電気通信工事業は、21世紀の生活を支える重要な仕事です。電話、テレビ、インターネット(WEB)、SNSなど、日常生活に電気通信が無くてはならないものになりました。また、産業界において、IoT(Internet of Things)など電気通信があって利用できる革新的技術が普及してきました。

これらの実現には、電気通信工事が必要不可欠です。これからますます情報通信システムが発展していく中で、電気通信工事の重要性は増すばかりです。

一方、建設工事の職種の一つとして施工管理職があります。施工管理は、工事の出来栄えを決める大切な仕事です。電気通信工事の重要性が増すと同時に、その施工管理も重要性が増すことは必至です

では、電気通信工事の施工管理職へ転職を考える時、どのように進めていけば転職成功できるのでしょうか。転職を成功に導くには、求人の探し方、資格の理解、年収の考え方などを十分に調べておくことが大切です。

ここでは、「電気通信工事の施工管理の仕事内容と求人例」「電気通信工事施工管理に必要な資格」「電気通信工事の年収」などについて詳しく解説します。

電気通信工事の施工管理の仕事内容と求人例

電気通信工事の施工管理は、比較的大きな工事の実施に必要とされる職種です。一般に、工事の規模が大きくなり作業員が多くなると、コミュニケーションや作業待ちのためにロスが発生します。

このロスを可能な限り小さくし、工事を安全に、品質高く、納期通りに進める職種が施工管理です。施工管理は、現場で手を動かして施工するのが主たる仕事ではありません。

したがって、施工管理の職種の求人を出しているのは、電気通信工事の実施工を中心にしている会社ではありません。下の写真のような、通信工事の実施工をしている会社を探しても、思うように見つからない可能性があります。

では、どのように求人を探すかというと、多くの人は転職サイトを使って求人を探しています。適切な転職サイトを使い「通信工事 施工管理」をキーワードに探せば、比較的多くの求人がヒットします。

例えば、大手転職サイトであるdodaで「通信工事 施工管理」をキーワードにして検索した結果を、下に示します。500件くらいの求人がヒットしていることがわかります。

ただし、気をつけなければならないのは、ヒットした求人のすべてが電気通信工事の施工管理職ではないということです。相当数の求人が、実際に施工するスタッフや仕事の一部が通信工事の施工管理という求人です。

「電気通信工事の施工管理を中心にやりたい」のであれば、これらを選り分けて、あなたの望む求人を見つける必要があります。

優れた通信工事施工管理求人の見つけ方

ここからは、実際の求人の記述を例に出して、仕事内容を解説していきます。

はじめに紹介するのは、主に電気通信工事を事業の中心に据えている株式会社マルツ電波の求人です。マルツ電波社は、福井県に拠点をおいている会社です。

マルツ電波社が得意としているのは、防災関係の情報通信システムの設置工事です。この求人では、情報通信システムの工事における施工管理担当を募集しています。

仕事内容を詳しく見ると、「資料作成・打ち合わせが7割、調査・現場立会が3割」と記載されています。実際に施工するとは記載されていないので、ほぼ100%が施工管理としての仕事といえます。

ただ注意しないといけないのが、電気通信工事だけでなく、電気工事の施工管理も含まれていると考えられることです。

例えば、下のサーバーラック据付工事の写真を見ると、水色のUTPケーブルの布設と一緒に電源タップの布設も行われています。

電気通信機器は、当然のことながら電源が必要です。電源設置は、電気工事なので電気通信工事とは違うノウハウや資格が必要です。このような電気工事も規模が大きくなれば、もちろん施工管理の仕事があります。

マルツ電波社の求人で求める方の欄を見ると、下図の通り必須条件として電気通信工事関係の条件以外に、「電気関係の資格(電気工事士、施工管理技士)」などが求められています。

