建設コンサルタントは、建設工事の上流に携わることができる業種・職種の一つです。建設物が、まだ形をなしていないところから仕事を始め、最後に完成形を迎えるまでを、あなたの技術力でサポートする仕事です。

公共工事など、工事額の大きな仕事にふれることも多く、やりがいに満ちた仕事と言えます。電気に関する建設工事でも、建設コンサルタントの出番は多いです。

一方、普段注目される仕事ではないため、建設コンサルタントについて出回っている情報が少ないです。転職を成功させるには、事前に十分に正しい情報収集が必要です。情報収集を怠れば、優れた求人を見逃してしまうことにつながります。

ここでは、「建設コンサルタントの求人の探し方・見方」「資格の活かし方」「提示年収の実際と考え方」について、詳しく説明します。

建設コンサルタントの電気系技術職の探し方・見方

転職のために建設コンサルタント企業を探すには、多くの人が使っている転職サイトを利用するのが手軽です。私も転職活動を始めた直後は、まず転職サイトでどんな求人が公開されているのかを確認しました。

ちなみに、大手転職サイトのdodaで、「建設コンサルタント 電気」をキーワードにして検索すると500件以上の求人がヒットしました。

しかし、転職サイトの検索結果は、建設コンサルタントだけでなく、「建設コンサルタントで業務経験があること」などの記述がある求人もヒットしてしまいます。ヒット数が多いので、一つ一つ確認していくのは良い方法ではありません。

実は、建設コンサルタントは国土交通省に登録する必要があります。そして、その登録情報は一覧としてWEBで確認することができます。下図は、国土交通省の建設コンサルタント登録データが掲載されているWEBページです。

引用 : 建設関連業の登録業者に関する情報提供システム(国土交通省)

この登録建設コンサルタント一覧データには、会社名、会社住所のほか、部門(強みのある建設部門)などの情報も登録されています。建設コンサルタントの会社を知らなければ、優れた求人を見つけ出すこともできません

私は、この登録建設コンサルタント一覧データを見ていて、多くの知らない建設コンサルタント企業があることを知りました。

実は、私はかつて鉄道会社に電気技術者として勤務していて、鉄道系のコンサルタント会社と付き合いがありました。鉄道系(鉄道部門)の建設コンサルタントとして有名な企業は、下表の企業などです。

会社名
JR系 ・JR東日本コンサルタンツ(株)

・ジェイアール西日本コンサルタンツ(株)

・ジェイアール東海コンサルタンツ(株)

私鉄系 ・(株)小田急エンジニアリング

・(株)かんこう : 京阪グループ

・(株)シーエス・インスペクター : 南海グループ

もちろん、このような有名な企業全てと付き合いがあったわけではありません。ただ、付き合いがなくても知っていました。しかし、登録建設コンサルタント一覧データで、「鉄道部門」の会社を探していたら、下の写真の株式会社福山コンサルタントという、これまで知らない会社を見つけました。

下図の、同社の中途採用募集要項を見てみると、電気系技術者が関係するのは、鉄道関係、情報(電気)関係の技術者を募集していることがわかります。

このような求人情報には、建設コンサルタント会社自体を知らなければたどり着くことができません。優れた求人を見つけるために、まずは建設コンサルタントの会社情報を得ることが大切です。

転職サイトを使って会社名を決め打ちで調べる

建設コンサルタント会社の会社名がわかったところで、その会社が求人を出しているかどうかはわかりません。ホームページに、採用情報が掲載されていないこともよくあります。

しかし、会社ホームページに採用情報が無かったとしても、あきらめないでください。実は、ホームページに採用情報がない会社でも、転職サイトには求人を出している場合があります

私が転職活動したときは、まず山口の実家に近い有名な電機会社を転職サイトで検索しました。そこで、求人が出ていたのを確認してから本格的に転職活動を開始しました。

結局、条件が合わずその会社に転職することはなかったものの、転職エージェント経由で応募し、採用試験を受けました。転職活動の最初期に、その会社を受験したのを覚えています。転職したい会社名がわかっていれば、転職活動のそのあとの進行がスピーディーです。

また、自分で転職サイトを利用して会社名を検索して求人が出てこないとしても、転職エージェントを介せば非公開求人を紹介してもらえる可能性があります

非公開求人とは、転職エージェントから紹介を受けることでのみアクセスできる求人のことです。全求人の8割が非公開求人と言われています。

試しに、技術系特化転職サイトのメイテックネクストを使って「建設コンサルタント」をキーワードに検索してみると、非公開求人が8件あることがわかります。

このように、あらゆる手を尽くして優れた求人を探し出す工夫が、転職を成功させます

建設コンサルタントで活かせる業務経験を知る

ここまでは、建設コンサルタントの求人の探し方を解説してきました。ここから、見つけた求人の中身を分析して、いかに採用試験を突破するかについて解説します。

建設コンサルタントが行っている業務は、主に建設工事の施工より上流の工程です。下の図は工事の流れを示したもので、建設コンサルタントが担当するのは、調査・設計・積算などです。

