電気メーター(積算電力量計)は、どの家庭にも必ずある設備です。そして、10年の有効期限があるため、必ず取替工事があります。あなたは、もしかすると電気メーター取替工事に立ち会ったことがあるのではないでしょうか?

電気メーターには、このように絶えない需要があります。したがって、取替工事の人材も絶対に必要なはずです。では、電気メーター取替工事の職種は求人が出ているのでしょうか?

実は、電気メーター取替工事の求人は少ないです。したがって、電気メーター取り替えに携わるためには求人の探し方から工夫する必要があります

ここでは、実際に電気メーター取替工事を施工している人の話を交えながら、「電気メーター交換の求人の実際」「戦略的な求人の探し方」「年収・給料の水準」について詳しく解説します。

電気メーター交換の求人は少ない

まず、家庭用の電気メーター(積算電力量計)の取付工事を行う人材を募集する求人は、どのように募集されているのかを知っておきましょう。実は、電力量計を取り付けるのが主な仕事である求人は、ほとんどありません

そして、電気工事や通信工事が主体の仕事で、電力量計の取付工事も行うという求人がわずかにあります。例えば、下図の日本メディコム株式会社の求人が該当します。日本メディコム社は、福岡県北九州市の会社です。

ただしこの求人では、通信工事がメインの仕事とされています。電気メーター取付などの電気工事は、業務の主体ではありません。

私は、仕事で日本メディコム社と面識があります。そのときは、NTT回線の引き込みで通信線の移設・引き込みと電力プラント校内の通信線敷設の仕事を依頼しました。

実は、日本メディコム社は通信関係の仕事が主体の会社です。日本メディコム社に勤めると、電力量計の設置に専念するわけではなく、通信工事と協業しながら行うことになります。

そして、そのほかの僅かな求人も一般電気工事や通信工事も行いながら電力量計の設置も行う求人ばかりです。このように、専門で電気のメーターの取付工事を行う求人は、「まずない」ということを知っておきましょう

なぜ求人が少ないのかを理解する

しかし、現実には電力量計の取付工事だけを専門に行う仕事をする人がいます。最近私の家でもメーター取替工事を行い、その工事をした人は専門で電力量計の取付工事を行っているということでした。

なぜ、電力量計を専門で取り付ける仕事はあるのに、中途採用で転職できる求人はないのでしょうか。私の家のメーター取替工事をしてくれた人に詳しく話を聞くことができたので、その話も交えて説明します。

・仕事の内容が簡単で、一般電気工事をしたことがあればすぐにできる

電気メーターの取替工事は、多くの場合電気工事会社・電設会社が実施します。私の自宅の積算電力量計は、九州電力から九州一円の工事を受託している株式会社九電工が取替工事を実施しました。

取替工事には、私も立ち会って取替工事の作業を確認しました。そこで確認した作業内容は、以下のとおりです。

  1. 積算電力量計の封印を切って、端子部を露出する。
  2. 積算電力量計の一次側配線と二次側配線をバイパスする。(停電させない処置)
  3. 端子を外して、壁から積算電力量計を取り外す。

  1. 新しい積算電力量計(スマートメーター)を取り付ける。
  2. 新しい積算電力量計に配線と取り付ける。
  3. バイパスを取り外す。
  4. 端子部にアイマークをつける。

  1. 通信が正常に行われ、電力量データが送信されているか確認する。
  2. 端子部にカバーを付けて、封印をする。

このように、特に難しい作業はありません。電気工事未経験者でも、何件か取替工事をすればすぐに覚えられる内容です。

また、積算電力量計の取替工事には、電気工事士資格などの公的資格は必要ありません。積算電力量計は「事業の用に供する電気工作物」なので、電力会社が定めた基準を満たしていれば問題なく作業できます。多くの場合、電力会社の内規に定める社内技能資格を取得して作業を許可しています。

これらのことが何を意味するかというと、電気メーターの取替工事を行う人員に欠員が出た場合、会社内の人事異動で補充が可能ということです。電工・電設会社なら、ほかの部門で電気工事士として働いていれば、問題なく電気メーターの取替作業ができます

