転職において志望動機は、まず間違いなく訊かれる質問です。電気工事会社を受けるときでも、履歴書へ志望動機を書く必要があり、面接でも訊かれるでしょう。

ほとんどの場合で志望動機を訊かれるということは、それだけ企業が志望動機を重要視しているということです。私は採用する立場で、応募者の志望動機を読んだことがありますが、まともに書かれていないと採用する気になりませんでした。

では、志望動機を履歴書に書くにあたって、どのような点に注意して書けばよいのでしょうか。また、面接で志望動機を訊かれた場合は、どのように答えればよいのでしょうか。

電気工事会社を受ける場合は、その特徴を理解して志望動機を仕上げることで書きやすくなります。

ここでは、「電気工事会社を受ける場合の志望動機の書き方の基本」「職種ごとの志望動機の例文」「より採用されやすい志望動機に仕上げるコツ」などを詳しく解説します。

志望動機の書き方は求人の職種によって異なる

電気工事会社の採用試験を受けるときの志望動機は、以下の手順で考えることが基本です。

  1. 試験を受ける会社に興味を持ったきっかけ
  2. 応募する職種を希望する理由
  3. 現職ではなく、転職で2を実現する理由

1は、「なぜその会社でなければならないのか」を示す必要があります。電気工事会社はたくさんあり、その中からあなたが選んだ理由を書きます。

求人票や会社ホームページに、その会社の「売り」が書かれていることが多いので、その中であなたが共感できるものがないか調べると書きやすいです。

2は、募集職種に応募した理由を書きます。電気工事会社で募集する職種は、おおよそ以下の3種類です。

  • 電気工事スタッフ : 電気工事士ともいう。実際に手を動かし、電気工事をする職種
  • 電気工事施工管理 : 大規模な電気工事で活躍する、電気工事スタッフをまとめて指揮・統括する職種。
  • 電気工事設計・積算 : 主に事務方の職種。工事の仕様書、設計書を作成し、工事金額を計算する。そして、顧客との工事契約にかかる手続きを行う

それぞれの職種で求められるスキルや特性が違います。それを踏まえた上で、あなたが応募した理由を書きます。

3は、2と関連して、どうして環境を変える必要があるのかを書きます。現職で勤めながら2が実現できるなら、転職する必要がないからです。ここで転職する必然性を示す必要があります。

電気工事会社に転職するときの志望動機の書き方は、以上の考え方を基本にして200字程度で考えます。以下に、それぞれの職種に応募するときの志望動機の例文を、求人例を示しながら解説します。

電気工事スタッフ(電気工事士)に転職するときの志望動機の書き方と例文

最初に、電気工事スタッフに転職するときの志望動機の書き方を考えましょう。

下図の株式会社日栄電気の求人に応募する場合を考えます。日栄電気社は大阪でプラントやオフィスビルなど民間の電気工事を中心に施工している会社です。照明など低圧設備から、受変電設備など高圧設備まで幅広く取り扱っています。

この会社に、低圧の電気工事の経験者が採用試験を受けるときの志望動機の書き方を考えてみましょう。

まず、会社に興味を持った理由の部分を考えます。これは、大阪が地元の企業で、大型産業や公共施設の工事を担っていることを考慮して、「自分も大阪(関西)出身で、地元に貢献したい」ということを書きます。

次に、電気工事スタッフの職種に応募する理由の部分を考えます。日栄電気社が扱う電気設備は、下の写真のような受電用キュービクルなど大規模なものがあります。このキュービクルは、高さが2mほどあります。

現場によっては、さらに大きな設備も扱うことがあります。このような設備を扱うことは低圧では、なかなかありません。

そこで、「自身の技術力向上のために、これまで携わってきた低圧設備に加えて、高圧設備を工事することに惹かれた」ということを書きます。

最後に、転職の必然性を考えます。「現職では低圧設備の施工ばかりで高圧設備の施工がない。高圧設備を施工したい」ということを書きます。

以上を200字程度でまとめて、あなたの言葉で書き換えると完成です。電気工事スタッフは、主に手を動かして仕事をする職種です。したがって、「技能のレベルアップしたい」「これまで培った工事施工力を存分に発揮したい」などを書くのがセオリーです。ちなみに、私なら以下のように書きます。

他県に就職したものの実家が大阪にあり、大阪中心に電気工事事業を行っている貴社を志望しました。ご縁あるならば、このまま地域に根ざして仕事をしたいと考えています。

また、現職での仕事内容は低圧設備の工事が主体です。しかし、スキルアップのためにも高圧設備の工事に携わりたいと考えています。貴社で働くことで、高圧設備に携わることができ、これまでの工事の経験も活かせると考え応募しました。(188字)

