電気屋さん(家電量販店)は、電化製品に特化した専門小売店です。週末に家族で少し高額な買い物をするお店として、地位を確保しています。そして、働く場所としても大変人気のある業種です。

では、家電量販店で働こうと考えた場合、どのように求人を探していけば優れた求人を見つけることができるでしょうか。実はここで戦略を間違えると、優れた求人は見つからず、いつまでも転職できないままになってしまいます

ここでは、私が転職活動の実体験をもとに、優れた求人の探し方を説明します。また、転職活動において大きく気になる要素「年収」の考え方について、信頼できるデータをもとに詳しく解説します。

もくじ

電気屋さん(家電量販店)の会社名から逆算する

家電量販店の正社員求人を探すなら、家電量販店の名前をキーワードにして求人を探すのが得策です。なぜなら、家電量販業界は大手企業に集約されつつあるからです。また、将来さらに集約は進む可能性が高いです。この大手家電量販店企業の求人を探していくのが、電気屋の求人探しの王道です。

それでは、電気屋業界で大手企業とはどのような会社でしょうか。売上の大きい企業は、ヤマダデンキ、ビックカメラ、エディオン、ケーズデンキ、ヨドバシカメラ、ノジマ、上新電機です。

ちなみに、この7社の売上は、家電量販業界の売上の8割にのぼります。ここでは、これらの企業を中心に正社員求人を探し、採用される戦略を考えていきます。

家電量販店の採用HPを探す

希望する電気屋さんの会社名がわかれば、もっとも簡単に求人を探す方法は、会社のホームページを探すことです。下の図は、ヤマダ電機(株式会社ヤマダホールディングス)のホームページのスクリーンショットです。

ヤマダ電機の場合は、各店舗で販売する自転車を整備、販売する社員を求めています。ヤマダ電機は、群馬県発祥の家電量販店です。全国に店舗があります。この求人では、関東圏の店舗で働く人材を求めています。

実際に採用試験に進めば、会社の概要や考え方を知るためにホームページを熟読することになります。もしホームページで中途採用の正社員の求人がないときでも、新卒募集のページには有益な情報が記載されています。例え希望する求人がホームページに無く、転職サイトの求人から応募するとしても、会社のホームページは必ず目を通してください

転職サイトを使って電気屋さんの正社員求人を探す

会社のホームページのほかには、転職サイトを使うとよいです。転職サイトで直接キーワードである会社名を検索すると、募集期限内の求人のみヒットします。GoogleやYahoo!といった検索エンジンを使うと、有効期限の切れた求人や全く関係のない記事もヒットするので、転職サイトで探すほうが効率的です。

大手転職サイトであるdodaを使って、「ノジマ」をキーワードにしてヒットした求人が、下の求人です。株式会社ノジマは、関東信越地方に店舗を展開する家電量販店です。この求人では、店舗での電化製品販売職を募集しています。

 

転職サイトの求人の良い点は、「ホームページの求人より条件が良い求人が多い」ということです。これは私の転職活動からも実感しています。

私は転職活動を、転職サイトの求人に応募することを中心に進めました。応募した企業の中には、会社ホームページにも求人を出している会社がありました。

しかし、会社ホームページには契約社員の求人しかありませんでした。私が転職サイトで見つけたこの会社の求人は、正社員の求人でした。もちろん、転職サイトの正社員求人のほうが高い提示年収でした。

これは、転職サイト運営の仕組みを考えれば理解できます。転職サイトは、あなたのような求職者には使用料金が不要です。しかし、求人を出す企業は使用料金を支払う必要があります。

企業が自社のホームページで募集する求人では、採用にかかるコストはほぼゼロです。一方転職サイトに求人を掲載して募集する場合には、転職サイトに支払う数百万円のコストが発生します。

つまり、企業が転職サイトで求人募集するときは、数百万円のコストに見合った優秀な人材を採用するために使います。必然的に、優秀な人材を確保するために良い条件が提示されやすいです。

転職サイトには、このような特性があります。この特性を理解した上で、うまく使いこなすと良いです。

自社HPで求人募集していなくても転職サイトに掲載されることもある

では、自社ホームページと転職サイトでは、求人がどのように出されているのでしょうか。先に述べた家電量販店7社について、私が各社のホームページと転職サイトで求人を探した結果を下表に示します。

