機械・電気の研究開発職というのは、新しい技術、新製品創り出す夢のある仕事です。新製品が出るとき、誰しもワクワクした経験はあるでしょう。新製品と聞いただけで、買いたくなる人も多いのではないでしょうか。

あなたも、そのような喜びを求めてエンジニアとして研究開発職を目指しているのではないでしょうか。

しかしながら研究開発職が、電気工学や、機械工学単体で研究開発できる領域というのは、かなり小さくなってきています。飽和状態に近く、そこには電子もしくは情報技術が必須になってきます。

これらと組み合わせることによって、今まで電気機械の単独技術ではできなかったような研究開発が可能になってきました。

今回は機械電気の研究開発職について、まず求人をどのように探すとよいかを解説します。それから、研究開発職に求められる技術力・スキルと、年収の考え方について詳説します。

研究開発職が活躍する業種・仕事内容を整理する

まず、研究開発には、どのようなフェーズがあるかを整理しておきましょう。これは、フェーズにより仕事内容や求められる能力、求人の質が違うので、満足いく転職のためには必須の作業です。

ある製品を作るとき、まず先行開発として、主に技術的課題を解決するフェーズがあります。先行開発に伴う研究は、企業で行われることもあれば、自治体などの研究機関で行われることもあります。

先行開発には、学術的・理論的な裏付けが求められ、場合によっては何年もかかることがあります。

次に、量産開発として、主にコスト的課題を解決するフェーズがあります。量産開発は、先行開発でモノとして形を成した製品が、商品として売り出せるようにコストを下げる開発です。

ここでは、「先行開発で指定された部品が、さらに安い部材で製造できないか」「組立工程を減らすことはできないか」など生産技術開発も含めて検討します。研究も、理論だけでなく、より工学的なアプローチが必要になります。

先行開発 量産開発
仕事内容 技術的な課題を解決する コスト的課題を解決する
必要なもの 学術的、理論的な裏付け 工学的なプローチ

研究開発職を目指すときは、自分がどのような研究・開発をしたいのかを見て整理し、転職活動を進めると良いです。

研究開発職を探すには、転職サイトを使うのが一般的

では、研究開発職の求人をどのように探せばよいでしょうか。転職サイトを探す方法が、一般的です。転職サイトでは、研究開発職の求人がカテゴライズされており、容易に見つけることができます

下図は、大手転職サイトのdodaで職種選択をする画面です。機械・電気の技術職のうち、研究開発職について絞り込むことができます。

同様に下図は、製造業の求人紹介に強みを持つメイテックネクストの、職種選択画面です。電気系研究開発と機械系研究開発で、それぞれカテゴリ分けされています。

また、「研究開発」でキーワード検索すると、カテゴリ分けされていない求人を見つけることができます。ただし、この方法では電気・機械分野以外の開発研究職も一緒にヒットします。希望するものを探すには、根気が必要です。

さらに、転職サイトによって登録されている求人は違います。一企業が、転職サイトを網羅して求人を出すのは、コスト的に見合わないからです。したがって、複数の転職サイトを利用して求人票を探すことが、転職を成功に導く第一歩です

実際に転職サイトで、先行開発の求人を探してみると、下記の求人がありました。この求人は、本社が群馬県伊勢崎市にある株式会社山田製作所の求人です。

この会社は、本田技研工業のサプライヤーとして、ポンプを主力商品としている会社です。この求人は、ポンプに使うモーターの技術開発を行います。

一方、量産開発の求人は、下記のような求人が該当します。この求人は、神奈川県横浜市に本社を置く日産自動車株式会社の求人です。テーマを絞って人材を募るのではなく、大きく「電子開発」と区切り、その中でよりマッチしたテーマに就きます。

このように、企業の研究は、ほぼ開発とセットです。また、先行開発・量産開発の区分は、企業によります。紹介したように、はっきり分かれている会社もあれば、区分が曖昧な会社もあります。

そのほか、研究のみを行う職種も極少ないながらあります。以下の、地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所の求人が、その例です。

この求人で採用されると、県の研究職員(準公務員)として研究を行います。独自研究のほか、企業から依頼された案件について研究や試験を行うことが、主な職務内容です。

産業技術総合研究所は全国にあり、同様の求人案件が転職サイトに出ることは十分あるので、注意して探すと良いです。

研究開発職を探すときは、このような状況を承知して探しましょう。

転職エージェント使って非公開求人を探す

転職サイトで、転職エージェントサービスを使うことのメリットは、転職活動の世話をしてくれるというだけではありません。研究開発職を探すときの一番のメリットは、非公開求人を紹介してくれるということです

