが多いです。これは、転職サイトが、どのように運営されているかを考えるとわかりやすいです。

下の図は、求職者と転職サイト(エージェント)と企業がどのような関係性を持っているかを、簡単に図示したものです。

 

まず、求職者と転職サイト(エージェント)の関係を考えます。

求職者は、転職サイトに自分のプロフィール(履歴書・職務経歴書など)を登録します。転職サイトは、これに対して適している求人を紹介します。ここに、金銭のやり取りは発生しません。

次に、転職サイトと企業との関係を考えます。

転職サイトは、企業からの求人情報をもとに、希望に合う人材を紹介します。このときの人材は、転職サイトに登録された求職者です。企業は求職者の採用試験を行い、採用に至れば、成功報酬を転職サイトに支払います。

このときの成功報酬は、求職者を採用したときの年収の3割程度といわれます。つまり、求職者が転職サイトを通して、ある企業に500万円の年収で採用されたら、転職サイトには150万円の報酬が支払われるのです。

年収500万円というと、サラリーマンのほぼ平均年収(平成29年民間給与実態調査より)です。企業の目線で考えると、採用したとき平均的に150万円を転職サイトに支払わなければならないということです。

一人の採用につき150万円を費用として出せるのは、ある程度資金力がないとできないことです。したがって、転職サイトに求人を出せるのは、資金力がある会社が中心であり、年収アップを狙いやすくなります。

転職サイトを利用するときの注意点

転職サイトのサービスを利用するときには、おすすめできることばかりでなく注意点もあります。

転職エージェントは、慈善事業で職業の斡旋(あっせん)をしているわけではありません。したがってお客が望んでも、彼らは自らの利益にならないことをすることはありません。

彼らが、なぜそのような行動をとるのかを知っておくことで、望まない転職を防ぐことができます。

転職エージェントが技術系に詳しいとは限らない

あなたが、技術系でも今までと違う分野で転職を考えているとき、転職エージェントに詳しい話を聞こうとしてもかなわないかもしれません。それは、転職エージェントが、技術系の仕事は未経験である可能性が高いからです。

実際に私が、鉄道会社から電力プラント(火力発電所)に転職したときの話を例に解説します。

電力プラント(火力発電所)は、燃料を燃やして水を沸かし蒸気を発生させ、その蒸気の力を使ってタービンを回し発電するプラントです。発電所の構成要素の9割が機械設備で、この機械設備がきちんと保全されていることが発電所の安定運転の要です。

私が勤める電力プラントの上長は、機械保全の肝を「機械は音を聞いたら調子がわかるんだ。音の変化があったときは、何かがおかしくなっている。」といいます。そして、朝早くから聴診棒を持って、プラント内を何回も巡回しています。

聴診棒とは、下の写真のような道具です。

これを使うときは、下図のように耳に白い玉の部分を当てて、反対側の端を機器などに当てて音を聞きます。

引用:有限会社山口商店 商品紹介ページより

図のような、管路だけでなく、モーターやタービンなどの回転機でもよく使われます。要は、医者が心音を聞くのに聴診器を使うのと同じ原理です。聴診棒を使うことによって、流体の流れる音や回転体軸の摩擦音などがよく聞こえます。

私は聴診棒を使って現場を回ることや、電力プラントに回転機が多いことを、転職して初めて知りました。

聴診棒を使うと音がよく聞こえるといっても、その音の変化は僅かなものです。もし耳に難聴があったら、それが生活に不自由のないくらいの難聴だったとしても、仕事には苦労していたかもしれません。

このような現場の泥臭い話は、転職エージェントからされることはありませんでした。なぜなら、転職エージェントも知らないからです

以下の図は、転職サイトを運営するパーソルキャリア株式会社の転職エージェントを担当する職種の募集要件です。

ここに記載されているような「営業経験もしくは数字目標のある顧客折衝経験」は、機械保全の現場ではまず求められません。したがって、機械保全の経験者が転職エージェントになっているとは考えにくいです。

もちろん、転職エージェントは、一般的な仕事内容は広く知っているので、そこはとても有用です。しかし、技術的に突っ込んだ話や泥臭い現場の話は訊くことができないことが多いです。

転職エージェントは早く結論を出したがる

あなたが転職活動を進めていく中で、何社か企業の採用試験を受けることになります。このとき、一度に複数社を受けることはできないので、時間的にずらして受験します。そして、結果も同時に来ることはなく、断続的に来ます。

このとき転職エージェントは、早く決まった企業を推してきます。それは、あなたが納得していなかったとしても関係ありません。

私が転職活動をしていたとき、最初に内定をもらったのは、写真のような主に山間部鉄塔の建て替えや、送電線を敷設する会社でした。

会社としては、鉄道会社勤務時の年収を十分考慮して高く設定してくれたり、面接を担当した社長の人柄が良かったり、心惹かれるところは多かったです。しかし、この会社の仕事は、電気工事士や施工管理技士としての仕事だったで、入社を決めきれずにいました。

