工場は働く場所として選択肢になりやすい場所です。地方では企業城下町と呼ばれるほど、ある企業の工場がたくさんの従業員を雇用していることもあります。

では、工場で働くメリットはどのようなものがあるのでしょうか。反対にデメリットは何があるのでしょうか。工場に転職するなら、あらかじめメリット・デメリットを知っておき、ホワイトな職場で働きたいのではないでしょうか。

オフィスや店舗で働くことと違って、工場には工場の特徴があります。この特徴をしっかり理解して転職することで、転職後の満足度を高めることができます

ここでは、「工場勤務のメリット・デメリット」「職種による違い」「工場勤務の年収」について、くわしく解説します。

工場で働く製造・運転職のメリット・デメリットを押さえる

工場に就職した場合、多くの人が製造部門、または運転部門で働くことになります。これは、この部門に最も人材が必要だからです。したがって、まず製造部門・運転部門のメリット・デメリットを解説します。

工場勤務のメリット

工場勤務のメリットは、以下に挙げられるものがあります。

  • 同じ工場に勤め続けられる(転勤がない)
  • 作業服(制服)が貸与される
  • マニュアル・手順書が定められており仕事の難易度が低い
  • 夜勤があれば夜勤手当が支給され、非番を使える
  • 女性なら、化粧が不要

それぞれ順に説明します。

・同じ工場に勤め続けられる

ほかの職業だと、正社員として勤めると転勤が付き物です。しかし、工場勤務だと転勤がない場合が多いです。

製造・運転職の場合、工場採用されることが多いです。したがって、長く勤めても、転勤することがまずありません。地域に根ざし、安定して働くことができます。

転勤がある会社だと、家族を持ちマイホームを建てると、そのあとは単身赴任で全国を移動することが多いです。そのために、家庭を壊してしまう人も多いです。そのようなリスクが小さいのが、転勤なしの工場勤務の魅力です。

以下の日清食品株式会社の求人では、静岡工場で働き、転勤はないことが明記されています。

日清食品社の工場は、静岡のほか、茨城、滋賀、山口にあります。しかし、工場採用だと、採用された工場で働き続けることになります。

・制服が貸与される

工場に勤務する場合は、制服として作業服などが貸与・支給されることが多いです。例えば、下の写真は明太子工場の写真です。作業用の服として白衣・エプロン・手袋マスク・帽子が貸与品です。これは、衛生に配慮した服装です。

機械を作る場合は、衛生ではなく安全に配慮した制服が貸与・支給されます。下は、バイクや鉄道車両・船舶の製造で有名な川崎重工の作業服です。引っかかり防止のため、ボタンではなくファスナーで前を閉じる作りになっています。

私は、作業服を着て仕事をする職場と私服(背広)を着て仕事をする職場の両方を経験しました。背広で働くと、一日中背広を着ているので痛みが早くなります。また、同じ背広を着続けるわけにはいかないので、複数用意すると相当な金額が必要です。働くための服装に、結構な額のお金を使わなければなりません。

作業服を支給されると、そのような出費がありません。さらに、会社に着ていく服に迷うことがありません。

もちろん通勤で公共交通を使うなら私服を着る必要があります。それでも、背広を着て通勤する必要はなく、平服で問題ないことが多いです。

・仕事の手順が決まっており難易度が低い

製造・運転職の仕事は、作業員一人ひとりの仕事が細かく決められています。一定の成果を出すのに必要な時間(工数)を見積もりしやすくするためです。これは流れ作業を行う工場で顕著です。

これにより、経験が浅くても、転職後一定の研修を終えたあとには、すぐに仕事に慣れることができます

・夜勤があると、給料が増え、非番を使える

夜勤のある工場だと、夜勤特有のメリットがあります。夜勤をすると、企業は割増賃金を払わなければならないので、給料が増えます

下の給与明細は、私が月に6回程度夜勤をしていたときの給与明細です。

この中の特殊勤務手当・夜勤手当が、夜勤をすることによって基本給に加えてもらえる割増賃金です。

法令上、企業が深夜労働に対して払わなければならないのは25%の割増賃金です。したがって、企業の基本給によって夜勤手当は変わってきます。しかし、同じ会社で日勤ばかりで働くよりかは給料が増えます。

