あなたが、外資系企業に転職を希望する理由は何でしょうか。日系企業と比べて高いといわれる俸給でしょうか。仕事以外にプライベートでの付き合いが少なくて済むという、ドライなところでしょうか。

日系企業にない魅力を求めて、外資系企業に転職を考えるのは、至極自然の流れです。しかし、外資の電気・機械技術職の求人は、日系企業に比べて少ないのが実情です。

したがって、技術職で外資系企業への転職を成功させるには、いかに外資系企業の求人を見つけ出すかがキーポイントです。

今回は、外資系企業の見つけ方、企業風土の調査方法、年収の実際を解説します。

もくじ

転職サイトを使って外資系企業を探す

外資系企業を探す最も簡単な方法は、転職サイトを使って検索条件の「外資系企業」にチェックを入れて検索することです。大手転職サイト「マイナビ」「リクナビ転職」「doda」には、「外資系企業」という条件項目があります。参考に「マイナビ」該当欄を示します。

さらに総合転職サイトではなく、外資系に特化した転職サイトもあります。例えば、下は、リクルートエージェントの外資系に特化したサービスのページです。

これらを活用して求人を探せば、求人はみつかります。しかし、その数は多くありません。ちなみに先ほど紹介した転職サイト大手3社を使って、電気・機械系の外資企業を検索すると、下図のようにそれぞれ数十件程度ずつしか表示されません。

転職サイトの求人は、それぞれ紹介されている求人が違います。そこで転職サイトには複数社登録して、広く求人情報を集めると良いです。 これにより、希望する企業・職種に出会いやすくなります。

ただし、実際は外資系企業なのに、外資系企業として表示されない企業もあります。のちほど紹介する日本エア・リキード株式会社は、私がdodaで調べたところ、外資系企業としてはヒットしませんでした。

このような企業は、別に外資系企業として企業名を調べて、転職サイトで企業名を検索するしかありません。この方法は手間がかかりますが、その分だけ会社に愛着が湧くでしょう。

参考までに、外資系企業のうち有名なものをまとめましたので、活用して下さい。

外資系企業一覧表

また、転職エージェントサービスを利用すると、非公開求人に出会うことができます。非公開求人とは、転職エージェントを通してのみ紹介される求人案件です。転職サイトの中には、扱っている求人のうち8割が非公開求人とされています。

非公開求人を使って、少しでも多くの求人に触れることで、あなたが転職成功できる確率が高まります。

外資系企業の実態を調査する

転職サイトを使って、希望の企業を絞ったあとは、その企業があなたの希望する外資系企業なのかどうかを調査しましょう。

わざわざ外資系企業を希望するのは、日系企業とは違うものを求めているからだと思います。外資系企業でも、日系企業に似た風土・システムを持つ会社はあるので、自分でも調査するとよいです。

・社長や役員が外国人かどうか調べる

まず、自分ひとりでも簡単に調べられる方法として、社長(CEO)以下役員が日本人かどうかを確認すると良いです。

株式会社で、社長の一存ですべてが決まるわけではないとはいえ、経営の責任者である社長の影響は大きいです。社長が外国人である場合は、その社長の出身国の文化が反映されていると考えられます。

同じように役員のうち、日本人がどのくらいを占めるのかも確認しましょう。これも外国人が多ければ多いほど、日系企業とは風土が違うと考えられます。

私が最近仕事上で付き合いのあった外資系企業に、日本エア・リキード株式会社があります。

本部はフランスで、日本国内では三大産業用ガスメーカーとして数えられる会社です。確かに、ほかの日系企業と比べて、「支店長クラスの権限(裁量)が大きい」「顧客からの問い合わせに対するレスポンスが早い」など、外資系を感じさせるところはありました。

そのほか、営業職の人が成果をシビアに求められるところなどは、外資系を強くイメージしましたが、技術系の人に特別外資系の雰囲気があるわけではありませんでした。

この会社の役員構成を見ると、以下の図のようになっています。

引用:日本エア・リキード株式会社ホームページ 企業概要より

役員7人中、社長と監査役が日本人で、それ以外の役員は皆外国人です。求人票には、日系と外資系の風土が混在しているとあります。

このように、求人票とあわせて企業ホームページも見ると判断しやすくなります。

・転職エージェントに聞く

社長や役員は、ホームページで確認できることが多いです。しかし、社員のうち外国人の割合や、実際の雰囲気はWEBからでは調べようがありません。

運良く身近に、希望の会社について詳しい人がいたら良いものの、なかなか出会えるものではありません。そこで、転職エージェントをうまく活用しましょう。

転職エージェントサービスは、転職サイトに登録したあと、別に申し込むことで受けられます。あなたに対して担当者が付き、転職成功に向けてお世話をしてくれます。

転職エージェントは、求職者を企業に送り込んだら、仕事が全て終わりではありません。入社後も、継続してフォローがあります。

私には、企業理解のためということで、アンケート協力依頼メールが来ました。外資系企業にも、同様に情報収集しています。企業の内情については、転職エージェントに訊いてみると良いです。

