転職を考えるとき、抜群の安定感から公務員を目指す人は多いです。機械系の仕事で頑張ってきたあなたも、なんとか公務員になれる道を探しているのだろうと思います。

しかしながら公務員というと、役所の窓口業務や警察官・消防官などが一番に思いつきます。機械の知識や技能を生かして公務員に転職できればよいのですが、そのような道はあるのでしょうか。

実は、機械系で公務員になる道はあります。ただ、そもそも募集している数が少ないので、なかなか転職するのは難しいと言えます。

そこで、公務員にこだわるのであれば、複数(国家公務員、地方公務員など)応募することで転職成功しやすくなります

また、公務員と同じような待遇の準公務員まで、検討の範囲を広げるとさらに転職しやすくなります

ここでは、「公務員の機械系技術職にはどんな求人があるのか」「中途での公務員試験の受験方法」「準公務員の求人の探し方」について解説します。

機械系の公務員の募集はどんな求人があるか

公務員の機械系技術職には、国家公務員と地方公務員があります。ここでは、公務員の機械系技術職の募集にはどんなものがあるのか説明します。

国家公務員の募集例

最初は、「国家公務員」について説明します。国家公務員は、国の官吏として、国の機関に所属します。東京(霞が関)の中央省庁で働くほか、全国各地にある地方機関で働くことになります。

国家公務員には、下の図の人事院のホームページから応募します。

http://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo.htmより

中途採用で転職する場合、経験者採用枠(技術)または社会人経験枠(技術)に応募することになります。経験者採用枠は大卒程度、社会人経験枠は高卒程度の能力を求められます。

平成30年の実績では、経験者採用は国土交通省の係長級、社会人経験枠は防衛関係の係員級での採用がありました。

係長級とは、一般企業でいうと平社員より一つ上の職位です。また、係員級とは、一般企業の平社員に当たります。

そして、募集がある省庁は、年によって変わります。この点は注意する必要があります。

さらに、経験者採用枠は一般企業と違って注意する点があります。経験者採用枠の求める人材として「公務に対する強い関心と、全体の奉仕者として働く熱意を有する者」ということが、受験案内に書いてあります。当然このような振る舞いを求められるので、覚悟の上受験することが大切です。

また、防衛関係の仕事は、軍人としての振る舞いを求められます。

私は2014年ころ、海上自衛隊の技術海曹の募集へ応募し受験したことがあります。このときの試験内容は、技術者としての技術力はそこそこに、これから軍人としてどう生きていけるかを問う問題や質問がたくさんありました。

日本国憲法に軍隊とは謳われていなくても、国際的な常識からすれば自衛隊は軍隊です。その構成員である以上、軍人として扱われることは覚悟しておかなければなりません。

地方公務員の募集例

次に、「地方公務員」について説明します。

地方公務員は、都道府県や市町村などの地方自治体に属する公務員です。

地方公務員は、原則として採用された自治体の中で勤務します。

しかしまれに、ほかの組織(当該自治体が出資している法人、国の組織など)に出向して、採用された自治体以外で働くこともあります。私の知り合いは、高知県の公務員として働いていましたが、一時期東京の中央省庁へ出向して働いていました。

そして、地方公務員も国民に奉仕する仕事です。この考え方は、国家公務員と変わりありません。

ただし、国家公務員よりも地方自治体の住民に近いところで接することになります。そのため、より細やかな行政サービスが求められます。

機械系で地方公務員に応募する場合は、当該の自治体のホームページから応募します。また、詳細情報も同様に自治体のホームページから探します。下は大阪市の平成30年の機械系の募集の要項です。

技術職はそもそも規模が小さいため、採用も毎年あるとは限りません。この年の募集は地方初級職(高卒程度)です。年によっては、地方上級職(大卒程度)が募集されることもあります。

また、以下の図は平成29年度の名古屋市職員の機械職務経験者の採用案内です。

名古屋市の採用試験も、7つの試験区分で40名程度の採用です。単純に按分したとしても、機械系で5~6名の採用枠です。

ほかの系統の場合だと、専門的な資格を所持していることが応募の条件となっていることもあります。しかし、機械の専門職に応募するのに、必要な資格を謳っていることはまずありません。

