現代的な工場には、電気が欠かせません。多くの工場では、動力や監視制御のために電気を使っています。電気なしで工場を稼働することは不可能です。その工場には、電気設備を保全する仕事が必ずあります

しかし一言で工場といっても、たくさんの工場があります。あなたは、モノを作る工場をイメージしていますか?

実は工場にも複数種あり、どれも電気設備があります。したがって電気保全の仕事があります。電気保全の優れた求人を見つけ出し転職を成功させるには、このような工場の種類や求められるものを把握しておく必要があります

ここでは、製造業以外で電気保全が活躍できる工場、生産技術と設備管理の詳細、電気保全のきつさと予め知る方法、年収について解説します。

もくじ

製造業以外の工場も選択肢に入れよう

あなたは工場と聞いて、どのような業種を想像しますか? 自動車を組み立てている工場でしょうか? それとも、下の写真のような飲料品や食品を作っている工場でしょうか?

もちろん、このような製造業と呼ばれる会社の多くは、生産拠点として工場を持っています。工場への転職を考えるときに、製造業を志望するのは自然な考え方です。

しかし、工場(プラント)と呼ばれる拠点を持つのは、製造業だけではありません。例えば、エネルギープラントが該当します。

私が今勤めているのは、下の写真のような電力プラントです。

電力プラントで働く同僚の中には、製紙工場から転職してきた同僚がいます。彼に話を聞くと、製紙工場と電力プラントでは設備に類似の点がいくつもあるということです。

私は、転職する前には鉄道会社で電気設備の保全マンとして働いていました。車両工場の電気設備を管理したこともありますが、電力プラントでも類似する設備はたくさんあります

電力プラントだけでなく、環境プラントと呼ばれる清掃工場や水処理プラントも工場の一種です。

下の写真は、清掃工場の監視制御室の一部です。清掃工場では、発電を行っていることもあり、電気設備はたくさんあります。

また、水処理プラントも水を移動させたり、薬品を注入したりする操作のほぼ全てが電気による自動制御で行われます。さらに、制御するためにはセンサーによる監視も必要です。

これらは全て電気を使った設備が用いられています。したがって、電気設備を管理する電気保全の仕事があります。

工場で電気保全職として働きたい場合は、このような製造業以外の工場を知っておくと、選択肢が広がり転職成功しやすくなります

電気保全の職種は生産技術と設備管理(設備メンテナンス)の2種類

工場の電気保全・メンテナンスの職種は、大きく分けて2種類あります。それは、生産技術と設備管理です。

どちらも保全の仕事なので、基本的な考え方は同じです。しかし、扱う設備や求められる経験に違いがあります。

あなたのこれまでの経験・スキルや資格を活かすには、この違いを十分に知っておくことが大切です。

生産技術の求人例

生産技術職は、製造業で生産にかかる設備を保全・管理する職種です。例えば、以下のような本田技研工業株式会社の求人が該当します。この求人は、三重県鈴鹿市の自動車工場での溶接機械を保全することになります。

製造業では、多くの工程を自動化し機械の力を使って生産することがほとんどです。その生産機械の動力や制御は電気により行われており、電気の技術者は必須です。

本田技研工業社の求人のように、生産設備・機械の電気的な保全を担うのが生産技術職の仕事です。

このような生産技術職に求められる資格やスキルはどのようなものがあるのでしょうか。本田技研工業社の求人では、下図のように必須の資格はありません。必須で求められるのは、設備保全の経験や設計の経験です

一方歓迎条件としては、プログラミング知識や保全技能士資格などが挙げられています。プログラミング知識は、生産機械を制御するために必要なものです。

また、保全技能士資格は電気保全などの技能を担保する資格です。あなたに実務経験があり、さらに保全技能士の資格を持っていると評価されやすくなります。

ただし、資格はどれも補助的に求められるもので、生産技術職の場合は経験が重要視されることを覚えておくと良いです。

設備管理(工務・設備保全)の求人例

工場の電気保全のうち設備管理の仕事は、生産設備以外を保全する仕事です。この職種は製造業以外の業種にもある職種で、工務、メンテナンススタッフなどとも呼ばれます。

例えば、下図の水ing株式会社の求人は、国内の製薬会社でユーティリティー設備を管理する仕事です。

ユーティリティー設備とは、直接生産や事業活動に使われない設備で、電気・熱源・給排水などの設備を言います。下の写真のような、工場の受電設備も含まれることがあります。

直接生産などに関係しないと言っても、電気や給排水がない工場が正常に稼働するでしょうか? 一般住宅のライフラインと同じで、工場にとってのライフラインはユーティリティー設備と言っても過言ではありません。このような設備管理でも電気保全の出番があります。