私は、電気主任技術者として仕事をしたいと、転職活動開始直後から話しているにもかかわらず、少し色合いの違う会社を強く推してきたのを覚えています。

鉄塔建設の会社に決めることを渋っていると、何が希望と違うのか根掘り葉掘り訊かれました。そのときは、「電気業界についてよく知らないから、これだけきいてくるのかなあ」くらいにしか思いませんでした。

しかし、今思い返してみると、「なんで主任技術者の仕事でないとダメなの?」というような、こちらの根負けを狙うような言い方でした。

これは、転職エージェントの給料の源泉について考えると納得できます。転職エージェントの給料は、求人を出している企業からの報酬から来ています。この報酬は、求職者が採用されないと発生しません。

転職エージェントが求職者の対応している間は、経費しか発生していないのです。会社として職業斡旋をしているため、経費を抑えて収入を上げたいのは、どの会社も同じです。

もちろん、上で述べたような私の経験が全てではありません。中には、求職者の気持ちをしっかりと汲み取って、納得できる内定をもらえるまで、サービスを提供してくれる担当者もいるでしょう。

このような、転職エージェントの給与の源泉について理解し、転職活動を進めることで、失敗を防ぎやすくなります。

転職成功へのポイント

以上のような、転職エージェントのサービスを利用するときのメリットとデメリットは十分承知して置かなければなりません。さらに、ここで述べる心構えを知っておくことで、転職成功しやすくなります。

・自分の考えを持って、転職エージェントに流されないこと

転職エージェントは、仕事として職業斡旋を行っています。したがって、彼らの損になることはしたがりません。

転職エージェントが勧めてくる求人が、あなたにとって最適解かどうかはあなたにしかわかりません。

もし、あなたが合格した企業に納得できないなら、はっきりと断りましょう。その際、転職エージェントが、理由を根掘り葉掘り訊いてきます。ここで安易に折れてはいけません。

実際に会社に行き、社内の雰囲気を感じ取って判断した内容と、転職エージェントの言葉の、どちらがこれからのあなたの人生に有用でしょうか?

私は、最後には上述の鉄塔建設の会社を断って、電力プラントへ転職しました。自分の希望通り、電気主任技術者の仕事に決めました。転職エージェントに流されていたら、今の満足はなかったでしょう。

満足できる転職にするためには、あなたが納得して決めることが重要です。

・複数の転職サイトを使い、広く求人を探すこと

転職サイトが扱う求人は、転職サイトによって違います。

企業側も、複数の転職サイトに求人を出す予算がないこともあります。また、費用をかけて求人を出す以上は、効果的なサイトに出したいと考えます。

これが、求職者側から見ると、ある企業の求人が全ての転職サイトに掲示されない理由です。例え、求人登録ランキング1位の転職サイトであっても、全ての求人を網羅しているわけではないのです。

ちなみに、私は転職活動にあたって、3社の転職エージェントサービスを受けました。「大手転職サイト」「技術系に強いサイト」「会社規模の小さい転職サイト」です。

最初に登録したのは「大手転職サイト」で、転職を決めたのは、途中から登録した「技術系に強いサイト」でした。

注意点で挙げた、転職エージェントの知識不足は、どのエージェントに当たるかにもよります。エージェントにより、多少技術系に詳しい人もいます。

それは、以下のような技術系を専門的に扱っている転職サイトだと、技術職場の詳しい話を聞ける可能性は高くなります。このサイトは、製造業などの技術系求人に強いサイトです。

また、下のサイトは総合転職サイトです。総合転職サイトでも、技術職分野として技術系の求人を扱っています。

このサイトでは、ものづくりエンジニアとして電気・機械設計の求人だけでなく、設備管理や技術営業などの求人を幅広く扱っています。

総合転職サイトは、専門サイトに比べて、扱っている求人の職種が幅広いのが特徴です。

このように、複数の転職サイト・転職エージェントを比較し利用することで、多くの求人に触れることができます。そうすることによって、転職成功につながりやすくなります。

まとめ

転職サイトのサービスを利用するときのメリットは、様々な企業情報を知っていて適切にアドバイスをくれることに始まり、「企業との調整をしてくれること」「非公開求人を紹介してくれること」などがあります。

また、転職サイトに登録されている求人を出しているのは、資金力のある企業であることが多いです。

反対に注意点は、転職エージェントが技術系に詳しいとは限らないということがまず挙げられます。転職エージェントは、会社について広く浅く情報を持っていますが、現場の泥臭い話は知らないことが多いです。

また転職エージェントは、早く転職を決めさせようとします。これは、あなたの転職が決まらないと報酬が発生しないからです。

このようなメリット・デメリットを承知した上で、「最後は自分の意志で決定すること」「複数の転職サイトを使って求人を探すこと」により、満足のいく転職につながります。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。

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