国家資格である公害防止管理者資格のうち、事業所からの排水を管理するために必要な資格として水質関係第4種資格があります。環境に対する意識は高まる一方で、今後ますます需要の増す資格です。

では、転職活動において水質関係第4種公害防止管理者資格を活かすには、どのようにしたら良いのでしょうか? また、企業からどのように評価され給料に反映されるのでしょうか。

私は転職活動をするときに、資格の活用方法を全く考えずに始めました。そして、なかなか転職が決まらずに、気を揉んだ思い出があります。資格を活かして転職・再就職をするなら、事前の十分な調査は必須です。

ここでは、「水質4種公害防止管理者資格が有利になる転職先」「求人の実態」「優れた求人を見つける方法」「資格手当と年収」について解説します。

水質関係第4種公害防止管理者資格が有利になる転職先を知る

水質関係第4種公害防止管理者資格を活かして転職活動をするなら、どのような業種・職種で求められるかを、十分に知っておくことが重要です。

まず、水質関係の公害防止管理者が必要なのは、製造業です。そして、水質関係第4種の資格だと、指定有害物質が排水に含まれず、1日あたり1,000〜10,000立米を排出する事業者が対象になります。

例えば、下の写真は飲料工場の写真です。飲料工場では、洗浄・搾汁・蒸留施設が設置してあれば水質関係公害防止管理者を選任しなければなりません。

どのような施設で、水質関係第4種公害防止管理者資格が必要なのかは、一般社団法人産業環境管理協会の資料に詳しく説明されています。

それによると、対象として食品・繊維・印刷などの軽工業と、組み立てなどの生産に水を使わない企業が多いです。重化学工業だと、水質関係第2種以上の資格が必要になる場合が多いです。

公害防止管理者の仕事内容

そして募集される職種は、大きく分けて2つの職種に絞られます。それは、「設備管理」「総務」です。それぞれの仕事内容の概要を下表に示します。

職種 仕事内容
設備管理 工場設備の保守管理を行う。技術系職種。ほとんどの公開求人が、設備管理または類似の技術職に該当する。
総務 工場設備の管理を行う。保守の実務を他部門・外注する手続きが仕事内容になることもある。

公害防止管理者がすべき仕事は、あくまで「工場から公害を発生させないために管理する」ことです。したがって、総務職が担当することもあります。

・設備管理職

事業所として公害を起こさないために、排水が環境基準を満たすことを法令によって求められています。しかし、工場稼働中に排水の状態を目視で監視することは効率的ではありません。そこで、下の写真のような監視設備があるのが一般的です。

この写真は、工場から排水される出口のところに設けられた水質監視設備の一部です。水質に異常が見られたときは、即座に排出を止める弁が閉じます。

私が勤める電力プラントでは、分析など実務をおこなう設備管理部門の社員が公害防止管理者として選任されています。例えば、下図に示す株式会社クボタの求人だと、大阪の堺製造所で排水処理設備中心に関わる人材を募集しています。

ただ、クボタ社のように、排水処理専属で業務を行う求人募集は珍しいです。多くの場合、公害防止管理者として行政とのやり取りや、写真のような排水に関する設備を管理することは通常業務のごく一部です。取り扱う設備は、排水設備のほかにも、プラントの様々な設備のほうが圧倒的に多数です。

したがって、プラント設備の保守管理の経験があるとプラスで評価されます。設備管理職として転職する場合は、あくまで設備管理の一環として公害防止管理の仕事があると理解してください。

・総務

一方、事務系である総務系部署が公害防止管理を担当することがあります。例えば、下図の株式会社セントラルヨシダでは、総務職の募集で水質関係公害防止管理者の資格を歓迎条件としています。セントラルヨシダ社は、愛知県の自動車部品メーカーです。

セントラルヨシダ社の求人では、水質関係第2種公害防止管理者資格が歓迎条件になっています。したがって、水質4種資格を持っていたとしても、大きなアピールポイントにはなりません。

しかし、水質4種資格を持っていれば、将来的に水質2種資格を取得しやすいです。そのことをうまくアピールするとよいです。

また、後述のように水質4種公害防止管理者資格を明記した求人は少ないです。そこで、このような上位の水質関係公害防止管理者資格を条件とした求人も合わせて探す必要があります。