なお、「設備管理」と「生産技術」を明確に区別していない企業もあります。下図の株式会社三井ハイテックの求人では、岐阜県可児市の自動車部品工場の設備保全職の募集で、生産設備の保全も業務内容に入っています。

また、製造業以外の設備管理の求人例は、下図の株式会社タクマテクノスの求人が該当します。この求人では、関西圏の自治体の環境プラントに勤めることになります。

タクマテクノス社は、自治体から環境プラント(ごみ処理工場)の運営を請け負っています。製造業以外の求人は、類似の求人を探すと良いです。

設備管理に有効な資格やスキルは、水ing社の求人を例に出すと下図のように実務経験が必須になっています。

やはり生産技術職と同様に、実務未経験では転職しにくいです。しかし、生産技術より求められる実務経験の幅が広いです。直接関係する経験だけでなく、広く保全をしていた経験が求められています。あなたの経験が該当するのかどうか気になるときは、まず問い合わせてみるとよいです。

なお、歓迎条件として電気関係の資格が列挙されています。求められる経験の範囲が広いのと同様に、電気工事士・電気主任技術者・エネルギー管理士資格など該当する資格が多いのが特徴です。

あなたがこれまでの仕事で該当する資格を持っているときは、大いにアピールすることができます。

電気保全の仕事はきついのか?楽なのか?

ここまで紹介した電気保全の仕事は、きついのでしょうか、楽なのでしょうか? あまりきつい職場だとわかっていれば、転職を躊躇したくなると思います。ここでは、私の経験談を踏まえて、事前に精度高く予測する方法を解説します。

電気保全の仕事は、設備が不意に故障しない限り体力的には楽です。残業もあまりないと考えて良いです。ただし、故障や自然災害が頻発したときや、設備更新や改良などの工事があると激務になることもあります。私は自然災害も工事も経験しており、辞めたいと思ったことも何度もあります。

私が住んでいる九州は台風の影響が強いことが多く、台風が来るたびに職場で夜通し待機することがあります。これは、強風で設備が壊れたときの応急処置を迅速に行うためです。

したがって、工場内の生産設備を保全する製造技術職ではあまり考えられなく、屋外に大型の設備を持つ設備管理職のほうが対象になるケースが多いです。

また、九州なら台風が襲来する夏場に発生しやすく、私が以前住んでいた北陸だと爆弾低気圧が発生する冬場の対応が多くなります。地域差があることは承知しておく必要があります。

さらに、風だけでなく、頻度は小さいものの地震や水害のときにも対応することを知っておきましょう。地震や水害のときは、製造技術職でも非常呼び出しがあると考えておくと良いです。

もちろん、自然災害以外でも設備が故障することはあります。小さな故障なら常駐係員だけで対応できますが、大きな故障になると休みでも呼び出しがかかることもあります。

電気保全の仕事には、非常呼び出しは付き物だと認識しておきましょう

工事があると激務になりがち

厳密には保全ではないものの、企業によっては設備更新・改良工事を保全職に含めることがあります。例えば、先程紹介した水ing社の求人が該当します。この求人では、業務内容に工事に関する業務が記載されています。

この会社のように、工事に関する業務があると、途端に忙しくなると覚悟しておきましょう。

なぜ工事は大変なのでしょうか。それは、検討事項や不測の事態の発生頻度が保全とは比べ物にならないくらい多いからです。

保全の仕事は、ある程度完成されたルーチンワークです。下の図のように、検査→分析・評価→対策検討→対策実施のサイクルを回し続けて、設備が故障しないことを担保します。

一方、工事の仕事は定形の仕事をこなしていれば出来上がるような仕事ではありません。次から次へと出てくる問題・課題をクリアしながら、仕様を固め、施工していく仕事です。

私は、保全と工事の両方の仕事を経験しています。保全の仕事を先に担当したので、工事の仕事を担当して2年位はなかなか慣れませんでした。

私と同じように、会社の後輩が保全から工事の仕事の順で移動したとき、次のようなことを言っていました。

工事の仕事は、あらゆる事態を想定して仕様を決めていかなければならないのが大変だ。

保全の仕事は、設備や技術的なことについてそこまで知らなくても、通り一遍の仕事はできた。自分の勉強不足が身にしみている。

このように工事の仕事は、保全の仕事とは違った難しさがあります。それに伴って、学ぶことや業務も増え、残業時間も増える傾向にあります。

希望する工場の忙しさを知る方法

それでは、このような仕事の忙しさはどのようにして知ることができるでしょうか。これには、次に挙げる方法があります。

  1. 転職エージェントを通して、仕事(保全・工事)の内容や勤務形態(非常呼び出しなど)を訊く
  2. 面接のときに質問する。

1の方法は、気軽に試すことができます。

転職サイトを通して転職エージェントサービスを使えば、転職エージェントを通して求人に応募することになります。したがって、応募するときに求人に関する疑問として、「非常呼び出しの頻度はどのくらいか」「保全と工事の仕事の割合はどのくらいか」などを訊くと良いです。