 

実際の求人例を示すと、下の株式会社スリーエスコンサルタンツの求人が主に電気通信設備設計業務を担当する人材を募集しています。スリーエスコンサルタンツ社は、大阪に本社を置くほか、都市部を中心に拠点を持っている会社です。

設計と言っても、業務範囲の解釈が広いです。仕様書から、単に施工図面を描くことを設計と表現している会社もあれば、仕様決定から図面作成までを設計と呼んでいる会社もあります。

スリーエスコンサルタンツの場合は、「発注者の求める目的・設計条件を確認し、メーカヒアリングを行ったうえで、現在の技術・製品で実現可能な最適ソリューションを検討・整理し、コーディネート・提案・設計を行う業務」と記載してあります。工事の上流工程で、広い範囲の業務を行っているといえます。

一点注意点があるとすれば、下図参考の通り、建設コンサルタントは「お客様(工事発注者)側の立場で、工事発注するための設計などを行う」ということです。

私が鉄道会社に勤めていたときは、ユーザー企業でありながら工事設計積算をしていました。しかし、発注側企業で工事設計積算を実施している企業は、公務員や準公務員の企業を除いて、まれです。

驚いたのは、大手製紙企業から転職してきた同僚に話を聞くと、工事は全て相見積もりで費用を決めていたと話してくれたことです。つまり、ほとんどのユーザー企業において積算により工事費用の妥当性を判断できる人材を持っていないということです。

そこで、活躍するのが建設コンサルタントです。建設コンサルタントが、工事設計積算できないユーザー企業に代わって、それらの業務を行います。別の言い方では、「発注者支援」「発注者業務」などと呼ぶこともあります。

「発注者支援」のキーワードを使って求人を出している例を、下図に示します。この求人は、本社を香川県高松市に置く、株式会社ティーネットジャパンの求人です。求人票には、公共工事の発注者支援業務を行うと記載してあります。

また、この求人では設計積算だけでなく、施工管理や品質管理(成果物チェックなど)も行うと記載されています。つまり、発注者が本来行うべき仕事を、ほとんど肩代わりしています。

以上のように、求人票を読み込み、建設コンサルタントとしてどのような範囲で建設工事に関わるのかを把握してください

求人例から求められる人物像を探る

仕事内容が把握できたら、どのような人材が求められるのかを考えます。

スリーエスコンサルタンツ社の場合、下図のように求人票に「電気、電気通信の施工管理業務または設備設計業務」の経験があることが求められています。

電気設備設計業務をするので、設計経験があるなら即戦力になれます。一方、施工管理経験が、なぜ必須条件とされているのでしょうか。

一般に施工管理をする中で、小規模な設計積算をすること多いです。さらに、実施工する職人ではなく、工事を監督する立場から、よりユーザーの視点に立って建設工事に携わっています。このことが、建設コンサルタントとしての業務に評価されていると考えられます。

したがって、施工管理経験を武器に採用試験に挑むなら、「職人を采配して工事を完遂してきたこと」をアピールしても無駄です。それは建設工事会社が求めるスキルや実績だからです。

建設コンサルタント会社の採用試験を受けるときは、「設計・積算できる」「ユーザーの意図をくみ取り、適宜設計に反映してきた」「ユーザーと一緒に仕様を作った経験がある」といったことをアピールしてください

同様にティーネットジャパン社の求人を見ると、下図のようにスリーエスコンサルタンツ社と類似のことが書いてあります。資格の条件については、次章で詳しく解説します。

私が転職活動をしたとき、建設コンサルタント会社を受け、内定をもらったことがあります。そのとき、鉄道会社勤務時代に工事設計の経験があったことを話したのが好印象だったと聞きました。

以上を参考に、求人票の業務内容と条件欄を十分読み込んで、建設コンサルタント会社が求めている人物像を把握した上で採用試験に臨んでください。

建設コンサルタントで活かせる電気系資格はあるか?

