イベント(お祭り・展示会)会場には様々な電気設備が配置されます。音響・照明・通信・情報システム・映像機器など、どれも魅力的で集客力のあるイベントには欠かせないものです。

そして、電気設備を動かすためには電気の配線工事が必須です。屋外や屋内でも電源のない場所で開催する場合には、電源や分電盤を設置する電気工事も必要です。

日本全国、イベントは数多く開催されており、電気工事も頻繁に行われます。では、このようなイベントの電気工事を施工する会社はどのような会社なのでしょうか? このような会社に転職を考えたとき、どのようなスキルが必要になるのでしょうか?

ここでは、イベントの電気工事に関連する会社に転職をするときの疑問を解決します。具体的には、「イベントの電気工事に関係する企業の種類」「求められるスキル・資格」「転職エージェントを使った効率的な求人の探し方」などを解説します。

イベント設営の電気工事ができる求人は2種類

イベント設営の電気工事を仕事にしたいと考え転職をするときに、絶対に整理しておかなければならないことがあります。それは、あなたが「イベントを主として運営したいのか」「電気工事を主としてしたいのか」ということです。

この2つを同時に叶えることは難しいです。つまり転職するときに、どちらかを主体として行う企業に転職することになります。そして、仕事の内容や考え方が全く違います。

したがって、あなたが転職してどのように働きたいのかをまず整理しなければ、転職して満足できることはありません。また優れた求人を見つけるためには、転職して何を叶えたいのかをはっきりさせておくと成功しやすいです。

ここから、「イベントを主として運営する会社」「電気工事を主として行う会社」の特徴を、求人例を示して解説します。それぞれの働き方や特徴を理解して、あなたが転職で何を叶えようとしているのかを整理すると良いです。

イベントを主として運営し、電気工事も施工する会社の例

まず、主としてイベントを運営する会社で電気工事をする場合の解説をします。このような会社の電気工事の位置づけは、あくまで付帯業務でしかありません。このことを十分理解しておきましょう。

例えば、下図の株式会社ユニティーの求人は、イベント会場の設営・撤去の施工スタッフを募集するものです。

求人自体に、電気工事のことは具体的に記載されていません。しかし、「求人票の待遇欄に電気工事士資格を取得するための支援制度があること」「ユニティー社が大阪府の電気工事業の許可を受けていること(下図参照)」から、少なからず電気工事が業務内容にあります。

引用 : 株式会社ユニティー 会社案内より

イベントは屋内だけでなく、屋外で催されることもあります。屋外の場合は、電源が必ずしも用意されているとは限りません。そのようなときは、下の写真のような仮設電源を用意する必要があります。

このような4回線程度の簡易な電気工事であっても、電気工事士が施工しないといけません。また、イベントの主催者から会場設営を請け負い、その中に電気工事があるなら電気工事業の登録も必要です。したがって、ユニティー社のような会社では電気工事の仕事があります。

また、実際には社員が施工するのではなく、施工部分は業者に発注して施工管理だけ行う会社もあります。例えば、東京に本社を置き、大阪・愛知周辺でも事業展開している株式会社乃村工藝社が該当します。下図に、乃村工藝社の求人を示します。

乃村工藝社は、ディスプレイデザインを主な事業として営んでいる会社です。ディスプレイデザインとは、魅せる空間を作り集客に結びつける設計のことです。

乃村工藝社は、全国各地の文化施設や公共空間を設計しています。例えば、下の写真の羽田空港JAL国際線サクララウンジは乃村工藝社が設計したものです。オフィスとは違って、テーマ性のある空間を設計しているのがわかります。

乃村工藝社はこのようなハコモノのほか、イベントのデザインも行っています。乃村工藝社のホームページには、東京モーターショウ、東京ゲームショウ、愛知万博などで実績があることが掲載されています。

ユニティー社の扱うイベントは短期のものが多いですが、乃村工藝社の扱うイベントは数週間から数ヶ月におよぶものが多いです。また、単に電気を通す工事ではなく、デザイン性を重視する設備工事を実施する必要があります。

そして、打ち合わせや設計に時間をかけて社員が実施し、実施工は外部業者を使います。社員は、施工段階においては施工管理しか行いません。つまり、いくら電気工事の腕が良くても管理が不得手であれば、乃村工藝社で活躍することは難しくなります

以上、イベント設営が中心業務の企業を2社紹介しました。このような会社を探していくときの注意点は、電気工事はあくまで付属業務ということです。このような会社に転職を成功させるには、電気だけでなくイベント会場全体を考える視点が必要です

電気工事を本業として、イベントの電気工事も施工する会社の例

次に、電気工事が主たる業務の企業を紹介します。

下図に示すのは、岡山県が地盤で関東・関西でも事業展開している旭電業株式会社の求人です。業務内容の欄に、イベント設営があるのがわかります。

旭電業社は、いわゆる電気工事会社です。サブコンとして、マンション・商業施設などの電気設備設置を主に行っています。それらとは別に、単発的なイベントの会場設営などを手掛けています

大きい工事案件だと、福井国体、岩手国体などの会場の電気設備工事を請け負っています。規模としては、数週間から数ヶ月におよぶイベントの工事と考えて良いです。

このような電気工事会社では、イベントの電気工事部分だけを担当することになります。ただし、イベントだけでなく、そのほか案件の電気工事もたくさん請け負っています。

私は、旭電業社の社員と話したことがあり、そこから感じた社内の雰囲気は、まさしく電気設備工事の会社です。自分たちは一般の電気工事で稼いでいるのだと考えているのが伝わってきました。

つまり、あなたがイベントの電気工事を中心にしたいというのなら、旭電業社のような企業に転職して満足できることはないでしょう。数々の一般電気工事をこなしながら、イベントの電気工事も施工することがある程度と考えておくと良いです。

電気工事会社でイベントの電気工事を行っている会社を探す場合は、旭電業社のような求人を出している会社を探していきます。しかし、あくまでイベントの電気工事は数ある仕事の中の一つだということを忘れてはいけません。

必要な資格は、電気工事士資格だけか?