これらの採用情報は、自治体ごとや年ごとに違うので、目当ての求人があるかどうかは、主体的に探す必要があります。探す方法は、自治体のホームページなどのほか、市役所など出ている企業合同説明会などに参加するなどの方法があります。

公務員試験を受けるには年齢制限があることが多い

ここまで説明してきた国家公務員と地方公務員を受験するには、年齢制限が設けられていることが多いです。

制限年齢は、30~35歳というものが多いですが、採用枠によってまちまちです。したがって、あなたが受けようと考えている公務員試験の受験案内を、十分に確認する必要があります。

また、地方公務員は自治体により考えが違います。隣接する自治体で、片方は年齢制限があり、片方は年齢制限無しということもあります。

特に地方公務員を目指しているときは、一つの自治体だけにこだわるのではなく、周囲の自治体も視野に入れて検討すると良いです。

機械系の公務員の仕事内容と年収

以上のような技術系(機械)公務員の仕事内容とは、どんなものでしょうか。

基本は、国や地方自治体が管理する機械設備の保守、設計、積算、施工管理などとそれに付随する事務仕事です。機械設備には、河川管理の設備(水門・堰など)、上下水道施設の設備、建物の給排水・空調設備などがあります。

・保守

保守とは、財産として管理している設備が、壊れて機能不全にならないように面倒を見ることです。以下に、保守の基本概念を図示します。

まず、設備ごとに適切な周期で検査を行います。この検査データをもとに、設備が老朽化していないか、壊れる兆候が出ていないかを分析・評価します。このとき、設備に壊れる兆候が見られるなら、何らかの対策を打つ必要があります。

設備維持のための予算は無尽蔵にあるわけではなくて、年度ごとに決まった金額があります。この金額の中で、優先順位をつけて修繕するのか、取り替えるのか対策を打っていくことになります。

このとき、その設備がどれだけ重要なのかによって優先順位を決めます。例えば、「干拓地にあるポンプ設備で、停まると住宅が水浸しになる」ような設備は優先度が高くなります。

このような事情を勘案して、対策を考える必要があります。考案された対策は実施に移されます。対策後は、また「検査~」のルーチンに入ります。

保守は、このようなサイクルを回し続けることが重要です。そして、保守は常に設備が健全で機能を満たしていることを担保する仕事です。

・工事設計

工事設計は、上で少し触れた老朽取替工事や修繕工事などを設計する仕事です。

工事も、製品を作るときと同じように設計図が必要です。「どこに何を据え付け、配線をどのように接続するのか」などを、図面を描いて明確化します。製品と違うのは、この設計図は毎度オーダーメイドだということです。

工事は、全く同じ案件が出てくることはありません。工事現場が変わったり、時期が変わったりして、一つとして同じ条件のものはなく、その都度変わります。したがって、工事設計も工事が必要になったとき、その都度設計することになります。

・工事積算

工事設計の結果をもとに、工事積算します。これは、出来上がった図面から、必要な材料費や労務費をピックアップして、全体としていくら必要かを求める作業です。

これらの工事は、自治体などの職員で施工することはありません。ほとんどの場合、外部業者に委託します。このとき、オーダーメイドであるがゆえに、ほかの工事と比べて適正価格かどうかを判断することができません。

したがって、適正で妥当な価格を導き出す必要があります。これが、工事積算です。

公務員が発注する工事の原資は、国民の税金です。適正な価格より高い価格で発注することがあると、国民は納得しません。

また、適正な価格より極端に低い価格で発注すると、品質の悪化や請負業者の労働条件悪化を助長することになります。これは、行政としては避けなければなりません。

この適正な価格を、発注する側が知っておく手段として、「工事積算」を行います。下の図に、工事設計から契約までの工事の流れを示します。

私が以前勤めていた鉄道会社では、この工事設計と工事積算を中心的に行う部門に所属していました。かつて公社で、今は民間会社になったとはいえ、工事積算は第三者に対して明確に説明のできる公正なものであるようにと、再三指導を受けてきました。

公務員の場合は、私が勤めた鉄道会社以上に公正性、透明性を求められるものと考えておく必要があります。

なお、工事積算から導出された適正金額は、「基準価格」などと呼ばれます。この基準価格は、次年度や中長期的に修繕・取替計画を立案するための参考資料として用いられます。

