機械系の資格のうち、よく取得されるものにボイラー技士資格があります。また、難易度が上がるとエネルギー管理士資格があります。これらの有資格者は、我が国の産業を支える現場で絶対に必要な人材です。

また、一朝一夕に取得できるような資格ではなく、日々の研鑽と業務に対する熱意があって取得できるものです。あなたは、相当な努力をして資格取得したのではないでしょうか。

では転職市場において、これらの資格はどのような企業で評価されるのでしょうか。また、収入はどのように伸びるのでしょうか。

転職で成功するには、これらの疑問を先に解決しておくことが大切です。その上で、優れた求人を探すとよいです。

ここでは、あなたが優れた求人に出会うための「エネ管・ボイラー技士資格が有利になる業種・職種」「年収の考え方」などについて詳しく説明します。

エネルギー管理士とボイラー技士資格が有利な設備管理職

エネルギー管理士とボイラー技士資格の両方が活かせる仕事に転職するには、これら2つの資格がどのような場面で必要なのかを理解しておく必要があります。

まずエネルギー管理士資格は、省エネ法で定める事業者が「エネルギー管理企画推進者」「エネルギー管理者」を選任してエネルギー管理をするために必要な資格です。

多くのエネルギーを使っていれば、どの産業分野でも必要とされる資格です。その中でも、製造業やエネルギー供給業で求められやすい資格になっています。したがって、製造業やエネルギー供給業の求人が多いです。

ボイラー技士資格は、ボイラーの取り扱いをするには必須の資格です。資格の分類として、特級、1級、2級がありますが、ボイラーを取り扱うだけならどの資格でも問題ありません。

したがって、ボイラー技士の有資格者を求めるのは、ボイラーがある施設を持っている会社です。つまり、工場、ホテル、病院など広い範囲の業種で募集されます

ただし、設備の持ち主とボイラー技士として運転管理を行うのが別な場合があります。その場合、技術サービス業としてビルメンテナンスと呼ばれる業種が運転管理を行います。

エネルギー管理士とボイラー技士資格の両方の資格で有利に転職したい場合は、このような業種を探していくことになります。以下、業種ごとに求人例を示しながら説明します。

ビルメンテナンス

ビルメンテナンス業は、商業ビル・大型マンション・病院・大型商業施設などの機械・電気設備を管理する業態を指します。

事業として成立するためには大規模な施設を扱う必要があるので、必然的に都市部で働くことが多い業種です。

ビルメンテナンス業の求人例として、日本管財株式会社の求人を下に示します。全国規模の会社ですが、この求人では首都圏(東京、埼玉、神奈川、千葉)の大型ホテル・医療機関・オフィスビルなどで働く人材を募集しています。

求人票には、ボイラー技士資格が必須条件の一つとして挙げられています。また、エネルギー管理士資格が優遇条件として記載されています。両方の資格を持っていると、採用されやすく年収交渉もしやすい求人といえます。

ビルメンテナンスの仕事は、設備管理で機械・電気設備が正常に動き続けることを担保する仕事です。正常動作を監視し、適切な点検・補修を行い、故障した場合は速やかに修繕します。

多くの場合、監視・点検・補修と故障修繕の発注までがビルメンテナンス業の仕事です。簡易な修繕をすることがあっても、機器の老朽取替や新設など大規模な工事は、専門の業者に発注します。

これらの業務を遂行する上で、ビルメンテナンス業に必要な資格として「4点セット」「三種の神器」と呼ばれる資格があります。それぞれ以下の資格が該当します。

ビルメンテナンス4点セット

  • 2級ボイラー技士
  • 第2種電気工事士
  • 危険物取扱者乙種4類
  • 第三種冷凍機械責任者
ビルメンテナンス三種の神器

  • エネルギー管理士(エネ管)
  • 第3種電気主任技術者
  • 建築物環境衛生管理主任技術者(ビル管)

「4点セット」はビルメンテナンスの仕事をする上で、普段使用頻度の高い資格です。全社員に取得を促している企業もあります。

「三種の神器」は、全員が取得する必要はありませんが、何人かは取得する必要がある資格です。また、「4点セット」より難易度が高いので、有資格者は限られます。

あなたが取得しているボイラー技士資格は「4点セット」で、エネルギー管理士は「三種の神器」に当たるため、ビルメンテナンス業界では重宝されます。

ただ、不足している資格は取得する必要がある可能性が高いです。とはいっても、エネルギー管理士資格を取得しているなら、それより難易度は低い資格ばかりなので心配する必要はありません。

