さまざまな職種・業種で女性の活躍が目覚ましい時代になりました。電気系の仕事も例外ではありません。かつては、男性しか就業することのできなかった仕事も、性別を理由に就業を制限することができなくなったからです。

しかし、女性を敬遠する会社は存在します。そのような会社に応募しても、良い結果を得ることは難しいです。また、採用されたとしても、女性というだけで苦労することは目に見えています。

女性が電気系の職種に転職成功するには、女性を歓迎している会社・職種を知った上で転職活動することが必須条件です。

ここでは、女性が転職成功するために「女性が転職できる電気系職種とその実態」「女性が働きやすい会社の見極め方」について詳しく解説します。

女性が転職できる電気系職種を知る

女性が電気系の仕事に転職しようとして求人を探すときに、注意しなければならないことをまず説明します。

それは、男女雇用機会均等法があるため、求人を見ただけでは女性が必要とされている求人なのか、敬遠されている求人なのかどうかわからないということです。

男性の社員だけを求めていたとしても、求人票には「男性のみ応募可」とは書けないのです。このような会社の求人に応募しても、書類選考でうまく理由をつけられて落とされるだけです。

このことを承知した上で、転職成功しやすい求人を探していくことが重要です。

電気系職種の女性の不利な点は「体力」と「トイレ」

私がこれまで電気設備の設備管理・工事設計・施工管理・設備運用などの職種で仕事をしてきた中で、何人かの女性と一緒に働く場面がありました。そのほとんどの場面で、女性と男性の能力差を感じたことはありません。もちろん年収差もありません。

むしろ女性社員のほうが、優秀だと感じることが多かったです。電気系技術職の女性管理職として、数十人の男性社員を部下として従えている人とも一緒に仕事をしたことがあります。

ただ、2点において女性が不利だと感じたことがあります。それは、「体力」と「トイレ」です。

物を運んだり、ネジ・ボルトを締めるなどの力仕事をしたりするときに、一般的な女性の体力だと不足したり効率が悪かったりすることがあります。

私が経験したのは女性社員と二人で作業をしたとき、電気設備を納める箱の蓋が重たくて、一緒に作業した女性一人だけでは閉めることができませんでした。

一人ひとりの能力を鑑みれば、男性より体力のある女性はいます。しかし、平均的に考えると女性の方が男性より体力が弱いです。したがって、体力を必要とする業種の企業にとっては、女性であるというだけで採用を敬遠する材料になります

次に、「トイレ」について説明します。

電気系の仕事は、作業・工事現場に赴いて行うことが多いです。工事現場だと、下の写真のように仮設トイレが設けてある現場もあります。しかし、作業箇所が点々とする場合は、このようなトイレがないことがほとんどです。

私の実体験でいうと、屋外の作業現場で移動しながら夜間作業する仕事中に、激しい腹痛に襲われたことがあります。近くに公衆トイレやコンビニがあるような場所ではなく、やむを得ず現場の隅の方に隠れて用を足したことがあります。

女性の同僚もトイレのことは気にしていて、現場作業があるときは摂取する水分量を減らしていると言っていました。

このような現場仕事のある会社の管理者には、トイレ設備面での女性に対する十分な配慮ができないため、「そもそも採用していない」「採用を控えている」という場合があります

以上の2点を除けば、電気系の仕事の遂行能力で男女の差はありません。反対に言えば、「体力」「トイレ」がネックになりそうな仕事では、女性の採用を敬遠する傾向があることを理解しておきましょう。

電気系職種の女性の割合を知る

では、実際に電気系職種でどれくらいの女性が活躍しているのでしょうか? 厚生労働省が公表している賃金構造基本統計調査に職種別男女別で従事者数を記載している部分がありました。下のグラフは、そこから電気関係職種を抜粋しグラフ化したものです。

あとの説明のために、職種を弱電系と強電系の傾向を示しています。グラフ左が弱電の色合いが強く、グラフ右が強電の色合いが強いです。

引用 : 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)より抜粋してグラフ化

この統計には、化学製品製造従事者など電気系だけでなく機械系・化学系の仕事も含まれます。しかし、男女比としては大きく違いはないので、一つの資料として説明しています。

電気が関係する職種全体の男女比は、約6 : 1です。そもそも、このような職種を目指す工学部や理学部の男女比率が6 : 1くらいの男女比です。内閣府の男女共同参画白書によると、学部の女性比率は工学部で15%程度、理学部で30%弱です。