これを裏付けするように、電気メーターを取り替えてくれた人が人事異動について下記を教えてくれました。

積算電力量計の取替工事は、自分は入社以来専属で行っている。人事異動は、積算電力量計の取替工事をしていた社員が、ほかの部署に移ることは今までない。

反対に、外線工事や引込工事をしていた社員が、積算電力量計の取替工事担当になったことはある。

電気メーターの取替工事の中途採用が少ない理由の一つは、このような人員補充のしやすさにあります。

・仕事量が読みやすく、中途採用するメリットがない

もう一つの理由は、電気メーターの取替工事の仕事量が読みやすいことにあります。

電気メーターは、計量法により10年に一度取り替えることが定められています。そして、住宅が爆発的に増えない限り新設工事は増えません。

さらに、電気メーターの取替工事を電力会社から受託するとき、工事会社は地域独占で受託します。つまり、ある地域の需要について数年単位で見通しが利くということです。

この需要をモデル化したのが下図です。基本的に、10年ごとに同じ数だけの需要があります。もちろん、故障などで前倒しになることはありますが、総数に比べて僅かな変化になります。そして、需要が読めるので年ごとの偏りが出ないように平準化します。

このように需要がはっきりしていると、会社の人事は人員確保が容易です。数年単位で需要が読めるということは、必要な人員もわかります。会社の人事は、この必要な人員を見越して新卒の採用をします。

会社が中途採用をするとき、相当なリスクとコストを伴います。電気メーターの取替工事の場合は、そのようなリスクとコストを負担しなくても計画的に人材を確保できます。したがって、中途採用の求人が出にくくなるのです。

逆算で電気メーター交換を仕事にする転職方法

では、電気メーター交換をする仕事に転職することは、極少ない求人を待つ以外に方法がないのでしょうか? ただ単に求人が出るのを待つ方法はおすすめできません。そこで、積極的に電気メーター取替工事に転職する方法を取りましょう。

実は、電気メーター交換工事をしている電工・電設会社はある程度調べることができます。例えば、東京電力パワーグリッド株式会社は、業務を委託しているスマートメーター交換工事会社を公表しています。

参考 : 東京電力パワーグリッド(株)ホームページ よくあるご質問

この資料にあるスマートメーターとは、新しい電気メーター(積算電力量計)のことです。下の写真のような従来の円盤が回っているタイプの電力量計ではなく、デジタル方式で計量し、携帯電話回線を使った通信で検針します。

電力小売自由化に伴い、2020年代中頃までに全ての電気メーターをスマートメーターに交換することが政府によって決められています。

この電力量計は、旧10電力会社から分離した送配電会社の財産です。新しく電力小売自由化に参入した事業者は、送配電会社から計量データを貰う仕組みになっています。

つまり、電気メーター取替工事の委託先を探すときは、送配電会社との関係がある会社を探さなければなりません。下記に、送配電会社を記載しますので参考にしてください。

  • 北海道電力ネットワーク株式会社
  • 東北電力ネットワーク株式会社
  • 東京電力パワーグリッド株式会社
  • 中部電力パワーグリッド株式会社
  • 北陸電力送配電株式会社
  • 関西電力送配電株式会社
  • 中国電力ネットワーク株式会社
  • 四国電力送配電株式会社
  • 九州電力送配電株式会社
  • 沖縄電力株式会社

送配電会社が電気メーター工事を委託している会社が見つかったら、その会社の求人が出ているかどうかを確認します。東京電力パワーグリッド管内でいうと、株式会社ふじでんが下図の求人を出しています。ふじでん社は、山梨県を中心に事業展開している電気工事会社です。

この求人自体は、配電外線工事を行う人材を募集している求人です。したがって、すぐに電気メーターの取替工事ができるわけではありません。

ただ、ふじでん社の事業内容の欄には、下図のように電力量計取替が示されています。ふじでん社が、電気メーター取替工事を受託しているのは間違いありません。したがって、入社したあと異動願いを出すことで、電気メーター取替工事に携われる可能性があります

もちろん、採用試験で「職種の変更があるのか」「仕事の担当範囲」などについて十分訊いておく必要があります

このような、逆算的に電気メーター工事をしている会社を探すことで、転職の可能性を広げることができます。

転職エージェントを活用する

自分の力だけで求人を探すのも良いですが、転職エージェントの力を借りることで優れた求人を見つけやすくなります

一番の利点は、非公開求人を紹介してくれることです。非公開求人とは、転職エージェントを通してのみ紹介される求人で、全求人の8割が非公開求人とされています。

非公開求人は、転職サイトで調べるだけでは探し当てることができません。つまり、非公開求人の中には電気メーター取替工事の求人が出されている可能性があります。

また、電気メーター取替工事の求人がなくても、前項で紹介した逆算的に電工・電設会社を狙うために、送配電会社の委託を受けている会社を中心に紹介を依頼することもできます。

このような手続きを踏むことで、電気メーター取替工事の求人を見つけやすくなります。

電気メーター交換は稼げるのか?