もちろん追加で「4点セット」「三種の神器」の資格を取得しているなら、一層採用されやすいといえます。

製造業・エネルギー供給業のプラント

ビルメンテナンス業と同じように設備を管理する仕事で、製造業やエネルギー供給業のプラントの設備管理を担当する仕事があります。これは、プラント・工場と呼ばれる大規模な産業用施設で設備管理を行います。

ビルメンテナンス業が他社の設備を管理するのと違って、工場・プラントの設備管理は自社の設備を管理することが多いです。

・製造業

製造業の例を挙げると、以下の日機装株式会社の求人が該当します。東京・石川・静岡に生産拠点のある会社で、この求人では金沢工場で航空宇宙・メディカル分野の工場のユーティリティー設備を保守する人材を募集しています。

しばしば工場では、生産のための熱源としてボイラーを持つことがあります。日機装社の求人は、そのような熱源としてのボイラーを含む工場内設備を管理する仕事の募集です。

ユーティリティー設備とは、電気、熱供給、給水、消防、通信設備など、工場の生産に直接関わる設備以外のものを指します。生産に直接関係していないといっても、ユーティリティー設備がないと工場を稼働できないので、重要な役割です。

・エネルギー供給業

次にエネルギー供給業の例を示します。下図は、電気供給業の北陸電力株式会社の求人です。北陸電力は、富山・石川・福井の3県に電力を供給する電力会社です。歓迎条件に、エネルギー管理士とボイラー技士資格の両方の記載があります。

この求人で募集しているのは、運転業務または保守業務に携わる人材です。電力会社の運転業務と保守業務の違いを簡単にまとめると下表のようになります。

業務範囲 勤務形態 特徴
運転業務 発電所の運転・パトロール
故障の応急対応
簡易修繕
燃料・材料の受け入れ
主にシフト勤務で変形労働 故障以外は定型業務多い
保守業務 定期修繕・老朽取替計画立案
工事対応
基本的に日勤で土日祝休み 定形外業務多い
工事業者との調整・手配など、デスクワーク多い

多くの電気供給業の会社で同様の特徴があります。私が勤める電力プラントでも、このような業務区分にわかれて仕事をしています。同僚に10電力会社や新電力から転職してきた人がいますが、みな同じ業務区分で仕事をしていたと教えてくれました。

ボイラー技士資格は、火力発電所の運転業務を行うのに取得を求められる資格です。エネルギー管理士資格は、どちらかというと保守業務を行う社員に求められる資格です。しかし、相互に移動することはあり、両方の資格を持っていると有利になります。

電気供給業は、10電力会社のほかに新電力が転職の対象になります。製造業でも自社工場の電源として、自前の火力発電所を持つことがあります。例えば、下の写真は化学工場内にある石炭火力発電所です。

このような新電力は全国にたくさんあるので、電気供給業の求人はたくさん出ており、探しやすいです。

エネルギー供給業として、熱供給業もエネルギー管理士・ボイラー技士の有資格者が歓迎される業種です。

熱供給業の例として、下図に大阪ガスファシリティーズ株式会社の求人を示します。

大阪ガスファシリティーズ社は、大阪ガス株式会社の100%子会社で関西中心にビルメンテナンス業を中心に展開している会社です。また、グループ全体の強みを活かして地域熱供給業もしています。この求人は、熱供給事業に携わる人材募集です。

求人票にある通り、ボイラー技士とエネルギー管理士資格が「あれば活かせる資格(歓迎条件)」になっています。

熱供給業は、熱供給プラントからある範囲の地域に冷暖房用の熱源を供給する仕事です。大型のボイラーや冷凍機を使うため、省エネ法でエネルギー管理者を選任する必要があると規定されています。したがって、エネルギー管理士の有資格者が活躍できます。

もちろん、ボイラーを焚くのでボイラー技士の有資格者も活躍する場面が多いです。

エネルギー供給業は、以上の求人に類似した求人を探していきます。

製造業の熱設計もある

設備管理の職種以外では、メーカーの設計の職種が対象になります。この場合、法で定められる資格者を設置するためではなく、技術力の指標として有資格者が求められます。

エネルギー管理士を熱分野で取得しボイラー技士資格を取得していれば、熱工学関係の技術レベルを担保する事ができます。企業に対して、わかりやすくあなたの能力を示すことができるのです。