電気工事施工管理に転職するときの志望動機の書き方と例文

続いて、電気工事施工管理に転職する場合の志望動機の書き方を考えます。

今まで電気工事スタッフとして働いており、ステップアップとして電気工事施工管理に進むことを想定します。採用試験を受ける会社は、下図の尾鈴電気株式会社とします。

尾鈴電気社は、神奈川県に根ざして発展してきた会社です。また、受注工事のうち半分が官公庁関連工事と記載されています。つまり、地域貢献性の高い会社と言えます。

したがって、尾鈴電気社を受けるときも、「地域貢献性を主軸に会社を選んだ」ということを書けば、志望動機を組み立てやすいです。

次に、職種を希望した理由の書き方を説明します。

電気工事施工管理では、個人の電気工事施工能力はそれほど重要ではありません。複数人で、大規模な工事を行うときに真価を発揮する職種です。

例えば、下の写真のような柱上トランスを取替えする工事を行うとき、一人では施工不可能です。複数の作業員が協力して、柱上トランスを持ち上げ、固定し、電線に接続します。

このとき、全体の調和をとって安全に、早く、品質高く工事を指揮するのが電気工事施工管理の仕事です。

このような特徴を踏まえた上で、「大規模な電気工事を指揮したい」ということを書きます。

そして、現状で実現できない理由として、「現職では数人規模のリーダーの経験はできるが、それ以上の規模の電気工事に携わることがない」ということ書きます。

以上をまとめて、以下の例のように志望動機を完成させます。

貴社が、神奈川県に根ざして電気工事を行っていること、公共性の高い工事の比率が大きいことが志望の動機です。現職も、新卒時に同じ理由で就職しました。

ただ、現職では家庭向けの小さい工事が主体で、大きい工事に携わることがありません。規模の大きい工事であれば、より地域貢献の度合いが高まると勉強を続けていたところ、貴社の求人を見かけて応募しました。

現職だと数人の班長レベルの仕事しかできないので、貴社で大規模な工事に携わりたいと考えています。(216字)

電気工事設計・積算に転職するときの志望動機の書き方と例文

最後に電気工事設計・積算に転職するときの志望動機の書き方を考えます。

今まで電気工事施工管理の中で多少設計・積算に触れていたものの、本格的に設計・積算を行いたいと考えて転職することを想定してみます。

応募する求人は、以下の株式会社関電工の求人で考えます。この求人は、客先に最適な再生可能エネルギー設備や特高・高圧受変電設備を提案するために、自社で設計・積算する人材を求めています。

関電工社は、会社設立の経緯から東京電力とのつながりが深い会社です。このような経緯から、重電分野に強みを持っています。

また、事業エリアは東京だけでなく、東日本を中心に、関西地域、海外にも事業所があります。したがって、先述2社のように「地域に根ざして仕事をしたい」と書くのは、的外れです。

この会社を選んだ理由としては、「小さな電気工事会社では出来ない重電設備を扱うことができる」ということを書きます。

次に、職種を希望した理由を考えます。

求人票には機器の設計もあるように読めますが、変圧器や発電機などの機器の設計は通常メーカーが行います。関電工社はサブコン(工事会社)なので、機器仕様の検討をすることがあっても、機器本体の設計は行いません。

サブコンが主に行うのは、工事設計です。工事設計は、機器設置だけでなく、電源線、制御線、制御装置などシステムとして完成するための電気工事を設計します。

下の写真は、屋内の照明取付工事の設計図面の一例です。あなたが、これまで電気工事に携わってきたのなら、多少なりとも図面を描いた経験があると思います。

引用:拾って覚える!実践電気工事積算入門(オーム社)より

そして設計・積算は、どちらかというと事務方の仕事です。現場に出て腕を振るうのではなく、工事現場や完成状態をイメージしつつ、顧客の要求を形にするための設計図を作っていく仕事です。

この求人では、そのような設計・積算を専門で行います。設計・積算には、工事現場のことをよく理解していることと、電気技術に対する知識が必要です。

私が設計をしていたときは、上長に「現場を見てこい」とよく叱咤されていました。あなたは、電気工事の現場経験は十分にあると思います。

ただ、この求人では未経験者ではなく即戦力の人材を求めています。現場の工事経験と組み合わせて、「すぐにでも設計・積算が可能であること」を記載すると良いです。

最後の、転職でなければ実現できないことかということは、関電工社が行っている事業事態が特殊なので、会社を選んだ理由と同様の理由になります。繰り返しになるようなら、書く必要はありません。

以上をまとめると、下記のような志望動機例になります。

貴社が全国規模で重電の事業を行っていることが志望のきっかけです。現職で電気工事に携わっているうちに、重電の工事に興味を持ち、今回チャンスがあったので応募しました。