このような実態があるため、性別に関係なく採用の門戸を開いていたとしても、必然的に男性比率の高い会社が多くなります。

ただし、弱電系の職種の場合は女性比率が高くなります。弱電系の職種は、強電系の職種に比較して、体力の必要な場面が少ないからだと考えられます。例えば、下図のような電気通信工事では、「UTPケーブルの取り回し」「LANスイッチの設定」など電力ケーブルを引き回すより力が不要な作業が多いです。

私が以前勤めていた鉄道会社には、強電系と弱電系で部門が分かれていました。強電系には5人くらいしか女性がいませんでしたが、弱電系には20数人の女性社員がいました。また、40代で女性管理職になっている人もいました。そのあと、電力プラントに転職したら、女性社員は0人になりました。

実感としても、通信やコンピューターに関係する弱電系の職種の方が、女性社員比率が高いです。

なお、「体力」「トイレ」の心配のない事務仕事になると、女性比率が上がります。つまり、工事設計積算・電気部門の管理業務など、事務室で作業する職種だと、女性比率が高いです。

したがって、同じ電気工事に携わる仕事だとしても、女性電気工事士として現場で仕事をする会社よりは、電気工事設計をする会社の方が女性の採用実績がある可能性が高いです。

女性が転職しやすい事務室で作業する電気系職種の求人例

ここからは、実際に「体力」「トイレ」の心配がない電気系の職種を紹介します。

下の求人は、静岡県に拠点を置く株式会社MSK電工の求人です。電気設備設計を行う人材を募集しており、業務詳細で「書類作成」「データ入力・測定」「打合せ」と記載されており、事務仕事であることがわかります。

電気設備設計は、電気工事をするための工事設計を行う仕事です。工事費を算出する積算と合わせて、「電気工事設計積算」と呼ばれることもあります。なお、単に「電気工事設計」と記載されていても、「積算」を含む場合があります。

私はこの職種を3年半経験しています。そのときは、全く工事現場に出ずに工事設計することはないものの、ほとんど事務所で工事資料を作っていました。また、現場で工事経験を積んだ女性社員も比較的多数在籍していました。

そして実際に電気工事の経験があると、工事設計の仕事に就くのに大変有利です。電気工事士経験があるなら、その経験を活かして仕事の幅を広げることができます。

次に紹介するのは、東京・大阪のほか全国で水処理施設の運転管理・保守を行っているメタウォーターサービス株式会社の求人です。この求人では、運転管理・保守管理を担当する人材を募集しています。

求人票に記載してある運転管理の仕事は、主に中央制御室・中央操作室で仕事を行います。中央制御室は、下の写真のようにコンピューターを並べてプラント全体の監視を行い、必要に応じて操作を行います

このような運転管理の仕事には、バックグランドが機械系の社員と電気系の社員が二分して配置されていることが多いです。

いずれの求人も、電気の専門知識が必要です。あなたの専門性を活かしつつ、実作業として力仕事がないオフィスワークが中心になります。以上のような求人を、転職活動で探していくと良いです。

女性が働きやすい企業を知るには

ここまで、概要として、「どのような職種で女性が多いか」「採用されやすいか」ということを詳しく説明してきました。

しかし、応募する企業が女性を歓迎しているかどうかは、個別に見極める必要があります。ここからは、個別に見極める方法を解説していきます。

求人票やサイト情報から探る

最も手軽な方法は、求人票や転職サイトの情報から探ることです。

男女雇用機会均等法によって、性別を絞った求人を行うことはできませんが、例外があります。それは、「男女比率を是正するために、少ない比率の性別の人を募るのはOK」という例外です。

例えば、以下のメタウォーターサービス株式会社の求人では、活かせる経験・資格のほかに「ポジティブアクション」として女性を歓迎する記載をしています。この求人は、水処理施設の電気系運転員・保全員を募集する求人です。

ここまで説明してきたように、電気系職種では基本的に女性の方が少数派です。したがって、電気系職種でメタウォーターサービス社のような「女性歓迎」という記載がある求人は、本当に女性を歓迎していると考えてよいです。

そのほか、転職サイトでは「女性向け求人」を絞り込むことができます。例えば、大手転職サイトのdodaでは、下図のように「女性活躍中」の求人を優先的に絞り込むことができます。

同様に、マイナビ転職では、「女性のおしごと掲載中」の求人を絞り込むことができます。「女性のおしごと」とは、マイナビ転職のうち女性向け求人を集めたサービスの一つです。

このような明らかに女性OKの求人であれば、闇雲に応募するより転職成功する確率を上げられます

会社訪問できると良い

あなたが応募したい求人が見つかったとして、実際に会社がどのような雰囲気か知りたい場合はどうすればよいでしょうか。一番良い方法は、実際に求人を出している会社に足を運んでみることです。