次に示す求人は、日之出水道機器株式会社の求人です。この求人では、佐賀県の工場で働く総務職を募集しています。資格条件に公害防止管理者の記載はありません。

しかしながら、職務内容を見ると公害防止管理者が求められる内容が記述してあります。

つまり、水質関係第4種公害防止管理者資格がアピールポイントになる可能性が高いです。資格条件に記載がなくても、仕事内容が公害防止管理に当てはまるなら、積極的に応募すると良いです。

このように事務系職種で公害防止管理の仕事があるのは、公害防止「管理」の仕事が行政とのやり取りや、組織の運営だからです。

設備管理職だと、公害防止管理の実務として環境設備を維持・運用しています。この維持・運用には公害防止管理者の資格は不要です。

一方で、維持・運用をするための「管理」には、公害防止管理者の資格が必要です。

もちろん、環境設備を維持・運用するための技術的知見がある方が良いです。しかし、それだけでは公害防止管理者は務まりません。「行政とやり取りする仕事」や「組織を動かす仕事」について知見が必要なのです。

そのようなマネジメントに近い業務は、総務のような事務系職種が得意とする業務です。設備管理のような実務は、社内または外注の技術部門に任せて、マネジメントを行う会社があります。

そして設備管理職と同じように、公害防止管理者としての仕事ばかりが業務ではありません。総務はいわゆる「なんでも屋」として、下図のような会社のあらゆる場面で裏方の仕事をこなします。技術に集中して仕事をするのではなく、幅広く色々なことにチャレンジしたい人に向いています

公害防止管理者資格を活かすには、以上のような職種の選択肢があります。

「水質4種」で検索してもヒットする求人は少ない

実際に求人を探すとき、多くの人は転職サイトを使います。公害防止管理者資格を生かして転職するときも、同様に転職サイトで求人検索するとどのような結果が得られるでしょうか。

大手転職サイトのdodaを使って、「水質 4種 公害防止管理者」をキーワードにして検索した結果が下図です。全国で10件の求人しかないことがわかります。

さらにここでヒットした求人でも、水質関係第4種公害防止管理者資格をピンポイントで指定している求人はありませんでした。どれも、下図のアスザックフーズ株式会社の求人のように、水質関係第1~4種の公害防止管理者資格を条件としていました。

アスザックフーズ社の求人では、長野県の工場で食品の品質保証とISO14001(環境)を担当する人材を求めています。品質保証は設備管理職とは違いますが、技術系の職種です。

資格条件で、このような資格の幅をもたせて記載をする理由は、以下の2つがあります。

  1. 最も下位資格である第4種有資格者がいれば、工場としては公害防止管理者の選任要件を満足する。しかし、上位資格である第1種・第2種・第3種有資格者も選任することができるので、歓迎条件として記載している。
  2. 第4種有資格者では、工場の公害防止管理者の選任要件を満たさない。しかし、無資格者より上位の第1種・第2種・第3種資格を取得することが容易であると考えられるため、歓迎条件としている。

このどちらのパターンであるかは、応募前に問い合わせるか、選考過程で先方企業に直接訊かないと外部から知ることはできません。

なんにしろ、水質関係第4種公害防止管理者をピンポイントで求める企業を探すには、キーワード検索だけでは難しいということです。

転職エージェントを使って企業に接触する

そこで、転職エージェントサービスを使うと求人を見つけやすくなります

あなたは水質関係第4種公害防止管理者資格を持っていることを強みとしており、転職先企業でその資格を活かしたいはずです。そうであれば、そのことを転職エージェントに明確に伝えましょう

そして、転職エージェントが探す求人は、あなたが見ることができる範囲と同じではありません。実は非公開求人には、あなたが直接アクセスすることができないからです。

下図は、製造業に強い転職サイトであるメイテックネクストが公表している非公開求人の情報です。全求人の8割が非公開求人であるとされています。

非公開求人は、転職エージェントから紹介を受けることでのみアクセスすることができます。つまり、転職エージェントサービスを利用することで、あなたが触れることのできる求人が5倍に増えるということです。

その際、転職エージェントに明確に「水質関係第4種公害防止管理者」の資格を活かしたいことを伝えておくことが大切です。転職エージェントが非公開求人の中から、あなたの希望にあう優れた求人を見つけやすくなるからです。

複数の転職サイトを使って求人を探す

そして転職サイトを使うときは、複数の転職サイトを使うと転職成功しやすくなります

なぜなら、転職サイトによって扱う求人が違うことです。求人を出す企業は、すべての転職サイトに求人を載せることはできません。予算や会社間取引の関係から、効果のあると思われる転職サイトに絞ります。