工事設計・積算に関して、施工管理をしている中で技術を身に着けています。また、施工管理を長く続けてきたので、労務費の積算精度には自信があります。なお、重電特有の技術や仕様については、貪欲に学習していきたいと考えています。(190字)

書いた志望動機は提出前に他者に読んでもらう

志望動機が書き上がったら、家族、友人などに内容を確認してもらいましょう。文章表現や誤字脱字がないかは、最低限確認してもらうと良いです。

また、転職エージェントサービスを利用しているときには、転職エージェントに添削を依頼することができます

家族や友人の場合は、当たり障りのない指摘しかしてくれなかったり、そもそも文章を読むのが得意ではなかったりします。そうすると有効な添削にはならないこともあります。

その点、転職エージェントはさまざまな求職者の志望動機を読んできています。さらに、これまで企業側の反応も見てきています。そのため、転職エージェントの添削サービスを利用することで、より合格しやすい志望動機を書くことができます。

実は、私が今勤める会社の採用試験を受けたときにも、転職エージェントの添削を受けました。そのとき添削で受けた指摘が、以下の図のような指摘です。

当該の会社を希望した理由が弱いということで、「実家に近いということをもっと推してもいい」とアドバイスを受けました。発電所を運営していて電気主任技術者を求めている会社は全国にあるからです。

したがって、「北九州にある発電所で電気主任技術者を求めている会社」に応募するには、「北九州でなければならない理由」があると転職する理由に説得力が増します。ちなみに、この会社の採用試験は合格し内定をもらいました。

このように、出来上がった志望動機を他者に読んでもらうときは、転職エージェントサービスを受けることによって、より採用されやすい志望動機に仕上げることができます

面接での志望動機は履歴書の志望動機を基本に

ここまでは履歴書などに書く志望動機の書き方を説明してきました。無事に書類選考を通過して面接試験に挑むとき、口頭での質問で志望動機を訊かれることがあります。このときは、どのように受け答えしたら良いでしょうか。

面接でも、基本的に履歴書に書いたことと同じことを答えればよいです。ただ、200字程度の志望動機を口で話すととても短いです。そこで全く同じことを読み上げるだけではなく、多少経験や自己アピールを混ぜながら話すとよいです。例えば以下のようなことを加えます。

電気工事スタッフの職種の場合
→現職経験から、体力に自身がある。高圧設備について独自に学習してきた。など電気工事施工管理の職種の場合
→作業チームのリーダー(班長)として仕事をしていた経験がある。図面を読むだけでなく書くこともできる。など

工事設計・積算の職種の場合
→客先と仕様打ち合わせをしていた経験がある。電気の技術力を担保するために高難易度の資格取得に挑戦している。など

ただし、そのほかの質問事項への回答と矛盾があってはいけません。面接を通して一貫性があることが重要です。

例えば、「技術的なスッテプアップしたい」と志望動機で言っているのにも関わらず、「今までの仕事内容とは違う仕事があるけれど問題ないか」という質問に渋るのはNGです。

これを防ぐには、志望動機に「ウソ」を書かないこと・言わないことが重要です。また、どこからか借りてきた言葉だと、面接を通して一貫性が崩れやすくなります。必ず自分の言葉で志望動機をまとめることが、転職成功する秘訣です。

まとめ

転職するときの履歴書などへの志望動機の書き方の基本は、下記の順に進めることを解説しました。

  1. 試験を受ける会社に興味を持ったきっかけ
  2. 応募する職種を希望する理由
  3. 現職ではなく、転職で2を実現する理由

電気工事会社に転職するときは、特に2、3の書き方が職種によって変わってくるので注意が必要です。電気工事会社が募集する職種には、大きく「電気工事スタッフ」「電気工事施工管理」「工事設計・積算」に3つの職種があります。

それぞれの職種で仕事内容が全く違います。仕事内容にあった理由が述べられていないと、会社側はミスマッチを感じて採用に結びつきにくくなります

希望する会社の求人票やホームページなどから仕事内容を十分研究した上で、志望動機を考えると良いです。

また、面接試験で志望動機を答えるときは、履歴書などに書いた志望動機を基本に、経験や自己アピールを織り交ぜて答えます。このとき、ほかの質問事項とあわせて一貫性を保つことが重要です。そのためには、志望動機に「ウソ」を書くことはやめましょう。

なお、自分で書いてみた志望動機は、家族・友人などに読んでもらって表現や誤字脱字の有無について確認してもらいましょう。転職エージェントサービスを使っているときは、転職エージェントに添削を依頼することもできます。

以上のようなプロセスで志望動機を仕上げることで、採用されやすい志望動機を書くことができます。

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。