転職エージェントの担当者が知らなくても、会社に問い合わせるなど詳細を訊いて教えてくれます。

2の方法は、書類選考に通って面接試験のときに使える方法です。また、転職フェアなど直接希望する企業と話す機会を利用することもできます。

この方法は、1の方法とは違って直接先方企業から情報を得る方法です。したがって、転職エージェントを介しては伝わらない微妙なニュアンスも知ることができます

具体的には以下の項目などを自分の言葉で尋ねると良いです。ちなみに、回答例は私がある企業から貰った回答です。

(非常呼び出しの頻度を知る質問)

Q.非常呼び出しはあると考えているが、実績としてどのくらいの頻度であるか。
A.年間で4回程度あった。

(故障の多い老朽化した設備に対する意識を知る質問)

Q.設備改良・更新のための予算は十分についているか。
A.以前は予算がつきにくいこともあったが、最近はつきやすくなった。工場が一回停止すると数億円の損失が出るので、少々予算がかかっても更新するようになった。

(超過勤務時間の実態を知る質問)

Q.残業時間は年間を通してコンスタントにあるか。それとも多い時期が決まっているか。そのときの時間はどのくらいか。
A.定期修繕があるので、その時期に残業が増える。年一で、多くても月60〜80時間まで。定期修繕の時期以外は月15時間前後である。

(工事の仕事が含まれるか知る質問)

Q.定期点検だけでなく、設備更新や修繕工事は応募した職種の仕事内容に含まれるのか。
A.含まれる。工事は外注なので、設計積算・施工管理が主な業務になる。

このような質問を直接企業の採用担当に投げかけることによって、会社の実態を推し量ることができます。対面で話すと仕草や話し方で、回答が本当かどうか測る精度を上げることもできます。

面接は、あなたが選ばれると同時に選ぶ立場でもあります。積極的に質問をして、疑問点や不安な点を消していきましょう。そうすることによって、ミスマッチや失敗を極限まで小さくすることができます。

年収は業種による

最後に、工場の電気保全職の年収を確認します。最初に紹介した本田技研工業社の年収は、下図のように求人票に400~610万円と提示してあります。

同様に、ここで紹介した求人の年収を確認すると、下表のようになります。

会社名 提示年収[万円] 業種 職種
本田技研工業(株) 400~610 製造(輸送用機械) 生産技術
水ing(株) 450~600 そのほか技術サービス 設備管理
(株)三井ハイテック 300~500 製造(電気機械器具) 設備管理+生産技術
(株)タクマテクノス 300~350 そのほか技術サービス 設備管理

提示されている年収は、会社によってさまざまであることがわかります。しかし、業種である程度提示年収に高低があります。

これは、厚生労働省が調査している賃金構造基本統計調査の結果を見るとよくわかります。下のグラフが、業種ごとの平均年収を示したものです。橙色が非製造業、青色が製造業を示しています。

引用:平成30年賃金構造基本統計調査より作成

このグラフは、電気保全の仕事がある業種を抜粋して作成しています。これによると、航空運輸・電気・製造(石油石炭製品)の平均年収が高いことがわかります。

求人を探すときにはグラフの左側の業種を探し、積極的に応募することで高年収を得やすくなります

まとめ

工場の電気保全職を探すときには、製造業だけでなく非製造業の工場も対象にすると選択肢が増えます。エネルギープラントや環境プラントなど、製造業と同じような設備を持っている工場はたくさんあります。

電気保全の仕事を募集するとき、企業は「生産技術」「設備管理」の職種として募集することが多いです。

生産技術職は、製造業で生産設備を保全する仕事です。設備管理は、生産設備以外のユーティリティー設備などを保全します。後者は、非製造業の工場で募集されるときの呼称です。ただし、製造業では明確に区別していないこともあります。

生産技術職に有効な資格・スキルは、これまでの類似の実務経験であり、資格はあまり重要視されません。設備管理職も設備メンテナンスの経験を求めますが、生産技術職よりは範囲が広いです。また、歓迎される資格も種類が多いです。

これらの職種は、保全だけだときつくはありませんが、工事があるときつくなります。また、自然災害時には非常呼び出しを覚悟しておく必要があります。

面接や転職エージェントを通して、働き方の実態を知ることでミスマッチを防ぐことが可能です。

電気保全の年収は、会社によってさまざまです。しかし、業種により傾向があるので、予め知っておくと高年収を得やすくなります。政府統計の平均年収の高い業種に絞って求人を探すことで、優れた求人に出会いやすくなります


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

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しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。

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