エンジニアに求められる英語力は、会社による

最後に、外資系企業といえば、英語が使えないと仕事にならないイメージがないでしょうか。実は、技術系転職について、求人票に英語力必須と謳われていない求人もあります

下は、本社はスイスにある産業機械(製本用機械)の世界的企業で、ミューラー・マルティニジャパン株式会社の求人票です。示した求める方の欄には、語学(英語)に関する記載がありません。

電気・機械の技術者にとって、仕事における一番のミッションは、企業の技術的課題を解決することです。メーカーの開発職なら新製品の開発で、設備管理会社なら設備の適切な運用が、的確になされることが仕事です。

その仕事に英語が、絶対に必要なら求人票に「英語力」と書かれるはずです。しかし書かれていないということは、なくても仕事が回るということです。

ちなみに、日本エア・リキード株式会社の求人は、初級の英語力が歓迎条件として挙げられています。

この求人においても、語学力の優先順位は低いです。技術職ですので、作業経験や設備管理に関する知識の方が優先順位は高く、必要業務経験として求められています。

もちろん、十分な英語力があるなら問題ありません。しかし、技術職の場合、英語力に自信がなくても問題ない場合があります。英語力に悲観せずに、求人を探してみると良いです。

外資系企業の年収の考え方

では、外資系企業の年収はどれくらいのなのでしょうか。ここまで紹介した企業の年収を見てみましょう。

最初は、日本エア・リキード株式会社の求人です。下のように、フィールドエンジニアとして、500~850万円と提示されています。

次に、ミューラーマルティニ株式会社の年収を下に示します。この求人もフィールドエンジニアとして、350万円以上と提示されています。

表示のある月給(30~42万円)と、賞与を年間2ヶ月として計算すると、420~588万円になります。したがって、提示よりもう少し高くなるのではないかと考えられます。

また、社員の年収例について780万円と880万円という例が示してあり、努力次第で高い年収も見込めることがわかります。

これらの提示年収が、日本において妥当なのか、高いのか低いのかは、政府統計と比べてみるとよくわかります。化学系、機械系の違いはあれど、業種は全て製造業なので、国税庁の民間給与実態統計調査と比べてみましょう。

引用:平成29年民間給与実態統計調査(第8表)をグラフ化

この統計調査によると、中央値は500~600万円にあります。これと比較すると、「日本エア・リキード社はかなり高め」「ミューラーマルティニ社は、低めだが将来の伸びに期待」といえます。

このように、政府統計など信頼のおける調査結果と比較することで、提示年収の妥当性について判断でき、年収面での転職失敗を防ぐことができます

まとめ

転職先として外資系企業を探すときは、転職サイトを探すと容易です。しかしながら、転職サイトが用意している「外資系企業」の条件だけでは、関連付けられていない求人もあります。これらは、企業名から根気よく探しましょう。

その際、複数の転職サイトを使うと、より多くの求人に触れることが可能です。単独の転職サイトで見つかる外資系企業の求人は少なく、転職サイトは複数社利用すると、より希望する求人を見つけやすくなります。

また、転職エージェントが紹介してくれる非公開求人を活用することで、さらに多くの求人を見つけることができます。電気・機械系の外資系企業の求人自体は数が多くないので、あわせて活用すると転職しやすくなります

外資系企業というだけで、風土・システムがあなたの求めている外資系とは違うかもしれません。これは、求人票のほかの情報を使って判断しましょう。

情報は、ホームページの役員情報を確認したり、WEB上で探したりできますが、転職エージェントが企業について詳しいこともあるので、利用すると良いです。

外資系企業の年収は、かなり高めが提示されているものもあります。しかし、千差万別なので、個別に妥当性を判断して下さい。その際、国税庁の民間給与実態統計調査など、政府統計と比べると判断しやすいです。

このような手順を踏むことにより、電気・機械系の外資系企業へ転職成功しやすくなります。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。

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