2000年代初頭までは手書きの図面がまだたくさんありましたが、もはやコンピューターで製図した図面しか見ることがなくなりました。電気業界では、ワープロソフトや表計算ソフトが使えることと同等に、CADソフトが使えることが求められるようになっています。

このCADソフトを専門に使いこなして、製図を行うのがCADオペレーターです。CADオペレーターの作成する図面により、電気工事や電気設備・製品が正確に製作されます。

では、CADオペレーターの求人はどのように探したらよいでしょうか。実は、CADオペレーターの優れた求人の探し方にはコツがあります。

ここでは、CADオペレーターの活躍できる業種、業務で使うCADソフトの種類、実際の求人例と年収、優れた求人の見つけ方について解説します。

電気系CADオペレーターは電気工事と電気設計で活躍できる

CADオペレーターは、製図ソフトを使って図面を作成する仕事です。電気系でCADオペレーターが活躍できる仕事は、電気工事と電気設計が挙げられます。

後述するように、CAD経験があれば応募できる求人が多いです。したがって、全く分野が違う電気工事と電気設計でも相互に選択肢に入れておくことで、転職成功の可能性を上げることができます。

・電気工事のCADオペ

電気工事で描かなければならない図面は、電気工事設計に用いられる図面です。工事設計は、電気設備設計とも呼ばれます。

この工事設計に使われる図の例を挙げると、ある部屋に既設の分電盤から灯具を1灯新設する場合の図面は下図のように描きます。

この図面をもとに、積算を行い、工事金額を計算します。また、設計変更や最終的な竣工検査も最初に作成した図面を基本にして行われます。電気工事士は、工事現場でこの図面をもとに施工します。これらは、すべて工事代金に反映されます。

電気工事は全く同じ工事になることはなく、工事のたびに図面を新しく描く必要があります。小さなパーツは類似した図面を用いることもありますが、全体として毎回新しい図面を描く仕事です。

・電気設計のCADオペ

電気設計は、主に電気的な論理を図面に表す仕事です。制御設計、回路設計とも呼ばれます。

電気制御のうち、よく使われる制御方式でシーケンス制御があります。下図は、モーターを押ボタンスイッチで入切動作させるシーケンス図です。電気設計のCADオペはこのような図面を描く仕事です。

このシーケンスを見てわかる通り、電気的知識がまったくないと理解できない図面です。電気工事図面は、空間的に現物と一致するので比較的わかりやすいものの、制御図面はあくまで論理的な構造を示しているだけだからです。

電気設計のCADオペはこのような図面を描く仕事です。

使うCADソフトはさまざまで、資格は必須条件ではない

電気系の仕事でよく使われるCADソフトは、会社によりさまざまです。下表によく使われるCADソフトを一覧にまとめましたので、参考にして下さい。

使われる分野 CADソフト名
汎用 Auto-CAD、jw-CAD
電気工事 Tfas、plus-CAD
電気制御・盤設計 E-CAD、brics-CAD

この内、Auto-CADは汎用CADソフトとして電気屋がよく使うソフトです。jw-CADは、土木・建築屋が好んで使うフリーのCADソフトです。

工事図面を描く場合、先に土木・建築が施工してから電気設備の施工をします。したがって、躯体や建築構造物の図面があり、それに電気設備の図面を描くことが多いです。

このとき、土木・建築図面はjw-CADで描かれており、それをAuto-CADのファイルに変換して作成することになります。私も電気設備図面を製作するに当たり、何度もjw-CADのデータを貰いました。

下図は、以前私が描いた電気設備の機器配置図です。この図の扉や壁・PS(パイプシャフト)などは建築部門からjw-CADのデータでもらったものです。それに電気設備(寸法の入った四角)を、Auto-CADで追記しています。

問題なのは、この2つのCADソフトが完全に互換ではないことです。受け渡しなどで、細部を確認したりデータ変換したりするために、両方のCADソフトを使わなければならないことがしばしばあります。

そのほかの専用CADは、「あなたの使用経験があるCADと企業が求めるCAD経験が一致したら運が良い」くらいに考えておきましょう。また、CAD資格保持を求められることもありません。

これは社外で学ぶための手段がほとんどないためです。大型書店に行ってCAD関係の棚を見ても、2D-CADはAuto-CADとjw-CADばかりです。

メーカーの設計部門で働く友人に使用しているCADと習得方法について聞いてみると、特殊なCADソフトを使っていて職場に入ってから習得しているということです。つまり、汎用のAuto-CADなどが使えれば問題ないということです。