また、夜勤を行うと、夜勤が明けた次の日は非番になり、早くて朝方、遅くても昼頃には勤務解放されます。それ以降は、休んでも遊びに出ても自由です。

非番で平日の昼間に自由な時間があるのは便利です。非番を利用して、役所や病院に行けると、本来の休日を十分に活用しやすくなります。

私は、役所や病院に行くほか、非番と休日を組み合わせて旅行に行っていました。公共交通機関を使えば、移動中に寝ることができるので、遠方に行くときによくこの手段を使っていました。こうすると休みの日に早起きして長距離を移動することなく、時間を有効活用できます。

・女性は化粧が不要な場合がある

女性の場合、工場の仕事だと化粧不要の場合があります。お客さんを相手にするわけではなく、食品工場・半導体工場などで入念なマスク・帽子・メガネをしていると、メイクをしていてもあまり意味がありません。中には、メイクを禁止している工場もあります。

かつて一緒に働いた女性社員に話を聞くと、「朝、化粧をする時間がかかるので早起きしないといけない。それが辛い」などと言っていました。朝の出勤前の時間が15分でも不要になるのは、大きな魅力といえます。

工場勤務のデメリット

工場勤務はメリットばかりではありません。もちろんデメリットもあります。特に、製造・運転職の主なデメリットは以下のとおりです。

  • 同じことを繰り返す、単調な作業が多い
  • 夜勤があると、体力的にきつい
  • 勤務(シフト)の柔軟性がない
  • 裁量がない

これらのデメリットは、先に述べたメリットの裏返しであることも多いです。以下に詳細を解説します。

・同じ作業を繰り返す、単調な作業が多い

メリットで述べた「マニュアルや手順が決められていること」は、製品の品質確保や作業安全のために絶対に守らなくてはならないことです。

しかし、仕事に慣れてしまうと同じことの繰り返しになり、仕事が単調に感じられることもあります。

下の写真は、清掃工場のクレーン操作をしているところです。このような部屋で、一人または二人で淡々とゴミを移動させ続けなければなりません。

単調さに飽きたからといって、安易に手順を変えることは許されません。清掃工場の場合は、事故の原因になります。

このように、作業が単調になりやすいことは、飽きっぽい人にとってデメリットになります。

・夜勤では体力的にきつい

夜勤は割増賃金が支給されたり、平日昼間に時間を確保できたりします。しかし、単純に夜勤作業はしんどいです。

交代勤務には、大きく二交代と三交代があります。二交代制だと12時間以上の勤務となり、かなりの長丁場です。

そして、夜勤中に作業の待ち時間が発生して動きが止まると、途端に眠くなります。眠いのをこらえて作業再開しても、体の調子はすぐに100%になるわけではありません。

また、夜勤が続くと、昼夜の生活リズムが崩れてしまうことが多いです。休みの日で、夜に眠りたいのに眠れなかったり、昼間に猛烈に眠たくなったりします。

頭に霧がかかって晴れないような状態が続くこともあります。そうなると、深く物事を考えることが難しくなり、資格を取得するための勉強をしたり、本を読んだりすることが苦痛になります。

・勤務の柔軟性がない

製造・運転職では、製造計画や運転計画があって、その計画に作業員を当てています。つまり、会社が一時的にたくさんの仕事を受注した場合は、残業が続きやすく、遊びに行くなどの理由で休みも取りにくくなります。

ある程度裁量のある仕事だと、金曜日の午前中までに1週間の仕事を終わらせて、金曜午後からは半休をとって、土日休みと合わせて遠方に旅行にいくということができます。しかし、製造・運転職ではそのような裁量はありません

例として、下図に株式会社シンキのシフト例を示します。この求人は、ごみ焼却施設の管理・運転員を募集しています。「日勤→夜勤→非番→休み」の繰り返しであることが記載されています。