会社名 doda マイナビ転職 パソナ メイテック 自社HP
ヤマダ電機 ○(整備士)
エディオン ○(SE)
ヨドバシカメラ ○(各種)
ケーズデンキ ○(販売)
ビックカメラ △(店長候補)

別ブランドの量販店


非公開求人
上新電機 ○(営業) ○(販売・営業)
ノジマ ○(販売) ○(SE) △(販売)

第二新卒のみ

表のように、自社ホームページに求人を掲載する会社もあれば、転職サイトに求人を掲載する会社もあり、さまざまです。さらに、転職サイトに求人を掲載する会社は、どの転職サイトにも同じように求人を出すのではなく、一部の転職サイトに求人を出しています。

なお、メイテックネクストで「ビックカメラ」のキーワードでヒットした求人は非公開求人で18件ありました。非公開求人とは、転職エージェントを介してのみ紹介される求人です。転職求人の8割が非公開求人と言われています。

非公開求人は、公開してしまうと応募が殺到したり、経営戦略が外部漏れる可能性があったりするために非公開にされている求人です。非公開求人の内容を知るには、転職エージェントから教えてもらうしか方法がありません。

メイテックネクストは、技術系の転職に強い転職サイトです。ビックカメラの非公開求人も、店舗での販売職というよりはバックオフィスの技術職募集であると想像しますが、どのような求人なのかは転職エージェントから教えてもらわないと詳しいことはまったくわかりません

以上を踏まえると、家電量販店の求人を探すには企業ホームページと複数の転職サイトを横断的に使って探すことをおすすめします。実際に私も、3つの転職サイトに登録して転職を成功させました。そうすることによって、優れた求人に出会う可能性が高くなります。

転職サイトの求人は頻繁に入れ替わる

先に表で示した求人の掲載状況は、頻繁に変わります。転職サイトで多くの求人は掲載期間が数週間から3ヶ月程度です。先に紹介したdodaに掲載されているノジマ社の求人は、下図のように掲載期間が約3週間です


このように、転職サイトの求人は期限が設定されているのがほとんどです。また、必要な人材を確保できたら、掲載期限が残っていても掲載を取りやめることもしばしばあります。

また、新卒採用と違って、中途採用やキャリア採用は、一年のどの時期であっても必要な人材募集します。つまり、転職サイトの求人は、次々に新しい求人が出されて、期限を切ってすぐに消えていきます。

気になった求人を見つけたら、まずは応募してください。同様の求人が、二度とあなたの目にとまることがない可能性は高いです。転職を成功させる人は、気になる求人に積極的に応募しています。

ちなみに私は転職活動で、20社近くに応募しました。そのうち半分の10社は、書類選考で落とされました。転職を経験した友人に話を聞いても、同じくらいの書類選考通過率でした。転職成功を決めている人は、間違いなくたくさんの求人に応募している人です

家電量販店の年収は平均で500万円

実際に働くときの年収は、転職するときの大きな関心の一つです。現状の給料が不満で転職することもあるので、年収について失敗したくない、損をしたくないと考える人も多いです。

では、年収面で失敗を防ぐにはどのように情報収集すればよいでしょうか? 家電量販店で上場企業の場合は、企業ホームページなどに掲載されている有価証券報告書に平均年収が記載されています

有価証券報告書は、上場企業が作成して提出する義務があるものです。虚偽の記載があると上場廃止などの重大なペナルティがあるため、会社の情報を得るには信頼のできる資料です。

例えば、エディオンの場合は、下図のように有価証券報告書に平均年収が510.4万円と記載されています。

引用 : 株式会社エディオン 第20期有価証券報告書より

ここで紹介している7社は、ヨドバシカメラを除いて上場企業です。そこで、そのほかの6社について有価証券報告書記載の平均年収を抜粋してまとめたものが下表です。

会社名 平均年収[万円] 平均年齢[歳]
エディオン 510.4 41.6
ヤマダ電機 445.3 39.6
ケーズホールディングス 575.8 41.0
ノジマ 453.2 30.9
ビックカメラ 439.8 35.1
上新電機 602.0 43.1