求人の例を示すと、下図の日立造船株式会社の求人が挙げられます。この求人の求める方の欄に、「ボイラー技士もしくはエネルギー管理士が望ましい」と記載されています。

ボイラーに関して知識を有していることが必須条件なので、ここで求められているエネルギー管理士資格は、熱分野で取得したエネルギー管理士資格のことです。電気分野で取得しても、ボイラーに関する知識は問われないからです。

大型のボイラーだと、構造物や配管が熱により大きく動きます。下の写真の30cm四方くらいの治具は、ボイラーを焚いたときに熱による各所の動きが計算通りかどうかを確かめるものです。

計算結果と実際に目の前で起きている結果が違うこともあるので、このような確認作業は必須です。つまり、熱設計にかかる計算ができるだけでなく、実物でどのように計測するかといった技能も必要になります。

モノを作る職種では、このような設計職でエネ管・ボイラー技士資格を求める求人が出ていることがあります。

エネ管は熱分野で取得していないと評価されない

途中少し述べましたが、ボイラー技士資格と抱き合わせてエネルギー管理士資格所持をアピールする場合、エネルギー管理士資格は熱分野で取得していると、より効果的です。

ボイラー技士資格は機械系の資格なので、エネ管(熱分野)を取得していると、機械技術者として評価されやすくなります。

私が勤める電力プラントに、工場の火力発電所の機械系技術職から転職してきた同僚がいます。彼は採用担当をしていたこともあり、有資格者の採用について以下のように教えてくれました。

ボイラー技士資格は1級、特級を特に評価する。実務経験がないと取得できないからで、機械系実務経験があると判断し評価する。

(熱分野の)エネルギー管理士資格を持っていると、「努力して勉強できる人」「高度な知識を持っている人」という判断をしやすい。もちろん、加点ポイントになる

このように、ボイラー技士・エネルギー管理士資格は、採用試験において評価されやすい資格です。エネルギー管理士資格は熱分野であると、さらに機械系技術者としての技術力を認められることになります。

平均年収を知る

最後に、ボイラー技士・エネルギー管理士資格が活かせる職種・業種の年収について解説します。

冒頭に紹介した日本管財社の給料に関して、下図のように示されています。

月収表記で「22〜35万円」とあるので、年収に換算するために18ヶ月(12ヶ月+ボーナス4ヶ月+手当類2ヶ月分)を掛けて計算すると、396〜630万円になります。

同様に、ここで紹介した求人について年収をまとめたものが下表です。

会社名 提示年収[万円] 業種
日本管財(株) 396〜630

(求人票は月収表記)

その他技術サービス業
(ビルメンテナンス業)
日機装(株) 400〜700 製造業(産業用機械)
北陸電力(株) 350〜750 電気供給業
大阪ガスファシリティーズ(株) 300~450 熱供給業
日立造船(株) 400〜800 製造業(産業用機械)

この表からだと、年収は企業・業種によりまちまちです。実は、平均年収は業種により大きく違います。業種ごとの平均年収は、厚生労働省が発表している賃金基本構造統計調査を参考にするとよいです。

下のグラフは、エネ管・ボイラー技士の有資格者が転職することが多い業種の平均年収をグラフ化したものです。青色で示したのが製造業、橙色で示したのが非製造業です。

引用:令和元年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)より作成

グラフの左側に平均年収の高い業種が示されています。つまり、電気供給業、石油石炭製品製造業、化学製造業などが平均年収の高い業種です。

年収を上げるためには、グラフの左側の業種の求人に積極的に応募するとよいです。そうすることによって、年収面で転職成功しやすくなります。

まとめ

ボイラー技士とエネルギー管理士の資格が活用できる業種は、ビルメンテナンス業(その他技術サービス業)、製造業、エネルギー供給業です。また、多くの場合職種は設備管理職になります。

求人の数は少ないものの、熱・ボイラーのスペシャリストとして、製造業で機械(熱)設計を行う技術者の募集もあります。

あなたがエネルギー管理士資格を熱分野で取得していると、採用試験でより有利に働きます。機械(熱)系スペシャリストとして、面接などで大いにアピールすると良いです。

これら2つの資格が活用できる業種の年収は、企業によりさまざまです。業種ごとの平均年収は、政府統計により公表されています。政府統計を参考に、提示年収が妥当か判断できます。

また、政府統計の平均年収が高い業種に積極的に応募することで、年収面で転職成功しやすくなります。

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。