・施工管理

施工管理は、先程の図の手続きを踏んで、契約したあと行われる仕事です。 施工管理で重要な点は、安全管理、品質管理、工程管理です。つまり、労働災害を起こすことなく、ユーザーの使いやすい高品質なものを、期日通りに完成させることが重要です。

これらは発注側の職員が、現場作業員に直接指示することはなく、受注会社の代表を通して行うことになります。

公務員の仕事の進め方は、法令・規程が最優先される

注意しておくべきことは、これらの仕事は常に法令・規程(条例・要綱含む)に沿って行われるということです。そのため民間からの転職の場合、肌に合わない可能性があります。これは、私の実経験からも裏付けられることです。

私は、公社から民営化された鉄道会社に勤めていました。公社の仕事の進め方は上で述べたような、常に法令・規程に縛られる仕事の進め方です。民営化されて30年経ちますが、いまだその進め方は色濃く残っています。

このことを意識したのは、今の会社に転職してからです。今の会社は、設立当初から民間資本100%の会社で、規程は少なく、それをカバーするように上長の属人的判断が多いです。

つまり、民間では上長が納得しないと事が進まないものでも、公務員では根拠法令や前例を示すことで上長が納得しなくても進むことはよくあります。

反対に、根拠法令や前例がない場合は、大変な労力がかかります。協議箇所がたくさんある場合は、全ての合議を取らなければなりません。

ゆえに、自分の仕事に関連する法令・条約・規程・要綱・指導文書などを、知っていれば知っているほど仕事が楽になります。決裁権限を持つ上長も、当該の法令に精通しているとは限らないからです。

この仕事の進め方を理解しておかないと、社会人採用で公務員になってから大変な苦労をすることになります。

公務員の年収は高くない

次に年収について、説明します。公務員は安定している代わりに、給料は高くありません。特に基本給は低く、残業・夜勤・家賃補助などの手当がついて、そこそこの額面になることが多いです。

受験案内の記載から、国家公務員の経験者採用枠、社会人枠それぞれの年収を計算してみます。下は、計算に用いた国家公務員(経験者採用枠)の平成30年度受験案内おける給与の記載です。

また、下の図は、国家公務員(社会人枠)の平成30年度受験案内における給与の記載です。

条件を、「東京都内でアパート暮らし、既婚、子一人」として、おおよその年収を計算します。「年収=(俸給月額+扶養手当+地域手当)×(12ヶ月+ボーナス4.4ヶ月)+住居手当×12ヶ月」として計算してあります。

これらから、27歳の経験者採用枠で約500万円、30歳の社会人枠で約480万円の年収と推定されます。

そして参考までに、私が以前勤めていた鉄道会社で東京勤務をしていたときは、「東京都内寮暮らし、未婚、27歳」の条件で550万円くらいの年収でした。

このように、公務員への転職は、特に大企業からだと年収は下がる可能性があることを理解しておく必要があります。

機械系で公務員に中途採用されるには

では、機械系の公務員に中途採用されるには、どのような手続きが必要でしょうか。これは、ほかの公務員と同じように、年に1回程度の公務員採用試験を受験する必要があります

以下の図は、国家公務員採用試験の流れ(例)を示したものです。

地方公務員になると各地方自治体で試験が行われるため、若干名称が違うことがあります。例えば、基礎能力試験は「教養試験」と呼ばれたり、人物試験は「口述試験」と呼ばれたりすることもあります。しかしながら、概ね上図の手順を踏んで採用されることになります。

このほかにも、一旦臨時職員として採用されたあと、仕事の実績を積んでから職員になる道もあります。この場合、正職員登用試験を受けて合格すると登用されます。

準公務員を含めると転職が成功しやすくなる

公務員になるには、原則年1回の試験を受けて合格するしかありません。さらに、その公務員試験に受験者が集中し、倍率が上がるために、公務員になるのは難しいです。

そこで、公務員だけにとらわれるのではなく、公務員に近い待遇の準公務員を選択肢に含めてはいかがでしょうか。準公務員を対象にすると選択肢が大きく広がり、転職しやすくなります

準公務員とは、独立行政法人や特殊法人の職員などのことです。かつては行政直轄だったものが、制度改正などにより法人化されたものです。

そのため、公共性の高い事業を行っており、公務員ほどではないものの、なくなる可能性の低い安定した職業と言えます。また、法人と言っても、公務員に準じた待遇であることが多いです。

