電気の調査員業務は、法令によって実施が定められている仕事です。したがって、なくなることがまずない安定した職種です。

また、体力的に楽な仕事でもあることから、これまでしんどい思いをして働いてきた人たちから転職先として人気がある仕事でもあります。

では、いざ転職しようと考えたときに、どのように求人を探せばよいのでしょうか。電気調査業務の仕事は、電気工事や電気設備管理の仕事と違って、求人数がごく少なく漫然と転職活動していたのでは転職成功は難しいです。

そこで、電気調査員への転職を叶えるために、ここでは「電気調査員の求人の実態」「電気調査員の仕組み」「逆算的に求人を探す方法」について詳しく説明します。

電気調査員の求人は少ない

電気設備の調査業務は、各地の電気保安協会や電気工事会社などが実施しています。したがって、それらの団体・企業から求人が出ていることがあります。

下に示すのは、関西2府3県(大阪、京都、兵庫、和歌山、奈良)の電気設備調査をしている一般財団法人関西電気保安協会の求人です。電気調査スタッフとして募集されています。

このような電気設備の調査業務を行う求人募集は、ごくわずかしかありません。まずは、この実態を理解した上で転職活動を始める必要があります。

電気の調査業務の仕組みについて知る

では、なぜこのように電気調査員の求人は少ないのでしょうか。それを理解するには、電気調査業務の法的根拠や仕組みについて知っておく必要があります。また、これを理解することで、電気調査員として転職するため方法や探し方が見えてきます。

まず、一般電気工作物の調査業務は、電気事業法に定められている仕事です。電気は使い方を誤ると、使用者が死傷するだけでなく、電線路で繋がっている周囲の需要家にも停電などの影響があります。

一般電気工作物は、一般家庭や小規模オフィス・商店などが通常使う600V未満の低圧電源で動く電気設備です。

このような一般電気工作物の所有者は、多くの場合電気保安に関する知見を持っていることはまれです。したがって、電気事業法では一般電気工作物に接続する電線路維持運用者が調査業務を行うことを求めています。

事実上、電線路維持運用者とは電力会社を指します。そして、調査業務を行うことができるのは、登録された事業者であると決められています。

一般家庭に調査業務に入るときは、下の写真のような案内があります。下の写真では、九州電気保安協会が調査業務を行うことがわかります。

このように4年に1度調査に入るのを「定期調査」といいます。調査業務は、「定期調査」のほかに「竣工調査」があります。これは、新増設時に電気工作物の安全を確かめるために行うものです。

例えば、下の写真は新築マンションで低圧で受電する部分の受電直前の写真です。この写真に写っているケーブルまでがマンション所有者の財産です。

そして、受電したあとは、下の写真のように6.6kV配電線から柱上トランスを介して電力会社と接続されます。

この接続のタイミングで、負荷側の絶縁抵抗測定、接地抵抗測定などの検査を行います。これを竣工調査といいます。

電気工事では、初めて電気を流すときに故障が起きやすいので、竣工調査を行うのです。一度通電してしまえば、正常に使用している限り大きな故障は発生しにくいので、定期調査は4年に1度の頻度で行います。

調査業務に必要な資格を知る

このような調査業務に必要な資格も、電気事業法に下記のように明記されています。

  1. 電気主任技術者の免状を受けている者
  2. 第一種電気工事士または第二種電気工事士
  3. 指定の学校で電気工学を修めて卒業した者

(電気事業法第90条第1項第2号より要旨を抜粋)

このような資格者は、電気調査業務を行っている主な組織の電気保安協会の中にはたくさんいます。電気保安業務には、電気主任技術者資格が必須だからです。

つまり、電気保安協会の中で人材の流用ができます。わざわざ中途採用をせずとも、すでにいる社員で仕事が回せるなら、求人は出てきません。これが電気調査員の求人が少ない理由の一つでもあります。

そして、実際の求人では、3だけでは応募対象にならない求人が多いです。例えば、先に紹介した関西電気保安協会の求人では、下図のように電気工事士または電気主任技術者資格を有していることが応募条件になっています。

これは、前項で紹介した竣工調査では、接地抵抗測定などある程度電気の実務経験がないと即戦力にならない検査があるためと考えられます。

調査業務で必要な検査では、高度な電気の技術力を必要とするものではありません。無資格でも知識さえあれば問題なく遂行できるレベルのものです。これは、保安協会に新卒で入社してすぐに調査業務に就くことからも明らかです。

しかし、全くの電気の素人である一般のお客さんに対して電気の説明をすることも業務に含まれることから、中途で入社する場合はある程度明示的に電気の技術力を示せる資格を求めています