では、イベントの電気工事をするにはどのような資格が必要なのでしょうか。簡単にまとめると下表のようになります。

会社の主業務 職種 求められる資格 紹介した会社
イベント設営 施工スタッフ 電気工事士(2種) (株)ユニティー
施工管理 電気工事施工管理技士 (株)乃村工藝社
電気工事 施工管理・スタッフ 電気工事施工管理技士

電気工事士(1種、2種)

旭電業(株)

ユニティー社のようにイベント設営の施工スタッフとして働くなら、電気工事士資格があると良いです。また、電気工事士資格には、第1種と第2種の種別がありますが、第2種電気工事資格があれば問題ないです。

なぜなら、下図に示すとおり低圧の電気設備(一般用電気工作物)は第2種電気工事士資格があれば施工でき、短期的なイベントではほとんど低圧しか扱わないからです。

一方、乃村工藝社のように施工管理が中心業務の会社では、電気工事士資格はあまり活用できる場面はありません。下図に示す求人票の歓迎条件にもあるように、電気工事施工管理技士資格が有効です。

旭電業社のように、電気工事をメインで行う会社では、電気工事士・電気工事施工管理技士資格が役立ちます。旭電業社の場合は、優遇条件とされています。

ただ、下図に示すように電気工事士資格は2種だけでなく第1種電気工事士資格の保有が優遇の条件です。これは、イベント以外の電気工事を施工することがあるからです。

なお、優遇条件の中に電気主任技術者資格が挙げられていますが、イベントの電気工事にはほとんど関係しません。旭電業社の場合、自社で運営する太陽光発電所を持っていることや、電気設備設計も行うことから電験資格者を優遇していると考えられます。

このように、会社の業態によって必要とされる資格は変わります。あなたの持っている資格をアピールするときは、応募する会社が求めている資格をアピールすることで、転職成功しやすくなります

少ない求人を効率よく探す方法

ここまで説明してきたイベント設営の電気工事に関係する求人は、実はあまり数が多くありません。

大手転職サイトで「イベント 電気工事」をキーワードに求人を検索すると100件以上の求人がヒットします。しかし、「社内イベントがある」「イベントに出展している」といった記載がある求人がほとんどです。

したがって、「イベント設営 電気工事」「展示会 電気工事」などキーワードを変えて検索してみることも大切です。

しかし、自分だけの力で求人を探すのは大変です。そこで、転職エージェントを活用すると良いです。

転職エージェントサービスを利用するときには、対面か電話による面談であなたが転職に関してどのような希望を持っているのかを詳細に伝える機会があります。ここで、「イベント設営にかかる電気工事をしたい」ことをはっきりと伝えておけば、転職エージェントから優れた求人を紹介される可能性が高まります

特に、電気工事が業務の中心である会社では、求人票にイベントのことを記載していない可能性があります。このような求人票を検索で見つけることは不可能です。したがって、会社のことをよく知る転職エージェントの力を借りることが有効です。

転職エージェントを使うメリットは、非公開求人に触れられるという点も挙げられます。非公開求人とは、転職エージェントを通して紹介される求人です。非公開求人は、あなたが転職サイトをいくら検索してもヒットしません

下図のマイナビエージェントのホームページには、80%が非公開求人であると公表されています。また、転職サイトにより多少差があるものの、概ね全求人の8割程度が非公開求人といわれています。

つまり、転職エージェントサービスを受けることで、あなたが自力で探せる求人の5倍の求人にコンタクトできることになります。さらに、転職サイトによって紹介される求人は違います。

私が転職したときには、3社の転職エージェントから求人の紹介を受けました。それぞれ紹介される求人が違いました。私が掲げた条件が難しかったものの内定が出た企業は複数あり、その中から一番希望に沿った会社に転職することができました。

このように転職エージェントを利用するときは、複数の転職サイトに登録して非公開求人の紹介を受けることで優れた求人を見つけやすくなります

まとめ

ここまで解説してきたように、イベントに関連する電気工事の求人に転職するには、どのような会社があるのかを整理してから転職活動を始める必要があります。

イベントの電気工事をするには、「イベント設営を本業としていて、その中に電気工事がある会社」と「電気工事を本業としていて、イベント設営の電気工事も施工する会社」があります。

前者では、電気工事だけでなくイベント全体を考えた働き方をしなければなりません。後者では、電気工事は存分にできますが、イベントに関係する電気工事は一部だけです。

あなたが、イベントに電気工事でどのように関わりたいのかを整理して、希望に沿った企業を探さなければ転職で満足できることはありません

イベントの電気工事で役に立つ資格は、電気工事士・電気工事施工管理技士資格があります。ただし、応募する会社がどのような業務を行っているのかを知った上で、それにあった資格をアピールする必要があります。

これらの求人は、転職サイトを使って探すことができます。しかし、その数は少ないです。そこで、転職エージェントを活用すると良いです。

具体的には、複数サイトで転職エージェントサービスを使い、イベントの電気工事をしたいことをはっきりと伝えて非公開求人の紹介を受けるとよいです。そうすることによって、優れた求人を見つけやすくなります

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。