ところで、建設コンサルタント会社に応募するときに、活かせる電気系資格はあるのでしょうか。これまであなたが働きながら取得してきた資格が活かせるのなら、それを武器にして採用試験に挑むことができます。

このことを考える上で、最も大切なことを述べます。それは、建設コンサルタント業務を行うのに必須の電気系資格は存在しないということです。

例えば、技術系最高峰資格と呼ばれる「技術士」資格でいうと、これは名称独占資格です。「技術士を名乗って」コンサルタントの仕事をするには資格が必要ですが、技術士を名乗らなければ必要ありません。

 

したがって、資格を持っていないからといって悲観する必要はないのです。

先に示したティーネットジャパン社の求人を、下に再掲します。求める方の欄には、歓迎条件として「電気工事士」資格の記載があります。

実際に工事施工するわけではないので、電気工事資格が無くても全く問題ありません。条件に記載されているのは、実施工を知っていることが設計に活かせるので評価されるのだと考えられます。

しかし、資格を持っていることを全くアピールできないわけではありません。特に電気系エンジニアなら、「技術士(電気電子)」「RCCM」「電気主任技術者(電験)」「電気通信主任技術者」「高度情報処理技術者」などの難易度の高い資格は、採用試験で十分にアピールできます。

これは、建設コンサルタント会社が、社内に難易度の高い資格者を多数有していることが、対外的に有利だからです。

例えば、下の図のように、電気主任技術者資格の有資格者がいるA設計事務所と、有資格者がいないB建設コンサルタントのどちらかにコンサルティングを依頼するとして、どちらに頼みたいと思うでしょうか。私ならA設計事務所に頼みます。

このような会社が対外的アピールに使うための資格は、求人票に全て書かれるわけではありません。次に示す、東電設計株式会社の求人では、資格に関する記載がありません。東電設計社は、東京電力のグループ会社として、電力関係の設計に強い会社です。

そこで、東電設計社のホームページを確認すると、有資格者情報として「技術士」「電気主任技術者」のほか「エネルギー管理士」「電気工事施工管理技士」の資格の記載があります。

引用 : 東電設計株式会社ホームページより

これらの資格は、わざわざ有資格者情報として対外的にオープンにしているので、会社として評価している資格です。つまり、求人票の応募条件になくても、採用試験で大いにアピールすることができます。

以上のように、求人票だけでなく、希望する会社の情報を広く集めることで、アピールできる資格を見極めることができます

建設コンサルタントの提示年収を知る

最後に、建設コンサルタントに転職したときの年収について解説します。

冒頭で紹介した福山コンサルタント社の提示年収は、「経験・年齢に応じて当社規定により優遇します」とだけ記載ありました。2番目に紹介したスリーエスコンサルタンツ社は、下図のように求人票に500~700万円が提示されています。

同様に、ここで紹介した求人について提示年収をまとめたものが下表です。

会社名 提示年収[万円]
(株)福山コンサルタント 定量的な記載なし
(株)スリーエスコンサルタント 500~700
(株)ティーネットジャパン 初年度想定
370~600
東電設計(株) 450~750

ちなみに私が30代前半で転職活動をしたとき、内定を得た建設コンサルタントから提示を受けた年収額が想定残業代を含んで500万円強でした。サラリーマンの平均年収が500万円弱なので、ここで紹介した求人を含めて概ね高めの年収が提示されています

さらに客観的に提示年収の妥当性を判断するなら、厚生労働省が毎年調査、公表している賃金構造基本統計調査が参考になります。建設コンサルタントは「技術サービス業(他に分類されないもの)」に該当します。下のグラフは、その調査結果を抜粋しグラフ化したものです。

引用 : 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)より抜粋してグラフ化

あなたの年齢とこのグラフを参考にすれば、提示を受けた年収が妥当かどうかを判断できます。大きく違うようなら、先方企業に問い合わせると良いです。納得できる答えが返ってくるかどうかが、転職後の高い満足度につながります

自分で直接訊くのがためらわれるなら、転職エージェントを通して確認するのも良い方法です。転職を決めてしまう前に、その理由を確認しておくと、年収面で満足しやすくなります。

まとめ

電気系技術者として、建設コンサルタントに転職する際の求人の探し方、見方について詳しく解説してきました。

多くの人が使う転職サイトですが、建設コンサルタント会社を探すときは、国土交通省の登録情報と合わせて活用すると良いです。これにより優れた求人を見落とすリスクを極限まで小さくすることができます。

建設コンサルタントが担当する仕事は、建設工事のうち実施工を除く業務です。特に、上流工程の仕事をすることが多いです。したがって、採用試験でアピールするときは、経験や資格が上流工程で活かせることをアピールしなければなりません

建設コンサルタントに必要とされる資格は、業務に必要な資格ではありません。会社が対外的にアピールしたい資格は、ホームページなどに記載されている資格です。これらの資格を持っているならば、応募条件になくても大いにアピールすることができます。

建設コンサルタントの提示年収は、サラリーマンの平均年収より高めです。あなたの年齢と、政府統計などを参考にすれば、年収交渉の妥当な額がわかります。これにより、年収面での満足度を高めることができます。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。