公務員試験を受験する必要がないため、そのための勉強も必要ありません。求人を見つけたら、すぐに応募でき、採用が決まるというのも大きなメリットです。また、公務員との併願も問題ありません。

これら準公務員の求人が公務員と違うのは、民間経験者枠として募集しているのではなく、実力を持った人を即戦力として求めている点です。このことから準公務員への転職は、一般企業と同じように進めることができます。

準公務員の求人を探すには

この求人を探すには、働いてみたい特殊法人や独立行政法人のホームページを一つずつ探すという方法があります。しかし、公務員と違って準公務員の求人は転職サイトにも掲載されていることが多いです。

転職サイトの求人を探すには、「独立行政法人」や「特殊法人」をキーワードとして検索すると見つかります。

下図は、「独立行政法人」をキーワードとして検索してヒットした求人案件です。これは、独立行政法人都市再生機構が機械系の経験者を募集しているものです。

また下の図は、同じ求人の「対象となる方」の欄です。

この求人は、都市再生機構の持つ不動産の機械設備(給排水設備、エレベーターなど)を扱う案件です。プラントで産業用の大きな機械設備を扱ってきた人よりか、一般向けの機械設備を扱ってきた人の方に強みがあると言えます。

また、必要な経験年数が2年となっており、短期間でも問題ありません。

注意点とすれば、勤務地が全国各地で転勤ありということです。求人には、関東圏以外に「大阪、福岡、愛知、宮城、岩手、そのほか主要都市」とありました。

このように、都市再生機構の仕事は全国転勤を前提の仕事です。国家公務員も同様の転勤は避けられないので、国家公務員が選択肢にあるなら、この求人も選択肢に入れる価値はあります。
次の独立行政法人の求人は、北海道地区の国立大学法人等の求人で下図に示します。

この求人で募集しているのは、国立大学だけでなく、工業高等専門学校(高専)、青少年自然の家などもあります。

また下図に、同求人の「仕事内容」欄を示します。

1つ目の施設系技術というのは、大学・高専・青少年自然の家などの機械設備のお世話をする仕事のことです。公務員の仕事内容の章で詳述した、保守や工事設計などの仕事をすることになります。

2つ目の教室系技術は何かというと、要は大学などの技官の募集です。学生たちの修学のお世話をして、教授などの研究のお手伝いをします。あなたも学生時代にお世話になったことがあるのではないでしょうか。

そして、先程の都市再生機構の求人とは違って、働く場所が北海道地区限定の求人です。「地元に帰りたい」「〇〇地区で働き続けたい」という意志が強いなら、このような求人案件を探す必要があります。

最後に、特殊法人の求人案件を紹介します。下の図は、電源開発株式会社の求人案件です。

電源開発株式会社は、国が100%出資をしている特殊法人です。電力会社と同じように、発電所を建設し、運営して電力を作り、販売しています。

さらに電気事業だけなく、送電網を活かした通信事業なども行っています。その事業範囲は、国内だけにとどまらず、海外事業も手がけています。

また、下図は同求人の「対象となる方」の欄です。必須条件が、大学の機械工学部卒以上で、土木鋼構造設備に関する実務経験となっています。

実務経験も、設計・製作・据付・メンテナンスとあり、設備寿命の上流から下流まで幅が広く、あなたもどこかで関わっているのではないでしょうか。

準公務員の求人は、以上のような求人案件を探すことになります。

まとめ

以上のように、機械系で公務員になるには、国家公務員と地方公務員があります。職務内容や勤務地により選択肢は多岐にわたるので、自分がどのように働きたいのかを考えて応募する必要があります。

また、技術系公務員もほかの公務員と同じように、原則年1回の公務員採用試験を受験して合格する必要があります。その試験には、たくさんの人が応募するため倍率は高く、難易度は高いです。

しかしながら、待遇や職務内容が公務員に近い、準公務員(独立行政法人や特殊法人の職員)を選択肢に含めると、難易度は下がります。準公務員は公務員と同様に探すこともできますが、転職サイトで探すこともできます。

機械系の公務員に転職を考えるときは、準公務員も選択肢に入れると転職成功しやすくなります

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。