非公開求人は、転職エージェントを介してのみ知ることができる求人です。一般には、出回ることがありません。

ある転職サイトでは、8割が非公開求人であるとされています。

求人情報を公開して人を集めたほうが、より良い人材を集められそうですが、なぜ企業は非公開求人を出すのでしょうか。

それは、自社の経営に直結する仕事内容の研究開発職を募集する場合、求人票を公開すると一般に経営秘密がバレてしまうからです。一般人に知られても影響は少ないですが、競合他社に知られると先に製品化され、経営に悪影響を及ぼすことがあります。

このような事態を防ぐために、企業は希望する人物像に近い人だけを転職エージェントから紹介してもらうことで、人材を確保しています。したがって、あなたが望む求人は、非公開求人の中にある可能性が高いです。

私も非公開求人に応募して、今の会社に勤めることになりました。初見で会社のネームバリューなどに惑わされず、純粋に仕事の内容や待遇で決められ、結果満足のできる転職ができました。

派遣研究者という働き方もある

研究開発職の場合、派遣会社に正社員として就職する方法もあります。これは、派遣会社から、実際に研究を行っている企業に派遣されて働くという方法です。

下は、本社が東京にある株式会社フォーラムエンジニアリングの求人です。北海道と四国を除く全国に拠点があります。求人票には、大手メーカー(製造業界・エンジニアリング業界など)に就業することが謳われています。

類似の求人は、「派遣」という言葉にネガティブなイメージがあるのか、「派遣」と謳っていないことが多いです。しかし、求人票をよく読むと、どこかに下記のような記載があります。

このことから、この求人が「派遣」であることがわかります。

派遣社員として働くとき、「登録型派遣」と「常用型派遣(正社員型派遣)」の2種類があります。登録型派遣は、派遣先の仕事がなくなったら給料の支払いが止まります。常用型派遣は、派遣元会社に正社員として勤めるので、派遣先の仕事がなくなっても給料は出ます。

下記に、常用型派遣、登録型派遣、正社員の特徴をまとめました。

研究開発職の場合、常用型派遣の仕事が多数あり、一般の正社員と変わらない待遇で働くことができます。

また、派遣社員として働く場合は、労働条件は派遣元会社と契約し、指揮命令系統は派遣先会社の取り決めに従います。このことが、正社員として働く場合と違います。簡単に、下図に示しています。

派遣社員は、正社員として働くより仕組みが複雑ですが、選択肢に入れることで得られる求人が増えます。

研究開発職として技術者が求められるもの

では、研究開発職に転職するために、技術者にはどのような資格、スキルが求められるのでしょうか。

研究開発職へ転職するために必須の資格はない

まず、研究開発エンジニアに求められる資格はあるのでしょうか。実は、研究開発職になるために必須の資格はありません。無資格でも、研究開発職になれます。

下記は、先行開発で紹介した株式会社山田製作所の求人票です。

この求人票の求める方の欄には、経験年数が明記されていないので、年数は不問です。また、モーター開発などに設計で関わっていたとしても、応募資格があります。しかし、資格について一切記載なく、必要とされているのは経験のみです。

ただし、入社してから必要とされる資格はあります。具体例を、自動車メーカーのパワートレインの研究をしている友人が教えてくれました。

自動車のエンジンの研究開発をするときに、ガソリンを注ぐ必要がある。基本的に一人でガソリンを扱うので、危険物取扱者資格が必要だ。これは持っていると評価されるというわけではなく、持っているのが当然という意味だ。
このような資格は、転職する前に取得していても、プラス評価されることはほとんどありません。したがって、気になる求人があれば、資格取得よりも転職活動を優先すべきです。転職を成功させてから、仕事に必要な資格を見極めたあと、資格取得して問題ありません。

研究に必要な英語力は求められる

研究開発職として働くときには、英語論文などを読む必要があり、英語力を求める求人はあります。例えば、下記、日産自動車社の求人には、業務で使用するため、TOEIC400相当以上の英語力を求められています。

この求人の書き方は、有資格ということよりも、実際に英語を使えることを重要視している書き方です。

このような資格は、プラス評価されるというよりかは、持っていないと仕事にならないので、マイナス評価をされると考えられます。

自分の専門分野に執着しない幅広い知的好奇心

資格以外では、どのようなものが研究開発職に求められるのでしょうか。それは、電気・機械の自分が専門・得意とする分野に執着しない知的好奇心です。特にこれは、企業で研究開発を行うときに重要です。

