ボイラー技士資格のうち、二級は筆記試験と講習を受ければ取得できる資格です。そのため、取得難易度が低く大きく評価される資格ではありません。

そこで、多くの人は評価アップや年収アップのために上位の一級・特級ボイラー技士取得を目指します。また、純粋に技術力アップを志す人もいます。

ただ、上位のボイラー技士資格を取得しようとすると、実務経験が必要です。今あなたが勤めている会社で実務経験を積むことができないなら、実務経験を積める会社に転職することを考えないといけません。

転職で、望みの求人を見つけるにはコツがあります。手当たりしだいに求人を探しても、徒労に終わるか、転職失敗を招くだけです。

そこで転職により上位のボイラー技士資格取得を実現するために、ここでは「上位のボイラー技士資格の取得条件の確認」「実務経験を積める職種」「実務経験証明を得やすい会社の探し方」を解説します。

上位のボイラー技士資格の取得条件を確認する

具体的に求人を探す前に、特級または一級ボイラー技士資格を取得するために必要な条件を確認しておきましょう。

一級ボイラー技士免許を取得するには、下記の実務経験を経て証明書を東京労働局免許証発行センターに提出する必要があります。

  1. 二級ボイラー技士免許を受けた後、2年以上ボイラー(小型ボイラー及び小規模ボイラーを除く)を取り扱った経験
  2. 二級ボイラー技士免許を受けた後、1年以上ボイラー取扱作業主任者としての経験がある者

同様に、特級ボイラー技士免許を取得するには、下記の実務経験を経て証明書を東京労働局免許証発行センターに提出しなければなりません。

  1. 一級ボイラー技士免許を受けた後、5年以上ボイラー(小型ボイラー及び小規模ボイラーを除く)を取り扱った経験
  2. 一級ボイラー技士免許を受けた後、3年以上ボイラー取扱作業主任者としての経験

つまり、実務経験を積むことができない会社に転職しても、上位のボイラー技士資格を得ることはできません。ボイラーの「取り扱い」の実務経験を積むことができる会社を選択しなければなりません。

また実務経験を積んだあとは、実務証明書を会社に作ってもらわなければなりません。私の勤める会社がそうですが、その会社で働くのに必要な資格の実務経験証明書しか作りたがらない会社もあります。

このような会社に転職したのでは、せっかく実務経験を得ても上位のボイラー技士資格を取得することは難しくなります。

したがって、転職により上位のボイラー技士資格の取得を目指すためには、「1.実務経験を積める会社を探す」「2.資格取得についてどのように考えているか探る」ということが基本戦略になります。

取得条件を満たす求人例

まず、実務経験を積むことができる会社を探しましょう。根拠法令である労働安全衛生法令であるボイラー及び圧力容器安全規則には、「ボイラーの取り扱い」が実務経験であると記載されています。

通常、「ボイラーの取り扱い」には二級以上のボイラー技士資格が必要です。したがって、「ボイラー技士」というキーワードが記載されている求人が対象になります。

ただし、「業務にボイラーの取り扱いがないのに、ボイラーに対する知識がある人材がほしい」ために、「ボイラー技士」という語が求人票に記載されていることがあります。このような求人では、実務経験を積むことができません。

例えば、下に示す東テク北海道株式会社の求人では、ボイラー技士資格が歓迎または優遇資格として記載されています。

しかし、下のように仕事内容はセールスエンジニアで、空調機器の修理・点検・メンテナンスと記載されています。

このような仕事内容では、ボイラーの取り扱いの実務経験を積むことは難しいです。求人を探すときには「ボイラー技士」のキーワードのほか、仕事内容をしっかり確認して下さい

火力発電所(石炭・石油・ゴミ・バイオマスなど)の運転員

ここより、ボイラー取り扱いの実務経験になる仕事内容の求人を、実例を挙げて紹介します。まず、火力発電所などの運転員がボイラー取り扱いの実務経験を積める職種です。

火力発電所は、ボイラーで湯を沸かし、その蒸気でタービンを回して発電する施設です。原子力発電所やゴミ焼却でサーマルリサイクルをしている施設も同様です。

このような発電施設では、ボイラーの24時間稼働が基本です。そしてボイラーを中心とした発電所の運転業務に、専属として運転員を配置していることが多いです。この発電所の運転員の求人が最初のターゲットです。