実際に職場をあなたの目で確認すると、文字情報や写真ではわからなかったことが明らかになります。

例えば、写真では明るい雰囲気のオフィスがボロボロで暗いということがあります。反対に、四角四面で硬そうな文面で求人票を出していた会社が、談笑のある和やかな雰囲気で仕事をしていることもあります。女性のあなたが、会社を訪問したときの反応を伺うこともできます。

これらは、他人の情報ではなく、自分で確かめて感じてみるのが一番良いです。なぜなら、その会社で働くのはあなただからです。自分が働きたいと思える職場かどうかは、自分でないと判断できません。

しかし、転職エージェントを使った転職では、応募書類を転職エージェントが先方企業に送ることがほとんどです。ここは、転職エージェントに断りを入れて、自分で履歴書や職務経歴書を直接先方企業に持っていくと良いです。

この手を使えば、応募書類の受け渡しで先方企業の職場を伺うことができ、何人かの社員とも顔を合わせることになります。そこで、自分が働くのにふさわしい職場かどうか判断する情報を得られます。

求人票では「女性歓迎」としていても、女性のあなたが応募書類を持って行ったときに、ぞんざいに扱われ担当者の顔が曇るようなら、その会社は避けたほうが無難です。

そのほか、企業によっては採用のプロセスの中で、職場見学を実施していることがあります。

例えば、下図の株式会社マルイファシリティーズでは二次面接のあとに事業所見学があることが謳われています。ちなみに、同社は経済産業省が女性活躍推進に優れた企業として認定する「なでしこ銘柄」に選定されています。

このような職場見学(事業所見学・工場見学)を通して職場の雰囲気を知ることは、もちろん大切です。さらに情報を得るには、職場見学のときに、「将来一緒に働くことになる上司や仲間と話をしたい」と申し出てみることです。

あなたのこの申し出に対して快く応じてくれるなら、あなたを採用することに前向きであると判断できます。一方、体よく断られたなら、あなたを採用する気がないか、採用前に知られるとまずいことがあるということです。

この申し出がOKならあなたが情報を得ることができ、NGならあなたにとってふさわしい会社ではないことがわかります。どちらになったとしても、あなたにとって有利になります。

転職エージェントをうまく利用する

そうはいっても、求人を出している企業に対して直接要望を言うことは気が引ける方もいるでしょう。

もしあなたがそうだとするならば、転職エージェントを介して企業側に要望を伝えることも有効な手段です。

転職エージェントは、あなたの転職を成功させないと自分の給料になりません。あなたが転職を決めるのに必要なことであれば、極めて前向きに様々な要望を聞いてくれます。

職場見学しようとしても、すべての会社が実施すると求人票に記載しているわけではありません。そのような企業であっても、転職エージェント経由で職場見学を申し込むことができます

私はかつて、転職エージェントに「職場見学をできないか先方企業に依頼してほしい」とお願いしたことがあります。そのときの回答は、「書類応募前は難しいが、書類選考が通ったあとなら全く問題ない」ということでした。

つまり、「職場見学がある」と求人票に記載していなくても、転職エージェントを通せば職場見学できるチャンスはいくらでもあるということです。

職場見学できたら、やることは前項で解説した内容と同じです。あなたが女性としてその職場で働くとき、働きやすそうか、上司・仲間となる人は十分に理解があるかなどを確認してください

以上の手順を踏むことで、転職成功する確率を飛躍的に上げることができます。

まとめ

女性が電気系職種に転職するとき、手当たりしだいに求人に応募してもなかなか良い結果は得られません。法令により、企業は表向き女性を敬遠していると求人票には書けません。まず、どのような職種で女性が不利なのかを知っておく必要があります。

女性が不利になりやすいのは、「トイレ」「体力」がネックになりやすい職種です。これらの職種では、企業側に設備が整っていなかったり、風土として女性を受け入れる環境が整っていなかったりするので、転職成功するには企業が絞られます。

オフィスワークが中心の職種(設計・積算・管理部門など)を募集している企業を狙うと良いです。

女性が転職しやすい企業は、「女性を歓迎している」というメッセージを求人票などに記載していることが多いです。これらのメッセージを読み取り、積極的に応募すれば転職成功しやすいです。

また、応募書類を直接企業に持って行ったり、職場見学をうまく活用したりすることで、職場の雰囲気を感じ取ることが転職成功への足がかりになります。希望する企業が、「あなたにとってふさわしい会社か」「女性を歓迎しているか」は、直接あなた自身が確認するのが確実です。このようなプロセスを経ることで、転職成功しやすくなります。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。