化学工場に勤める後輩が、このようなシフト勤務をしています。盆正月GWなどに旧友の何人かで集まろうと声をかけても、「仕事があるからスケジュールが合わない」といって参加できないことが多々ありました。

話を聞くと、「冠婚葬祭や病気・ケガで休むことや、計画的に数カ月先旅行のためなどに休みを取るのは特に問題ないが、自分の遊びのために自由に休みを取ることはできない」と話していました。

同様にシフト勤務の例を示します。下は、二藤レール株式会社の求人です。シフト勤務について、具体例が記載してあります。二藤レール社は、大阪に拠点を持つ鉄線を製造している会社です。

先程のシンキ社の勤務は、1年分がまとめて決められるタイプの職種です。場合によると、退職するまでこのパターンは変わりません。

一方、二藤レール社の勤務は、月単位くらいでシフトが決められるタイプの職種です。受注量や生産量を考えながら、最適な人員を配置していきます。

二籐レール社タイプの勤務だと、シンキ社タイプの職種より自由があります。大体前月までに勤務希望を出すルールが決められているので、その締め切りまでに希望を出しておけば、ある程度は叶えられます。

もちろん、絶対に希望が叶うとは限りません。ほかの社員と希望休みなどが重なったときは、どちらか一方の希望しか通らない場合があります。また、シフトが決まったあとは、容易に変更できないことがほとんどです。

このように、どうしても仕事のスケジュール中心で生活を考えなくてはならないのが、デメリットです。

・裁量がない

勤務や作業など、総じて裁量権がありません。職場として画一的に管理されるので、自由にクリエイティブに仕事をしたいという人には、全く向いてない仕事と言えます。

メリット・デメリットは職種・業種によって有無が変わる

以上のようなメリット・デメリットは工場勤務の代表的なものです。ただし、どの工場でもここに書いた全てのメリット・デメリットがあるわけではありません。また、製造・運転職以外の職種だとメリット・デメリットが変わります

したがって、「工場勤務に向いてる人」と一括には言えず、職種が違うと向いている人も変わってきます。工場の職種について、広く知っておくと選択肢を広げることができます。

製造・運転職以外の職種は、例えば工場の設備を管理する仕事があります。工場の設備とは、「生産用機械」「電気・熱供給・給排水など生産に間接的に関係する設備」「事務所の建物」など様々あります。

下の写真は、飲料メーカーのボトリング工程の機械を写したものです。これは生産に直接関係する「生産機械」です。

また、次の写真は医療メーカーの工場を写したものです。工場内で使う、高圧ガス、薬品、水を送る設備で、「ユーティリティ設備」と呼ばれます。

これらの工場設備を管理する仕事は、製造・運転職とは別に部署があることが多いです。その場合、「設備管理」「生産技術」「工務」「エンジニアリング」などと呼ばれます。

設備管理職だと、勤務は日勤になることが多いです。例として、小野田化学工業株式会社の求人を下に示します。小野田化学工業社は、化学肥料・科学飼料の大手メーカーです。この求人では、新潟、山口、福岡の工場で働く人材を募集しています。

求人票には、設備管理職と運転オペレーターの勤務時間が両方記載されています。設備管理職は8時〜16時の日勤、運転オペレーターは三交替勤務であるとされています。

また、設備管理職は機械や電気の技術に特化した職種です。未経験OKの求人もある一方で、工業高校や高専、大学の工学部などの卒業を条件にしたり、工業系の資格を条件にしたりしていることもあります

例えば、小野田化学工業社では、未経験でもOKとされています。

一方、下に示すソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社は、ユーティリティ設備の実務経験か、機械工学の基礎知識があることを必須条件として求めています。また、歓迎条件として電気主任技術者資格や1級ボイラー技士資格などが挙げられています。