もちろん主に必要となるのは、電気通信工事関係の資格や経験です。しかし、仕事をしていく上で電気工事関係の知識や資格を求められる場合があると承知しておいてください。

同様のことは、以前私が計算機設置および試験を発注したとき、請負会社の主任技術者が下記のように言っていました。

私達は通信やシステムの工事をしているが、電気工事の仕事も同時にすることが多い。

電気通信工事に関係する資格(工事担任者資格など)が求められると同時に、電気工事に関係する資格(電気工事士資格)が求められることが多い。

さらに言えば、電気通信工事で感電して死んだり、大けがをしたりすることは少ないものの、電気工事だと感電で重大な労働災害になりやすい。労働安全の面から言えば、電気通信工事といえども電気工事の知識や経験が重宝される。

このように、多くの場合、電気工事の仕事内容も含まれると考えてください。無論、あなたに電気工事の経験があるなら、強みとしてアピールすることができます

次に紹介するのは、アルテリア・エンジニアリング株式会社の求人です。東京に本社がある会社ですが、この求人では大阪・名古屋・札幌・福岡の大都市の事業所での採用もしています。

この求人票には、「インターネット回線の設備工事」を担う人材を募集しています。経験によって施工管理業務を任される可能性があり、宅内配線の施工と施工管理の両方を任される求人と言えます。また、電気工事資格が活かせる(=電気工事がある)ことが謳われています。

電気通信工事の施工管理が仕事内容にある例として、上記の2件の求人を紹介しました。ただ、「通信工事 施工管理」のキーワード検索でヒットした500件の求人の中には、電気通信工事でもなく施工管理でもない求人も相当数紛れ込んでいます。

求人を読み込んで、ここで紹介した求人例を参考にし、通信工事の施工管理の求人を絞り込む必要があります。時間がかかっても、丁寧に求人票を読み込むことが転職成功への近道です

電気通信工事施工管理技士資格が必要か?

ここからは、通信工事の施工管理に転職するときに、資格が役立つのかについて解説します。

まず前提として知っておくべきことがあります。それは、施工管理の業務自体には資格が必要ないということです。実際に、前章で紹介したアルテリア・エンジニアリング社の求人では、下図のように施工管理に関する資格が必要とは記載されていません。

しかし、電気工事の施工管理に関係する資格として「電気通信工事施工管理技士」資格が存在します。これはどのような資格で、転職に役立てることができるのでしょうか。

電気通信工事施工管理技士資格は、建設業法に定める「専任技術者」「主任技術者」「監理技術者」になるために必要な資格です。さらに、工事規模によって「監理技術者」は設置不要です。

これが何を意味するかというと、下記のとおりです。

  • 会社に、電気通信工事施工管理技士資格を持った社員が何人かは必要である。
  • すでに事業している会社なら、有資格者は社内に必要最低限の人数が在籍している。
  • 有資格者の退職などのリスクがあるので、できるなら有資格者が入社してほしい。

私が転職活動をしていたときに、面接でこれらを裏付けるように「入社して1~2年のうちに、施工管理技士資格を取得してほしい」と言われたことがあります。

したがって、すでに電気通信施工管理技士資格を持っている人は、求人票に資格条件が謳われていなくても強くアピールすることができます。電気通信工事の施工管理業務がある以上、企業の本音では有資格者を採用したいからです。

反対に、電気通信工事施工管理技士資格を持っていなくても、応募を諦める必要はありません。入社後に早い段階で資格取得できることをアピールできれば、十分に採用される可能性があります

監理技術者(電気通信)資格があると中途採用で有利になるか?

前項で少し記載した「監理技術者」という資格も、建設業で必要な資格です。監理技術者は、元請金額が4,000万円以上の工事において専任しないといけない役職です。

通信工事の監理技術者資格は、かつては下の電気通信主任技術者資格などを取得して実務経験を積むしか取得する方法がありませんでした。

施工管理技士資格が設定されている電気工事や土木工事等は、施工管理技士資格を取得すれば、比較的短い期間で監理技術者資格を取得することができます。電気通信工事の需要に対して、監理技術者の有資格者の供給が追いつかなくなってきたため、電気通信工事施工管理技士資格が新設された経緯があります。