CADオペレーター求人の実例

ここからは求人の実例を確認していきます。CADオペレーターの正社員の求人は、転職サイトから探すことができます。

電気工事・電気設備工事のCADオペレーター求人

電気工事士のCADオペとして最初に紹介するのは、大阪を中心とした関西一円と香川県・広島県でプラントなど大規模な電気工事を事業として行っている、比較的新しい会社です。下図のように、CADオペレーターを募集しています。また、CADソフトはTfasを使うと記載してあります。

実紀コスミオン社の求人票で求める方の欄をみると、下図のように「3D-CAD、2d-CADの実務経験」を求めています。また、Tfasの実務経験者は優遇されるとあります。

3D-CADの実務経験を求めているのは、Tfasに3D機能があるからだと考えられます。設備系CADの3D機能を使うと、設置状況などを画面上に3Dで再現することができ、施工前に干渉箇所をとらえやすくなります。

引用:株式会社ダイテック Tfas紹介ページより

電気工事の現場は多くの場合2D図面で十分です。しかし、実紀コスミオン社は自社で機械工事をすることもあり、3D-CADを施工に生かしていると推定できます。

このように3D-CAD実務経験が条件に入っているので、あなたがFusionやSolidworksなどを使って機械設計をしていたとしても応募できます。

次に紹介するのは、愛媛県松山市で電気設備工事を行っている三和ダイヤ工業株式会社の求人です。この求人では、CADオペ兼事務職を募集しています。

業務内容を見ると、一般事務ではなく工事事務のアシスタントをしながらCADオペをする内容です。使うCADソフトは、jw-CAD、Tfas、Auto-CADの三種が挙げられています。

この求人の応募条件は、下図のように何らかのCAD経験です。

具体的にソフト名の記載がないので、必須条件といえどもゆるい条件といえます。

電気工事に関するCADオペレーターの求人は、このような求人を探していきます。

電気設計(制御設計・回路設計)のCADオペレーター求人

次に、電気設計のCADオペレーターの求人を紹介します。下図は、岡山県岡山市で電気機器の製造を行っているコーセーエンジニアリング株式会社の求人です。

この会社は、大手重電メーカーに高圧配電盤などを納入することがあります。その設計要員として、CADオペレーターを募集しています。

求人票にある、「高・低圧電源となる各種配電盤」とは、下の写真のような盤をいいます。写真は、22kV系に接続された高圧配電盤です。

写真の高圧配電盤の右手にあるのが開閉器や計器用変成器です。計器用変成器から得られる電圧値や電流値を高圧配電盤の中にある制御回路(シーケンス回路)に渡し、開閉器を操作したり保護したりします。

この求人で募集しているCADオペレーターは、まず配電盤の中の制御回路の図面描きからスタートします。

なお、この募集で注意すべき点は、単なる図面描きと考えていてはいけないということです。あくまで電気設計の中の一部を担うということを意識して下さい

私が発注側として図面チェックをしていたとき、このような設計意識の欠けた人が描いたと思われる図面が提出されたことがあります。

先程の図のようなシーケンス図で、直流回路に27(交流不足電圧継電器)が描かれていました。直流なので80(直流不足電圧継電器)の間違いではないのかと、即座に疑義を返しました。結果、記載ミスということでした。

このように、電気的な知識が欠如したまま図面作成を続けていると、客先に大変な恥を晒すことになります。恥晒しで済めばいいものの、製作図に用いられた場合は電気事故を起こしたり、人身事故を起こしたりすることに繋がります

また、求人票に「当面はオペレーター」と限定してあるように、将来的に設計に携わることを期待されている求人です。あなたに電気について学習意欲があるなら、ステップアップが用意されている優れた求人といえます。

この求人の求める方の欄には、「電気CADが使用できる方」とあります。

電気CADとは、電気製図ができることを指します。ソフトを問わず、電気図面が読める・描けるなら応募できます。

電気設計のCADオペレーターは、このような求人を探していきます。

転職エージェントを活用して多くの求人を集める

ここまで紹介したCADオペレーターの求人の数は、実はあまり多くありません。

大手転職サイトのdodaで「電気 CADオペレーター」で検索すると、100件強の求人がヒットします。

しかしながら、機械や建築のCADオペレーターと、施工管理が主体でCADは付随作業という求人が大多数です。電気のCADオペレーターは10数件しかありませんでした。

日本全国でこれだけの求人数なので、あなたが希望する条件に合う求人を見つける可能性はかなり低いことがわかります。

このように、転職サイトで公開されている電気系CADオペレーターの求人は、数が大変少ないです。そこで、ただ転職サイトを検索して探すだけでなく、工夫をする必要があります