引用 : 各社有価証券報告書より

この表の6社の年収を平均すると、約500万円です。手取りでいうと、およそ400万円が最終的に手元に残ります。全産業のサラリーマンの平均年収がおよそ500万円なので、家電量販店の年収は全産業の平均程度といえます。

有価証券報告書には、年収以外にも企業の中長期的な戦略が記載されているので、面接を受ける前には一読をおすすめします。

実際に提示される給料を考察する

平均年収で一つ注意しておかないといけないのは、有価証券報告書の平均年収は20代〜60代までの社員の年収を平均したものです。年功序列型の賃金体系を取っているこれらの会社では、年収を決める大きな要素が年齢と勤続年数です。

つまり、あなたが25歳ならば、転職してすぐに平均年収の500万円を手にすることはないということです。例えば、下図に示す上新電機の求人では、月給で25~35万円、年収で400万円~と提示されています。

社員の年収例が提示されており、30歳で年収460万円なので、最低ラインの年収400万円なら20代前半未経験者への提示金額と考えられます。

ほかの会社が示している求人も、概ね同程度の20~25万円が下限の提示給料でした。転職直後の年収も長期的な年収も、家電量販店各社で大きく違いはありません

したがって、年収で会社を選ぶのではなく、「働きやすさ」「社風」「企業戦略」などで選ぶと良いです。あなたが自動車通勤を希望しているのに、駅前出店型のビックカメラを選んでも、満足できる転職とはなりにくいです。

ちなみに、ビックカメラ、上新電機、エディオン、ケーズデンキの4社は、経済産業省が認定する健康経営優良法人(いわゆるホワイト企業)に選ばれています。このような基準を参考にしても良いです。

管理する店長クラスの年収を推定する

年収を上げる一つの方法が、職位を上げることです。つまり、店舗で個々の商品を売る販売職ではなく、店舗全体を指揮する店長などのマネジメント職になれば年収が上がります。

では、どの程度の年収増が見込めるのでしょうか。伸びる年収額がわかっていれば、入社後のやる気に直結します。ここでは、実際の求人から店長の年収に迫ります。

下図に示すノジマ社の求人には、社員の年収例が示されています。入社5年で店長になったとして、600万円の年収であると記載されています。

この求人は、27才以下限定の求人です。5年後の32歳で店長になれば、600万円の年収を得ると考えられます。

同社の有価証券報告書より、同社の平均年収は約450万円と示されています。平均年齢が約31歳で平均年収450万円を手にすると考えれば、平均年齢より1歳上の32歳で店長になると平均より3割増しの年収になります。

このように、店長になることによる年収増は、動機として十分な額といえます。

ただし、マネジメント職の考え方は一般職とは大きく違います。私の経験からしても、優秀な一般職が優秀なマネジメント職になるとは限りません。

一般職のときは優秀でも、マネジメント職になって苦労して不幸になった人をたくさん見てきました。一般職とマネジメント職は何が違うのでしょうか。

一般職は自分の成績を上げることを主に考えていれば良いですが、マネジメント職はチーム全体の成績を上げることが必要です。店長になると数十、場合によっては数百の従業員を指揮して店舗運営をすることになります。

このマネジメントの考え方は、一般社員の時から訓練することができます。自分の働きが、部門、店舗、会社においてどのように影響するのかを常に考えてください。そして、チーム全体が良い結果を残せる働き方をしてください

店長を目指すなら、チームで結果を残す方法を身につけると、優れたマネジメント職として活躍できる可能性が高まります。

まとめ

電気屋さん(家電量販店)の正社員として転職する方法について、詳しく解説してきました。

家電量販店は、業界の上位企業に売上が集中しています。したがって、業界上位の企業を狙って転職活動すると、転職成功しやすくなります

求人を探す方法はいくつかあります。その中でも重要なのが、「会社ホームページの採用ページを見ること」「転職サイトを複数横断して探すこと」です。どちらかでも欠ければ、優れた求人を逃すことに直結します。

家電量販店企業の年収は、上位企業だとあまり変わりません。年収で選ぶというよりは、「あなたがどのように働きたいか」「企業経営に共感できるか」という観点で選ぶと良いです。

家電量販店の店長の年収は、一般職に比べて3割増し程度高いです。店長を目指す転職も、十分魅力的です。ただし、店長に求められる能力は、一般職と違うことを理解しておく必要があります。


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