また、建設業界で長く働いている知人に聞くと、建設業は万年人手不足といいます。その知人も65歳を過ぎても監理技術者資格を更新するために、講習会に出席していました。

つまり、監理技術者資格を持っていれば、入社を希望する企業に対して大きなアピールになります。例えば、下に示す島津システムソリューションズ株式会社の求人では、電気通信工事の監理技術者資格が歓迎条件になっています。島津システムソリューションズ社は、京都に拠点を置く会社です。

島津システムソリューションズ社は、社会インフラ系の工事に強い会社です。インフラ工事は、工事金額が大きくなりやすいので監理技術者が会社として必要になります。

監理技術者資格を武器に転職活動を行うならば、大きな工事を扱う会社が対象になります。求人票に「監理技術者」と記載がなくても、求人票や企業ホームページなどから、4,000万円以上の電気通信工事を請け負っている会社ならば、面接などで強くアピールできます。

通信施工管理求人の提示年収を知る

最後に、電気通信工事の施工管理求人で提示されている年収について考察します。転職において年収は大きな関心の一つだと思います。提示される年収の傾向と、業界全体の年収について知っておくことで、年収面での失敗を防ぐことができます。

まず、最初に紹介した株式会社マルツ電波の提示年収を下図に示します。求人票の給与欄に、予定年収として350~500万円と記載されています。

同様に、ここで紹介した3社について求人票の年収をまとめたものが下表です。

会社名 提示年収[万円]
(株)マルツ電波 350~500
アルテリア・エンジニアリング(株) 400~
(月給で24~38と記載あり)
島津システムソリューションズ(株) 376~600

ここで紹介した3社は、概ね350~600万円程度が提示されています。サラリーマンの平均給与が500万円程度なので、平均的な給与水準と言えます。

実は、電気通信工事業をしている会社が分類される設備工事業の平均年収は、厚生労働省が毎年調査し公表しています。下のグラフは、その賃金構造基本統計調査のうち設備工事業の平均年収についてグラフ化したものです。

引用 : 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)をグラフ化

このグラフによると、20代で400万円前後、30代で500~600万円程度の年収水準であることがわかります。採用試験のときに企業から提示を受けた予定年収が妥当かどうかは、あなたの年齢とこのグラフを基準にして判断すると良いです。

政府統計の年収と比較して、極端に提示年収が低い場合は、転職後に「ほかの会社にしておけばよかった」と後悔する種になりやすいです。反対に、極端に提示年収が高い場合は、業界水準より残業が多かったり、仕事の内容が高度で量が多かったりします。年収では満足できても、働き方を後悔するもとになります。

これを防ぐためにも、あなたが希望する会社の提示年収が政府統計と大きく違う場合は、その理由を採用試験段階で問い合わせると良いです。自分で問い合わせるのが難しいなら、転職エージェントなどの力を借りるのも良い方法です。

納得してから転職することで、転職後の後悔を防ぐことができます

まとめ

通信工事の施工管理職は、転職サイトを使って多くの求人情報を得ることができます。しかし、通信工事の施工管理の求人だけでなく、通信工事施工スタッフや電気工事が主体の求人も数多く混じっています。求人票をよく読んで、あなたがやりたいことに合致しているかどうか確認する必要があります。

また、通信工事は電気工事と同時に施工されることが多いです。したがって、電気工事の経験や資格が活かせる求人も多いです。電気工事の経験が強みになるので、採用試験でのアピールポイントとして使えます

電気通信工事の施工管理業務自体に必須の資格はありません。したがって、資格を持っていなくても応募できる求人は多いです。しかし、電気通信工事業を行う会社としては、必要な資格がいくつかあります。

それは、電気通信工事施工管理技士資格や監理技術者(電気通信工事)資格などです。これらの資格を持っていれば、採用試験で強くアピールできます

電気通信工事業の求人の提示年収は、350~600万円で平均的です。個々の求人の提示年収は、政府統計と比較することで妥当性を判断できます。

このプロセスを実施することで、転職で年収面の大きな失敗を防ぐことができます。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。