あなたが電気工事士や電気主任技術者の資格を持っていないときは、年に2回試験実施している電気工事士試験に申し込んでから求人に応募すると良いです。申込みの時期ではないときは、すぐにでも電気工事士の資格取得できることをアピールする必要があります。

例えば、「これまでの職歴で資格の必要ない電気の仕事をしてきた。必要とあれば次の試験で取得する」ということを、実績を示して先方に伝えると良いです。

私の転職活動の経験上、資格要件を満たしていなくても内定までたどり着いたことは何度もあります。電気調査員の求人自体がごく少ないので、見つけたらすぐに行動に移すことが転職成功の鍵です

会社名から逆算して求人を探す

前章で、「調査業務ができるのは登録された事業者だけ」と説明しました。では、登録された事業者を確認する方法はあるのでしょうか。

実は、経済産業省のホームページに登録事業者の一覧が掲載されています。これによると、各地の電気保安協会と電気工事業工業組合と僅かな一般法人が調査業務の登録機関になっていることがわかります

そして、関東地区では関東電気保安協会、関西地区では関西電気保安協会というように地区ごとに棲み分けされています。電気工事業工業組合も同様に、各都道府県で棲み分けされています。

したがって、「調査員」「調査業務」をキーワードにして求人を探すだけでなく、あなたが働きたい地域で登録事業者をキーワードにして求人を探すとよいです。

また、転職エージェントサービスを使う場合は、転職エージェントにあなたが調べた企業名を告げて求人が出ていないか探してもらうと良いです。

転職サイトには、誰でも見られる公開求人と、転職エージェントを通してのみ見られる非公開求人があります。非公開求人は求人全体の8割ほどあるので、その中にあなたの希望する求人があるかもしれません。

また、私が転職エージェントサービスを利用したときは、転職エージェントが以下のことを言っていました。

こちらから提示した求人の企業以外に、気になる企業があったら教えてほしい。

現状で求人が出ていないか探して、出ていれば紹介する。また、求人がなくても、取引のある会社であれば、「求人を出す予定はないか」「あなたのような人材を採る予定はないか」確認できる。

このように、転職エージェントを使ったほうが優れた求人に出会いやすくなります。特に、電気調査員の求人は数が少なく、自分一人で探せる求人だけに頼っていると転職成功するのは困難です

うまく転職エージェントを利用して、求人を見つけ出すことが転職成功する鍵になります。

電気工事業工業組合の調査業務は再委託

電気調査員の仕事をしているのは、電気保安協会のほかに全国の電気工事業工業組合があります。各地の電気工事業工業組合は登録調査機関ですが、この電気工事業工業組合が求人を出しているわけではありません

実は、電気工事業工業組合は電力会社(電線路維持運用者)から調査業務を委託したあと、組合員である電気工事会社に対して調査業務を再委託しています

これは、電気工事業工業組合が同業者の抱える問題を共同で解決することを目的に結成された団体で、電気工事などの実務を行う団体ではないからです。

したがって、電気の調査員として転職するためには、各地の電気工事業工業組合員である電気工事会社を探す必要があります。電気工事業工業組合員である工事会社名は、全てが公開されているわけではありません。しかし、電気工事業工業組合のホームページからある程度知ることができます

例えば、東京都電気工事工業組合のホームページで役員名簿のページを見ると、役員の所属している電気工事会社が記載してあります。

電気工事会社の名前が分かれば、調査員の求人が出ていないか逆算的に探すことが可能です

また、電気工事業工業組合員の電気工事会社は、規模が小さい会社が多いです。調査員としてだけ働くのではなく、一般の電気工事をしつつ調査員業務をすることも考えられます

したがって、当該の電気工事会社の求人を見つけたら、調査員業務の有無や頻度などについて確認すると良いです。

以上のようなプロセスを踏むことで、電気調査員として転職成功する可能性を引き上げることができます。

まとめ

ここまで、電気の調査員として転職する方法について解説してきました。

電気調査員の求人は、ほとんど出回っていません。これは、電気の調査業務をできる組織が国の登録機関として限られていることが挙げられます。また、求められるスキルが高くないので、社内で人材流用が可能である点も挙げられます。

ちなみに、電気調査員には「電気工事士」「電気主任技術者」のどちらかの資格を持っていることが、事実上必須となっています。

なお、電気調査業務の登録機関は経済産業省がホームページで公開しています。各地の電気保安協会のほか、電気工事業工業組合などが登録されています。

電気工事業工業組合は、地域の電気工事会社をまとめている組織で、電気工事の実務をしているわけではありません。したがって、電気工事業工業組合員である電気工事会社を探して逆算的に求人を探すと良いです。

このような手段を取ることで、ごくわずかしかない電気調査員の求人状況でも、転職成功しやすくなります。

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

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しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。