フィールドエンジニアは、日本の産業を支える大切な仕事です。機械は作るだけでなく、適切な場所に設置して、適切にメンテナンスされなければ性能を十分に発揮することが出来ません。

フィールドエンジニアは、産業用機械を現場でまともに使えるようにするスペシャリストです。これはAIでは置き換えることの出来ない、将来性のある仕事でもあります。

ただ、技術職でありながら客先に出向き直接お客さんと接することから、技術職として想像しにくい場面もあります。ここでは、フィールドエンジニアの仕事の特徴を解説し、向き不向き、求められる資格・スキル、年収の相場について解説します。

フィールドエンジニアが活躍する場面と向いてる人

フィールドエンジニアは、別名「サービスエンジニア」とも呼ばれ、客先に出向いて仕事を行います。行う仕事は、定期・臨時のメンテナンス、新規据付時の試験・運用開始前説明などです。

扱うモノは、単にフィールドエンジニアだと産業用機械であることが多く、サービスエンジニアだとOA機器・通信機器などであることが多いです。どちらの場合も、客先で仕事をし、場合によってはお客様と直接やり取りしながら仕事をすすめるのが特徴です。

そして、モノが「標準品or受注生産品」「定期メンテナンスor新設」で仕事の進め方が変わってきます。

標準品や定期メンテナンスが主体のフィールドエンジニアだと、仕事はほぼ定式化されており客先での仕事がメインになります。

一方、受注生産品や新設を行うフィールドエンジニアだと、社内で開発・試験を行ったあとに、客先で仕事を行う2部構成になります。工場と客先を頻繁に行ったり来たりする働き方になります。このとき、同じ客先かどうかは発注状況によります。何年も続けて発注があるような大口顧客だと、専属部隊として同じお客さんを担当し続けることもあります。

 

また、この場合の「開発」とは、ゼロから技術を生み出すという意味ではなくて、標準品をベースに客先要望に沿ったオーダーメイドの味付けを行うという意味です。場合によっては組み立て(アッセンブル)と仕様確認試験をするだけのこともあります。標準品の場合だと、この開発と試験は他部署で終わっているので行いません。

受注生産品や新設のフィールドエンジニアの場合、ある重工メーカーの作業員が年間4ヶ月位は客先で仕事をしていると教えてくれました。反対に言えば、フィールドエンジニアといえども年間8ヶ月は社内で仕事(開発・試験)をしているということです。

例えば、下の紹介する千葉県に本社のある中村産業株式会社では、月の半分が客先での業務とされています。この会社では、食品加工・包装機械を扱っているので、食品メーカーに出向いて仕事をします。

中村産業社の場合、機械の納品・設置と定期メンテナンスのどちらも行っているので、場内試験と客先とを行ったり来たりして業務を行います。

私は、中村産業社と同じような食品機械メーカーで面接を受けたことがあります。そのとき、フィールドエンジニアとして働いてもらうので、短いときは日帰り、長いときは数週間の出張があるが問題ないかということを聞かれました。その会社も、機械の納品・設置と定期メンテナンスを行う会社です。

また、客先都合に合わせて土日に据え付け工事をすることもあるということでした。このような客先都合で平日昼間に仕事ができない例はたくさんあります。

私が以前勤めていた鉄道業界では、「列車が動いているとき」「お客さんの多い時期」は避けて仕事をします。つまり基本は夜間作業で、盆正月GWは仕事ができません。さらに、現在私が勤める電力業界では春と秋の電力需要が少ない時期に定期メンテナンスや改修を集中させます。

このようにフィールドエンジニアとして働くと、客先都合に合わせた出張が前提の仕事になります。客先では会社の代表として見られるプレッシャーがあり、さらに問題が起きた場合、まずは自分ひとりか、その場の数人で解決することが求められます。

そして、数日の出張になれば、ホテル住まいをしなければなりません。枕が変わると寝られない人はきついです。

反対に、エンドユーザーに近いところで仕事ができるので、やりがいを感じやすい職種です。お客さんの生の声を聞いて、それを製品にフィードバックしやすく、自分が製品に関わる実感を得やすいです。

また仕事のことではないものの、いろいろな場所に行けるので空いた時間に観光地をめぐり見聞を深めることもできます。この仕事には外交的な人が、特に向いてる人といえます。

未経験でもフィールドエンジニアになれるか

では、フィールドエンジニアになるにはどのような経験やスキルが必要なのでしょうか。実はフィールドエンジニアには、未経験でもOKの求人はあります。例えば、先に紹介した中村産業株式会社では、図の下部で示される類似の経験があれば活かせるとあるものの、未経験歓迎とされています。

また、下に示すのは東京に本社のあるヒダカ電気株式会社の求人です。この求人でも、自動車の運転免許と電気・情報系の知識があれば未経験でもOKとされています。

ヒダカ電気社の主な事業は、清掃工場や上下水道処理プラントの情報システムのメンテナンス・据付・調整です。下の写真は清掃工場のシステム画面です。ヒダカ電気社では、このような機器を扱うことになります。