最後に、電気メーター交換の仕事を行う電工・電設会社に転職したときの給料・年収について解説します。まず、ここで紹介した2社の年収について、下図のように求人票に示されています。

日本メディコム社が月収17~30万円(初年度26.8万円)で、年収を12ヶ月+4ヶ月(ボーナス)として換算すると272~480万円(初年度429万円)になります。ふじでん社は、400~500万円と示されています。

ここで、知っておくべきことは、「電力会社は取引先登録制度を採用している」ということです。この制度は、あらかじめ経営状態や電気工事の能力などを調査して、一定程度の実力がある会社のみを取引の対象とする制度です。

社会インフラを担う企業なら、取引先登録制度は品質を確保する上でよく採用される制度です。ちなみに私が以前勤めていた鉄道会社でも、取引先登録制度は採用されていました。

この制度がないと、経営状況が悪く契約途中で倒産されると、次の契約先を見つけるまでインフラの修理・取替などの対応ができません。また、会社の電気工事の能力が担保されていないと、インフラの故障や事故を頻発させることにつながります。

もちろん、送配電会社から電気メーター工事の委託を受ける電気工事会社も、この取引先登録制度の対象になります。つまり、送配電会社から電気メーター工事の委託を受ける会社は、経営状況の良い会社であると認められた会社です

ここで紹介した2社のうち、ふじでん社は東京電力パワーグリッド社から委託を受けた企業です。一方、日本メディコム社は九州電力送配電社から委託を受けた会社ではありません。

日本メディコム社のホームページより主要取引先を確認すると、九州電力送配電社から配電工事委託を受けている九電工社があります。したがって電気メーター工事は、九電工社からの請負いだと考えられます。

通常、元請のほうが儲かります。先述の経営状況が良いことに加えて、二次請会社に発注する際、元請会社の取り分を抜いた上で発注するからです。

このことから、送配電会社から直接業務委託を受ける会社で働いたほうが、給料が良いと予想できます。ただし、あくまで電気工事士として高年収を得やすいということです。

電工の年収は、厚生労働省が毎年行っている賃金構造基本統計調査で知ることができます。下図に、その統計調査の結果をグラフ化したものを示します。

引用 : 令和元年賃金基本構造統計調査(厚生労働省)をグラフ化

このグラフからわかる通り、電気工は儲かる職種とは言い難いです。電工として働くなら、年収が400万円を超えると高年収です。実に電工の1割しか400万円以上の年収を得ていません。これを踏まえると、ふじでん社の提示年収は十分高年収と言えます。

このように、政府統計のように信頼のおけるデータと比べることで、提示年収の妥当性を測ることができます。そして、この手順を踏めば、年収面で大きく失敗することがなくなります。

まとめ

電気メーターを取り替える会社に求人を探すとき、電気メーター取替工事だけを行う職種を探すことは非常に難しいです。これは、電気メーター取替工事を行うのに、中途採用で人材を募集するメリットが少ないからです。

したがって、電気工事や電気通信工事とあわせて電気メーター取替工事を実施している職種を探すと、求人を見つけやすくなります。

その際、まず「送配電会社から委託を受けている電工・電設会社」の名前を調べましょう。そして、そこから逆算的に求人を探す方法を使うと探しやすいです。

会社を探すときは、自分で全て探しても良いですが、転職エージェントの力を借りると良いです。自分では気づかなかった会社を教えてくれることがあるほか、非公開求人の中からあなたの希望に沿った求人を紹介してくれることがあります。

電気メーター取替を行う会社の年収は、電工としては高い水準にあります。これは、電力会社から業務委託を得られる財務的な基盤を持っているからです。

なお、企業側から提示受けた年収は、政府統計と比較することで妥当性を判断できます。これにより、年収面で失敗しにくくなります。

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。