下に示すのは、JFEグループのJ&T環境株式会社の求人です。発電所の運転・保守スタッフを募集している求人票で、運転員業務が仕事内容に記載されています。

火力発電所の運転では、ボイラーの運転が重要な役割を持っています。そのため仕事内容はボイラーの取り扱い中心に構成されています。したがって、「ボイラー取り扱いの実務経験」を十分に積むことができます。

発電所と聞くと、東京電力や関西電力といった、いわゆる電力会社が思い浮かぶかもしれません。しかし、発電所を運営している会社は、電力会社以外にも新電力・製造業などたくさんあります

私が勤めている発電所も、新電力の会社が建設して運営している発電所です。また、下の写真は福岡県にある財閥系総合化学メーカーが運営している火力発電所の写真です。

電力会社ではないからといって、ボイラー技士に対する考え方は変わりません。ボイラーを取り扱うことが必須なので、火力発電所であれば実務経験を積むことができます。

このような電力会社以外の発電所を選択肢に入れると、たくさんの求人を見つけることができます

工場のオペレーターでボイラー操作がある求人

第二の選択肢は、工場の生産スタッフでボイラーを扱う会社の求人です。

ボイラーから生み出される蒸気を使っているのは、発電だけではありません。生産プロセスで熱を大量に使う工場も、熱源として蒸気を使います。

私の同僚には、前職で製紙工場や化学工場で働いていた同僚がいます。彼らの勤めていた会社では、熱源として蒸気を使う一方、余った蒸気で発電を行っていたということでした。

また、私が直接話を聞いた石油会社の採用担当者は、以下のように言っていました。

製油所で働くからには、社員全員に最低限の資格として「危険物取扱者乙種4類」「2級ボイラー技士」「高圧ガス製造保安責任者」の資格取得を求めている。これは、電気系、機械系の専門分野を問わず、全員に取得させている。

なぜこのように全員に取得させる資格として「2級ボイラー技士」があるかというと、下の写真のような製油所では石油精製の熱源としてボイラーからの蒸気を使うからです。

石油会社とって、石油の精製プロセスは生命線です。したがって、重要なプロセスに関わる資格として「ボイラー技士」を挙げているのです。

このような蒸気を熱源として使う工場でも、下の写真のようにオペレーター(運転員)がボイラーの運転操作や状態監視を行います。

具体的な求人例でいうと、下に示す築野食品工業株式会社の求人が該当します。築野食品社はライスオイル・ライスケミカルのパイオニア企業で、大阪中心に事業所が多い会社です。

求人票に記載のあるとおり、2級ボイラー技士資格を持っていることが歓迎条件になっています。別に記載されている仕事の内容にも「機械(ボイラー)の運転」があり、実務経験を積むことが可能な求人です。

ビルメンテナンスでもボイラー技士の実務経験が積める

最後に紹介するのは、ビルメンテナンスの求人です。ビルメンテナンスとは、商業ビル・大型商業施設・病院・公共施設などの比較的大きな建物の設備を管理する仕事です。

あなたはオフィスビルの入り口などで、下の写真のような防災センターを見たことがないでしょうか?

このような防災センターやバックオフィスに待機して、管理する建物内の設備に異常があったときはまっさきに駆けつけて応急処置をします。また、設備の更新を計画し、適切な時期に更新工事を発注します。

ビルメンテナンスが管理する建物は、比較的大きな建物が中心です。大きい建物では熱源としてボイラーを使うと効率がよいため、電気だけではなくボイラーがよく使われます

したがって、ビルメンテナンスの求人で「ボイラー技士」がキーワードとして記載されている求人は、ボイラーの取扱業務があります。

例えば、下に示す東京ビジネスサービス株式会社の求人では、ボイラー技士(1級・2級)が活かせる資格として記載されています。

ビルメンテナンスでは、ビルメン4点セットと呼ばれる重要資格があります。それは「2級ボイラー技士」「第二種電気工事士」「危険物取扱者乙種四類」「第三種冷凍機械責任者」の各資格です。