そのため、1つの転職サイトにしか登録していないと、優れた求人があっても取りこぼす可能性が高くなります

私は転職活動をするときに、3社の転職サイトを利用しました。転職を成功させた友人・同僚に話を聞いても、3〜5社の転職サイトを使ったと言っています。

特に水質関係第4種公害防止管理者資格が条件にある求人は、そもそもキーワード検索でヒット数が少ないです。少しでも多くの企業からの求人を得ることが、転職成功には必須です。

このような転職成功を妨げるリスクを少しでも減らすためは、転職サイトを複数使うことが有効な手段です。

公害防止管理者資格が年収に与える影響はわずか

資格を活かした転職で気になるのは、その資格が給料・年収に与える影響です。資格手当や評価の対象としている会社は多いので、期待しているのではないでしょうか?

求人票にも公害防止管理者の資格手当について、具体的に記載してある場合があります。下の図が、公害防止管理者の有資格者に対して資格手当を支払うことを示す求人の具体例です。この求人は、神奈川県横浜市にある株式会社総合環境分析の求人です。

総合環境分析社の場合は、公害防止管理者資格を持っていると月に4,000円の資格手当が支払われます。しかし、このように資格手当の金額を提示している求人票は少ないです。先に示した3社の求人には、資格手当の記載がありませんでした。

ちなみに私が勤めたことのある鉄道会社・電力プラントの2社とも、公害防止管理者資格を持っていても資格手当は支給されません。

また、月4,000円の資格手当だと、年収に換算すると48,000円です。公害防止管理者資格に対して支払われる資格手当は数千円が相場なので、年収だと数万円の増が見込めます

ただ、公害防止管理者が必要な製造業では、業種で大きく年収が変わります。24に分類される製造業の平均年収を、信頼の置けるデータとしてまとめたものは、厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査です。

下のグラフに、製造業24分類の各平均年収を示します。

引用 : 令和元年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)をグラフ化

このグラフによると、一番平均年収の高い業種と一番平均年収の低い業種で2倍近い差があることがわかります。このように、業種の選択による年収差は、数十〜数百万円に及びます。したがって高い年収を望むなら、資格手当のある求人を探すより、平均年収の高い業種の求人を探したほうが有利です。

ちなみに、ここで紹介したクボタ社の求人票における提示年収は、下図のように400~550万円と提示されています。

ここで紹介したほかの3社の提示年収は、下表のとおりです。

会社名 提示年収[万円] 業種・職種
(株)クボタ 400~550 製造業(生産用機械器具)・設備管理
(株)セントラルヨシダ 400~500 製造業(鉄鋼)・事務(総務)
日之出水道機器(株) 437~600 製造業(鉄鋼)・事務(総務人事)
アスザックフーズ(株) 350~500 製造業(食料品)・品質管理

政府統計と比較すると、「クボタ社と日之出水道機器社の年収は業種平均と同等か低め」「セントラルヨシダ社の年収は業種平均より低め」「アスザックフーズ社の年収は業種平均より高め」と言えます。

求人票の提示年収を見るだけでなく、同業種間で比較すると提示年収が妥当かどうか判断しやすくなります。これにより、極端に年収が低い求人を見破れ、年収面での失敗を防ぐことができます。

まとめ

水質関係第4種公害防止管理者を活かして転職するなら、対象となる企業は軽工業や組み立て工場を持つ製造業で、設備管理職が主な対象になります。

どの職種であっても、公害防止管理者の仕事だけに従事することは少ないです。そのほかの業務をこなしつつ、公害防止管理の仕事に従事すると考えてください。

なお、「水質関係第4種公害防止管理者」を条件として明記している求人は数が少ないです。したがって、根気よく求人探しを行うと同時に、工夫して探す必要があります。

最も手軽で有効な方法は、転職エージェントサービスを使うことです。転職エージェントサービスを使うと、非公開求人にアクセスできます。また、転職エージェントの視点で、あなたに適した優れた求人を探してくれます。

公害防止管理者資格に対する資格手当は、支払われる場合で数千円という場合が多いです。これは年収に換算すると数万円です。

公害防止管理者が求められる業種は、24種の製造業です。これらの平均年収は、それぞれで大きく違います。転職で年収アップを狙うなら、資格手当の有無より、平均年収が高い業種を狙うほうが成功しやすくなります。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。