イオンは年間売上8兆円を誇る小売業界トップの企業です。あなたも一度はショッピングに訪れたことがあるのではないでしょうか。

この莫大な売上を稼ぎ出すには、大規模な商業施設があります。イオンショッピングセンター、イオンモールと呼ばれるこれらの施設には、当然のことながら電気設備がたくさんあります。電気設備があれば、それを保守管理する仕事も必ずあります。さらに電気を使っている以上は、電気主任技術者の仕事もあります。

しかし、仕事があるのはわかったものの、どのように応募すればよいかわからないかもしれません。

ここでは、まずイオンの電気設備を保守管理する電気主任技術者として働くにはどのように求人を探せばよいか解説します。そして、働く際の注意点や、年収の考え方、年収面で転職成功する方法について詳説します。

もくじ

イオンモールで働くにはイオンディライトを狙う

イオンモールなどイオンの施設で電気職として働くには、イオンディライト株式会社への転職を狙う必要があります。イオンディライト株式会社は、イオングループの施設管理を一手に引き受ける会社です。

引用:イオンディライト株式会社ホームページより

イオンディライト社は、いわゆるビルメンテナンス業を行う会社です。イオンモールのほか、一般のビルや施設のビルメンテナンス業を請け負うこともあります。

本社は東京にあり、支社は全国8箇所、支店営業所も全国にあります。まずはイオンディライト社の求人を探すことから始めましょう。

イオンの電気主任技術者選任の求人は少ない

では、電気主任技術者資格を持っていると、イオンディライト社の求人ではどのように評価されるのでしょうか。電気主任技術者の募集はたくさんあるのでしょうか。

実は、電気主任技術者に選任されることが前提の求人はまれです。もちろん、電気主任技術者選任前提の求人は出ていることもあります。下図は、山形県天童市のイオンモールの第2種電気主任技術者募集の求人です。

通常このような求人は、特定の店舗・地域で募集がかかります。あなたが希望する勤務地で募集がかかるかどうかは運次第です。あなたが生活拠点を移すことや勤務地に頓着しないなら、全国どこでも求人が出る可能性はあるので見つけ次第応募しましょう。

このように、電気主任技術者選任前提の求人がなかなか出てこないのには理由があります。それは、現在事業を行っている以上、すでに電気主任技術者が選任されているからです。

私も電気主任技術者資格(電験)を活かして、電気主任技術者に選任される求人を探しました。結果、新規に建設する電力プラントに転職しました。下図がそのときの求人内容の一部です。

この募集内容には「将来的に第2種電気主任技術者の資格を取得」とありますが、私は採用試験のときにはすでに取得していました。新規に電力プラントを建設するので、該当の資格があればすぐにでも選任されるのかと考えていました。

しかし、すでに第1種電気主任技術者のベテランが計画段階から勤務しており、私の選任はそのベテラン社員の退職後です。今はまだベテラン社員の指揮下で、電気主任技術者の補佐をしている状況です。

新規に事業所を建設する場合でも、電気主任技術者に選任される転職を成功させることは難しいです。また、イオンモールのように、すでに事業を何年か行っている施設では必ず電気主任技術者は選任されており、ポストの空き待ちです。

さらに、イオンディライト社は数千人も社員を抱えています。このような企業では、同一地域で電気主任技術者資格の有資格者を余剰に抱えていることがほとんどです。

例えば、私が住んでいる福岡県に新しくイオンモールを建設する場合を考えてみます。福岡県にはイオンモールが16店舗あります。では、電気主任技術者の資格者は16人しかいないかというと、そのようなことはまずありません。16人プラスアルファの人員を抱えていることがほとんどです。

新規店舗を建設する場合は、このプラスアルファの人材の中から選任できる人材を探します。福岡県内で人材が見つからなかった場合は、隣県や九州地域に範囲を広げて調整します。

私が以前勤めていた鉄道会社でも、上の説明と同じように社内の人材を都合します。新規路線を作って、新しく電気主任技術者選任の必要が生じた場合は、社内の人材を異動させて対応します。新しく募集をかけることはありませんでした。

先程の天童の電気主任技術者募集の求人では、人材の都合がつかなかったために外部に人材を求めたと考えられます。

このように、企業は新しく中途採用を募集するより先に、社内で人材が調達できないかを考えます。なぜなら中途採用には人事異動よりコストがかかるからです。

人事異動なら、せいぜい引越し費用と赴任旅費の支給くらいで済みます。しかし、新規に採用すると人事や関係部署の社員が対応するための時間コスト、募集広告の費用、転職サイトを使えば成功報酬、そして採用した人の給料が新しくコストとして追加になります。

さらに電気主任技術者として採用するということは、社内で責任あるポスト(役職)と見合った給料を支払う必要があります。

企業がコストをかけたくないのは、あなたも働いていればよくわかると思います。このような理由から、電気主任技術者として採用されることが前提の求人は少ないことを理解しておきましょう。

電気主任技術者資格を武器に設備管理職として転職する

では電気主任技術者としてではなく、ビルメンテナンス業の設備管理職としてなら採用はあるのでしょうか。実は、イオンディライト社の中途採用は多くがこの採用枠です。

設備管理(設備保全・設備保守ともいう)の仕事自体は、あまり難易度の高い仕事ではありません。設備管理の仕事は、機器が継続して動作するように「検査」「分析・評価」「対策検討」「対策実施」のルーチンを回し続ける仕事です。