したがって、ボイラー技士はどのビルメンテナンス会社でも求められると考えて良いです。

ビルメンテナンス会社であれば、ボイラー技士としての実務経験を積みやすいと言えます

資格取得支援について確認すると間違いがない

ここまで、ボイラー取り扱いの実務経験を積むことができる求人を紹介してきました。実務経験は、以上のような会社に勤めると得られます。

上位ボイラー技士資格を得るのに必要なもう一つのハードルは、勤める会社が実務経験証明をしてくれるかどうかです。

私の実経験から言うと、実務経験の証明をしてくれるかどうかは会社風土によります。

私が以前勤めていた鉄道会社では、資格の取得に関して実務経験証明が必要になったとき、退職したあとでも実務経験証明をしてくれました。下がその実務経験証明書の写しです。

一方、私が今勤める電力プラントでは、会社で必要な資格以外の実務証明については極めて消極的です。例えば、上長は「実務証明してくれといわれても、本人が本当にその仕事をしているかどうかわからない。だから、必要最低限の実務証明しかしない。」と公言しています。

このような会社に勤めると、たとえ実務経験を積むことができても、業務に上位の1級・特級ボイラー技士資格が必要なかった場合、実務証明書をもらうことが極めて難しくなります

そこで、応募前に求人票から「会社が上位ボイラー技士資格を取得することをどのように考えているか」を読み解く必要が出てきます。

わかりやすい例は、下の東京ビジネスサービス社の求人票です。1級ボイラー技士の有資格者には、月に8,000円を支給すると謳ってあります。

会社が資格を取らせる気がないのに、このような記載はしません。したがって、このような記載がある求人は、まず間違いなく実務証明をしてくれます。

一方、J&T環境社の記載は、ボイラーの実務証明してくれるのかどうかは判断できません。下のように、資格取得奨励制度があることが謳われているだけです。

このような求人の記載しかない場合は、さらに調査を進める必要があります。

転職エージェントを通して資格取得について訊く

会社の内情を知るのに、一番手っ取り早いのは転職エージェントを通して求人の詳細について問い合わせることです。

下の図は、私が転職活動をしていたときに、転職エージェントを通して企業側に求人票の詳細を問い合わせたメールの内容です。

資格取得に関する企業の考え方は、このような手段で詳細を知ることができます。詳細を知ってから採用試験を受けることで、「ボイラーの実務証明をしてくれない」という事態を防ぐことができます。

以上のように、会社が上位のボイラー技士資格取得について実務証明をしてくれるかどうかは、応募前だと求人票の内容や転職エージェントを通した問い合わせなどを使って確認することができます。

まとめ

上位のボイラー技士資格を取得するためには、「ボイラー取り扱いの実務経験」と「会社に実務経験を証明してもらうこと」が必要です。転職して一級・特級ボイラー技士資格を取得しようとするなら、この点を念頭に置いておく必要があります。

転職サイトなどで「ボイラー技士」をキーワードに求人を探せば、たくさんの求人がヒットします。しかし、中には「ボイラー取り扱いの実務経験」を積めそうにない求人もあります。

ボイラー取り扱いの実務経験を積める職種の代表的なものは、「火力発電所などの運転員」「ボイラーを使う工場のオペレーター」「ビルメンテナンス」です。

また、会社に実務証明をしてもらうことについて、必要以上の資格取得に対して消極的な企業があります。上位のボイラー技士資格を取得するためには、このような会社に転職するのは避けなければなりません。

これは求人票の記載から、ある程度予測できます。そして応募前なら、転職エージェントを通して確認することもできます。さらに確実なのは、選考過程を通して先方企業に直接訊きましょう。

このような手順で転職活動を行うと、上位のボイラー技士資格を取得するための転職でも成功しやすくなります。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。