先ほど紹介した自動車メーカーの友人は、以下のことも教えてくれました。

自分の専門にこだわる人は使いにくいし、使えない。研究開発職には、向いていない。
専門分野には一本筋が通っていて、幅広く何でもできる、勉強できる人がほしい。機械工学・電気工学に加えて、制御情報工学も理解できればなお良い。
こういう人のほうが研究開発職に向いている。専門分野以外の求めるレベルは、学部レベルでいい。

彼がこのようなことを言う理由には、機械工学だけ、電気工学だけでは製品を作れない現実があります。

機械側から見ると、かつては機械的に全てを制御していたのが、効率を追求すると電気なしに実現できないレベルになってきました。

良い例が、自動車です。昔は、エンジンの燃料噴射タイミングなど、全て機械的に制御していました。現在では、FI(Fuel Injection)で電気的に制御しています。

電気の側から見れば、電気(動力・制御)で動かす対象は機械的なものであり、対象をイメージして動かさなければ、最大効率を実現することができません。

さらに、2010代になって、様々な製品に高度なマイクロコンピューター(電気機器・電子部品)が使われるようになりました。このコンピューターで製品を制御するためには、ソフトウエアなどの知識も必要になります。

組織で働く場合、一つの製品全てを一人で作ることはありません。したがって、機械・電気・情報の全てに精通している必要はありません。しかし、あなたの担当分野が、ほかの分野とどのように関係しているのか理解する必要性はあります

あなたが自分の専門分野に特化したいと考えていても、ほかの分野について学ぶ姿勢を持ち続けることが電気・機械の研究開発職には求められます。

研究開発職の年収

最後に、研究開発職の年収について解説します。上で紹介した先行開発の求人の年収は、下図のように求人票に提示されています。

そのほかの求人とあわせて、下表に一覧として示します。

企業名 提示年収[万円] 区分
(株)山田製作所 450~700 先行開発
正社員
日産自動車(株) 500~1000 量産開発
正社員
(株)フォーラムエンジニアリング 300~
ただし月給で
20.5~49.7+残業代
派遣社員
(地独)神奈川県立産業技術総合研究所 336~420 準公務員
(契約社員)

製造業の2社は、自社製品の要となる仕事であり、提示年収が高いです。以下は、国税庁の民間給与実態調査(製造業)の結果をグラフ化したものです。これと比べても、高い年収が提示されているのがわかります。

引用:平成29年民間給与実態統計調査(第8表)をグラフ化
一方、派遣会社であるフォーラムエンジニアリング社は、提示年収の最低額が300万円であり、ほかの企業と比べても明らかに見劣りします。これは、同社が未経験者OKとしているためだと考えられます。
提示された月給から年収を推定すると、ボーナスを年3ヶ月として、最大で750万円程度になります。これは、山田製作所と同等です。
最後に、神奈川県立産業技術総合研究所は、高いとはいえない提示年収額です。参考に国家公務員(研究職)は、人事院調査によると平均年収が600万円程度であり、それと比べても低い年収といえます。
このように、年収を判断するときは職種で決まるのではなく、業界で決まると考えて下さい。また、業界の年収は政府統計を参考にするとよいです。まとめ
以上のように、電気・機械の研究開発職に転職するときは、あなたが先行開発に強みがあるのか、量産開発に強みがあるのかを知っておく必要があります。先行開発は技術的課題、量産開発はよりコスト的課題を解決することが中心です。また、企業における研究は開発とセットであることが多いです。研究のみを仕事としたい場合は、自治体などの研究所を探します。

また、企業における研究開発は非公開で行われることが多く、それに対する人材を求めるときも、多くが非公開で行われます。したがって、転職エージェントを通してのみ提供される非公開求人を狙うことで、転職成功しやすくなります

さらに、一企業で研究開発を行うのではなく、派遣社員として研究開発職に就くこともできます。この場合、登録型派遣とは違い、正社員として働きます。これも選択肢に入れると、幅広く研究開発職を見つけることができます。

研究開発職に求められるのは、経験や幅広い範囲への知的好奇心です。資格は、研究開発に必要なものは求められますが、プラス要素にはなりません。

年収は、製造業では高い年収が提示されています。派遣社員の場合でも、経験者なら厚遇を期待できます。一方、自治体の研究職は、年収の提示額は低いです。

年収の妥当性は、業界ごとの政府統計と比べると判断しやすいです。これにより、より良い条件で転職を成功させやすくなります。

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。