このうち、一番頻度が高いのが検査(点検)で、二番目に分析・評価の仕事です。これらは設備を覚えるのが大変ですが、一通り覚えてしまったあとは日々淡々とこなす仕事になります。

私が新卒で鉄道会社に入ったときは、まず設備管理の仕事を担当しました。鉄道会社では、現在でも入社するとまず設備管理の仕事を担当します。ビルメンテナンスとは、設備が商業施設か鉄道電気設備かというだけで行うことは同じです。

このとき新卒社員は2ヶ月程度の研修を終えたあと、半年もすれば一通りの仕事ができるようになります。もちろん過去の経験に裏打ちされた分析はできません。しかし、そのような場面はほとんどなく、ベテラン社員と一緒に仕事をするので特に問題になりません。

電験の有資格者であれば、最も低難易度の電験三種であっても電気に関する知識は高く評価されます。更に難易度の高い、電験一種や電験二種の有資格者ならなお高評価です。

さらに言えば、ビルメンテナンス業の大変重要な仕事の一つである電気保安業は、経済産業省が2045年に向けて人材が不足すると見込んでいます。つまり電験資格者は不足しつつある人材であり、転職の際の大きな武器になります。ちなみに、25,000平米くらい(イオンと100の専門店)のイオンショッピングセンターは、下の写真のとおり受電は6.6kVで、第三種電気主任技術者の選任を要します。

電気主任技術者に選任されることは一旦保留して、設備管理職として入社してから社内で選任されるチャンスを待つというのも有効な手段です。

そのほか、求人によっては電験資格のほかに電気工事士資格を求めている場合があります。ビルメンテナンス業の普段の仕事には電気主任技術者資格よりも電気工事士資格のほうが出番が多いです。したがって、下の求人のように電験三種は歓迎条件で電気工事士資格が必須とされている求人も多いです。

あなたが電気工事士資格も持っているなら問題なく応募できます。問題なのは、電験資格は持っているけれど電気工事士資格を持っていないときです。そのようなときは、「次の電気工事士試験で合格する。すでに申し込んだ。」などと意気込みを伝えることで受験できることがあります。私は転職活動時に、受験資格がなくても意気込みを伝えることで内定をもらったことがあります。

もちろん、言ったからには入社後資格を取得する必要があります。ちなみに、電験資格があれば電気工事士資格は学科試験免除で実技試験のみで取得することが出来ます。

このように、小さなチャンスでも有効に活用することで転職成功しやすくなります。

イオンディライトの年収を知る

最後にイオンディライト社に転職する場合の年収について解説します。

先に紹介した同社の求人2件の年収の欄には、下図に示すように電気主任技術者選任の案件で「400~600万円」、設備管理職で「350~590万円」と示されています。

設備管理職の求人には選任手当が「2,000~15,000円」とあります。また、基礎資格手当があることが記載されています。こちらは金額不明です。つまり、イオンディライト社で電気主任技術者として選任されても、ほかに資格がなければ設備管理職の年収に24,000~180,000円が加算される程度の年収になります。

なお、ビルメンテナンス業の年齢別平均年収は下のグラフに示すとおりです。

引用:令和元年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)をグラフ化

このグラフからもわかるように、イオンディライト社の年収は業界平均よりも高い年収が提示されています。

イオンディライトの年収は転職サイトを使った方が高い

さらに少しでも高年収がよいなら、転職サイトから応募することで転職成功しやすくなります。下図は、イオンディライト社のホームページに掲載されていた第2種電気主任技術者選任の求人です。

先程の転職サイトでは「提示年収が400~600万円、提示月給が25万円~」なのに対し、ホームページの求人では「提示年収が400万円~、提示月収が24~26万円」です。それぞれの年収と月収の比から推定値をまとめたのが下表です。同じような求人なのに、転職サイトのほうが高給であることがわかります。

転職サイトの求人 ホームページの求人
計算値含む提示年収 400~600万円 400~452万円
計算値含む提示月収 25~37.5万円 23~26万円

提示の年収が高いだけでなく、年収交渉も転職エージェントが代行してくれます。あなたは年収交渉に自信がありますか? 転職エージェントは何件も年収交渉の経験があります。転職エージェトに年収交渉を任せるとより良い条件を引き出せる可能性が高まります

このように、転職サイトを利用すると転職して年収面で失敗する可能性を極限まで小さくすることが出来ます。

まとめ

ここまで、イオンで電気主任技術者資格を活かして働くにはどのようにすればよいかを解説してきました。

あなたが電気主任技術者としてイオンで働きたいと考えたとき、イオン自体に電気技術職が勤める部門はないので設備管理を一手に担うイオンディライト株式会社に転職することを目指す必要があります。しかし、電気主任技術者選任前提の求人は少ないことを理解しておく必要があります。電気主任技術者選任のほか、あなたの条件に合う求人を見つけたら運が良いので、すぐに申し込みましょう。

電気主任技術者選任ではなく、設備管理職に転職して将来的に電気主任技術者に選任されることを目指すのも有効な手段です。ただし、この際は電気工事士資格を求められることもあるので注意が必要です。

イオンディライト社の年収は、400~600万円程度が提示されています。これは政府統計のビルメンテナンス業全体の平均年収と比べても高いです。

特に高い年収を求めるなら、転職サイトで転職エージェントサービスを使う必要があります。同じような求人であっても転職サイトのほうが提示年収は高く、さらに年収交渉代行サービスも受けられます。転職サイトを利用することで、年収面で転職成功しやすくなります。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。

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