具体的には、次の2つの方法があります。

  1. 複数の転職サイトで、転職エージェントに非公開求人を紹介してもらう。
  2. 転職エージェントにCADオペレーターの求人を優先して紹介してもらう。

順に説明します。まず、転職エージェントから非公開求人を紹介してもらう方法です。

実は、転職サイトに公開されている求人は、転職サイトが持っている全求人の一部でしかありません。求人の多くは、非公開とされており転職エージェントを介してのみ見ることができます。この非公開求人の割合は、80%程度とされています。

この80%というのは一部の転職サイトだけではなく、どの転職サイトでも同じです。つまり、転職エージェントサービスを利用することで、利用しなかったときに比べて5倍の求人にアクセスできることになります。

また、求人は転職サイトごとに扱っているものが違います。しがって、複数の転職サイトに登録することで、より多くの求人に触れることができます。

例えば、私が転職したときには、3つの転職サイトを使いました。このとき、面談では概ね同じような内容を話しているのに、紹介される求人は驚くほど違いました。

もちろん、地方都市希望で30社近く紹介を受けたので、全く同じ求人もいくつかありました。しかしほとんどが全く別の求人でした。

このことからも、複数サイトで求人を探したほうが、あなたの希望にマッチしたより多くの求人を見つけられることがわかります。

次に、転職エージェントから優先的に求人を紹介してもらう方法を説明します。

私が転職活動したときに転職エージェントに直接聞いた話ですが、実は求人は出ていないものの企業に人材紹介することはあるということです。

転職サイトと求人を出す企業で打ち合わせをする中で、どのような人材がほしいのかという話をします。企業が出す求人は、ほしい人材像の一部しか反映できていない場合があります。それは採用のための予算枠や優先順位などの問題で、外部からはわからないことです。

つまり、転職エージェントは、求人が出ていなくても企業が欲しがる人材像にマッチした人材を紹介することがあるのです。これは、あなたが転職エージェントに電気系CADオペレーター希望であることや、あなたの希望・能力を十分に伝えていないと受けられないサービスです。

このように、転職エージェントによるサービスを有効活用することで、優れた求人に出会える確率を高めることができます

CADオペレーターの年収は低め

最後にCADオペレーターの年収について解説します。ここまで紹介してきたCADオペレーター求人は、すべて正社員の求人です。どのくらいの年収の提示があるのでしょうか。

実紀コスミオン社の求人を見ると、下図のように450万円が入社時の想定年収とされています。

同様に、三和ダイヤ工業社とコーセーエンジニアリング社の年収も求人票に記載があります。3社の提示年収をまとめたものが下表です。

会社名 提示年収額[万円] 職種
実紀コスミオン(株) 450 電気工事のCADオペ
三和ダイヤ工業(株) 300~400 電気工事のCADオペ
コーセーエンジニアリング(株) 300~400 電気設計のCADオペ

実紀コスミオン社が高いものの、三和ダイヤ工業社とコーセーエンジニアリング社は300~400万円が提示されています。

厚生労働省が発表している、賃金基本構造統計調査によると全産業の平均年収は約500万円です。これと比較すると、CADオペレーターの提示年収は低いといえます。

このようなとき少しでも入社時の年収を上げるには、転職エージェントを介して年収交渉すると良いです。転職エージェントは、自分の報酬の基準となるのがあなたの入社時の年収であるため、親身になって年収交渉をしてくれます。

求人票の提示年収が低いのをそのまま受け入れるのではなく、転職エージェントを活用すると入社時の年収を上げやすくなります

まとめ

電気系CADオペレーターに転職しようとすると、電気工事か電気設計のCADオペレーターを目指すことになります。

電気工事のCADオペは、実際に形としてあるものを図面にするので比較的わかりやすいです。電気設計のCADオペは、電気を使った論理構造を示す図面を描くので、全く電気に関する知識がないと難易度が高いです。

電気系のCADでよく使われるのは、汎用CADとしてAuto-CADとjw-CADがあります。電気工事ではTfas、電気設計ではE-CADなどがあります。

しかし、専用CADは業務外での習得が難しく、必須として求められることはほとんどありません。運良く、あなたの使用経験があるCADが優遇条件として挙げられていたら、大いにアピールすると良いです。

電気系CADオペレーターの求人は、電気工事の求人が多く、電気設計は少ないです。また、総じて数が少ないので、「複数サイトで転職エージェントから非公開求人の紹介を受ける」「転職エージェントにCADオペ求人を優先して紹介してもらう」などの工夫が必要です。

求人例からわかる電気系CADオペレーターの提示年収は、全産業平均より低い場合が多いです。入社時の年収を少しでも高くするには、転職エージェントに年収交渉を依頼すると年収を上げやすくなります。

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。