この求人では、同社の山形工場で働く人材を募集しています。山形工場では、デジカメやスマートフォンのカメラに使われるCMOSセンサーを製造しています。

CMOSセンサーのような半導体製品は、製造工程に占める生産機械の役割が大きく、設備管理職の重要度が高いです。したがって、設備管理職に求める能力も高くなります。

設備管理職は自ら考えて仕事をすることが必要

このような設備管理職は、製造・運転職と違いマニュアルや手順書に定められていない仕事が相当数あります。原理原則を知った上で、常に出てくる課題を解決していくスタイルの仕事で、決して楽ではありません。

また、手順書・マニュアルを、必要により自ら作成して、同じ職場や他部署に対して示すこともあります。

したがって、仕事の難易度は高くなります。その代わり、裁量が増え、ある程度自分で仕事量をコントロールできます。つまり、有給休暇などの休みが計画的に取りやすくなります。

このように、工場で働く仕事はいくつかの種類があります。その職種によって、メリット・デメリットは若干変わります。画一的に特徴を捉えるのではなく、個別の求人で仕事内容とメリット・デメリットを考えることが転職成功の鍵です

求人票で募集される職種の特徴は、直接企業に問い合わせるほか、転職エージェントに訊くこともできます。様々な手段をもって、職種の特徴を理解すると良いです。

年収は業種次第

最後に、工場勤務の給料について解説します。冒頭で紹介した日清食品社の年収は、下図の通り求人票に400万円以上と記載されています。

同様に、ここで紹介した企業の提示年収は下表のとおりです。

会社名 提示年収[万円] 業種 職種
日清食品(株) 400以上 製造業(食品) 製造オペレーター
二藤レール(株) 400~ 製造業(鉄鋼) 製造スタッフ
(株)シンキ 312~396 その他事業サービス 運転員
小野田化学工業(株) 240~381
(求人票の月給に14.3ヶ月を乗じて計算)
製造業(化学) 設備管理
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(株) 350~700 製造業(電子デバイス) 設備管理

このように、提示年収は企業により様々です。工場勤務の場合の年収は、会社規模のほか企業の業種によっても大きく左右されます。

業種ごとの年収は、厚生労働省が賃金構造基本統計として調査し、公表しています。下のグラフは、賃金構造基本統計調査のうち、工場がある業種の年収を抜粋してグラフ化したものです。グラフ中、青色は製造業、緑色は非製造業を表しています。

引用 : 令和元年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)をグラフ化

このグラフから、最も年収の高い航空運輸業と最も年収の低い繊維製造業では、2倍以上の差があることがわかります。転職時に希望する会社の業種を考慮に入れないと、年収面で損をする可能性が高いです。

具体的には、会社規模が同じくらいなら、このグラフの左側の業種の会社を選ぶほうがより高い年収で転職しやすくなります。賃金構造基本統計調査のような信頼性の高い情報を参考にすることで、転職成功しやすくなります。

まとめ

工場勤務のメリット・デメリットについて解説してきました。まず、多くの人が携わる可能性の高い製造・運転職のメリット・デメリットは以下のとおりです。

・メリット

  • 同じ工場に勤め続けられる(転勤がない)
  • 作業服(制服)が貸与される
  • マニュアル・手順書が定められており仕事の難易度が低い
  • 夜勤があれば夜勤手当が支給され、非番を使える
  • 女性なら、化粧が不要

・デメリット

  • 同じことを繰り返す、単調な作業が多い
  • 夜勤があると、体力的にきつい
  • 勤務(シフト)の柔軟性がない
  • 裁量がない

ただし同じ工場勤務でも職種が違うと、これらのメリット・デメリットは変わります。

例えば、設備管理職だと、マニュアル・手順書がある仕事の範囲が小さくなり、夜勤がない職場が増えます。そして、求められる技術や能力は高くなります。

したがって、あなたの特性にあった仕事かどうかを見極めて、転職すると良いです。

工場勤務の年収は、会社規模のほか業種に大きく影響されます。年収の最も高い業種と、最も低い業種で2倍以上の大きな差があるので、適当に選ぶと転職後の後悔につながりかねません。

転職を決めるときには、求人票だけでなく信頼のおけるデータを参考にして決めると、転職失敗を防ぎやすくなります

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

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しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。