このように、フィールドエンジニアの求人には未経験でも問題ない求人がたくさんあります。気になる求人を見つけたら、まずは応募してみると良いです。

電気工事士資格があると良い求人もある

フィールドエンジニアが活躍する機器の据付・試験・メンテナンスに従事するために必要な公的資格はないものの、据付や機器内配線で電気工事士資格があったほうが良い場合があります

例として、下の写真のような電動機(モーター)を設置する場合で説明します。この電動機を設置して、動作試験をすること自体には何ら資格は必要ありません。しかし、動力用の電力ケーブルを接続するためにケーブルに端子をつけるなどの端末処理には電気工事士資格が必要になります。

これは電動機に限らず、どんな機器であっても同様です。ケーブルの端末処理などをするには電気工事士資格が必要です。

ただし、電動機の更新工事の場合はすでに設置してあるケーブルを使うので電気工事士資格は必要ありません。また、これくらいの規模の電動機据付だと一人で現場に赴くことはまずなく、作業グループ内に電気工事士の有資格者がいれば済む話です。

したがって、電気工事士資格必須と言うよりは「電気工事士資格を持っていると歓迎」の求人が多いです。例えば、以下に示す株式会社ダイフクの求人が該当します。ダイフク社は、物流機器を扱う会社です。この求人で採用されると関東・東海・関西・中四国のカスタマーセンターのどこかで勤務することになります。

この求人では必須の資格はありません。しかし、電気工事士資格が歓迎条件になっています。

一点補足すると、マテハン機器とは下の写真のような物流機器のことです。大規模機械なので機械系の知識が求められるほか、動力はもちろん電力なので電気工事士の資格が必要な場面は出てきます。

引用:株式会社ダイフクホームページより

なお、フィールドエンジニアに直接関係する機械系資格はありません。なんらかの機械設備に関わった経験が評価される求人が多いです。

経験があればなお良い

もちろん、あなたがこれまでフィールドエンジニアとして働いてきたのなら、選択肢はさらに広がります。

例えば、下の求人は本社が滋賀県にあるアークレイインフィニティ株式会社の求人です。この求人は広島拠点勤務の求人で、同社の医療機器(尿検査機器など)をあつかう職種です。医療機器だけでなく、業界を問わずフィールドエンジニア経験があると応募できます。

また、フィールドエンジニアの経験がなくても、同じ業界での就業経験があると応募できる求人もあります。下図は、半導体製造装置を扱っている株式会社SCREEN SPE サービスの求人です。京都本社ですが、全国の拠点で勤務する可能性がある求人です。この求人ではフィールドエンジニアとしての経験が不問で、半導体業界の就業経験や保守メンテナンスの経験が必須とされています。

この項で紹介した2つの求人は、あなたに該当する項目があるなら応募することができます。その場合、あなたに強みがあるので待遇面で強く出ることも可能です。

フィールドエンジニアの求人を探すときは、以上のように経験や資格を踏まえて探すと良いです。

電気・機械系フィールドエンジニアの年収

最後にフィールドエンジニアの年収・給与を解説します。

転職サイトに掲載されている求人票には、必ず給与欄があって想定年収・月収が記載されています。冒頭に紹介した中村産業株式会社では、下図のように年収の記載があります。入社時の想定年収として、400~600万円とされているのがわかります。

そのほか、ここで紹介した求人の年収欄を下表にまとめます。

会社名 提示年収額[万円] 業種
中村産業(株) 400~600 製造業(生産用機械)
ヒダカ電気(株) 280~420 製造業(生産用機械)
(株)ダイフク 350~800 製造業(業務用機械)
(株)SCREEN SPE サービス 400~650 製造業(生産用機械)
アークレイインフィニティ(株) 400~600 製造業(業務用機械)

なお、フィールドエンジニアは製造業の中でも産業機械(生産用機械・業務用機械)を扱う場合が多いです。そして下のグラフは、厚生労働省が毎年行っている賃金構造基本統計調査の結果をグラフにしたものです。産業用機械を扱う生産用機械業界と業務用機械業界について年齢別の平均年収を掲載します。

引用:平成30年賃金構造基本統計調査より作成

生産用機械と業務用機械の分類は、日本標準産業分類によります。しかし、次のように考えるとわかりやすいです。

  • 生産用機械 : 工場など第2次産業で何かを作る機械
  • 業務用機械 : オフィスや病院など第3次産業で使われる機械

求人票や採用試験で提示された年収が、このグラフと比較してみると大きく失敗することは少なくなります。例えば、あなたの年齢が30歳として、ヒダカ電気社の場合は420万円が提示されたとしても業界平均以下です。ほかの求人を探せば、さらに年収の高い求人が見つかる可能性が高くなります。また、年収交渉の材料にしても良いです。

このように、業界全体の年収を把握した上で求人を探すことによって、転職成功しやすくなります

まとめ

フィールドエンジニアの仕事は、客先に出向いて業務を行う仕事です。お客さんと直接顔を合わせる仕事柄、技術職としてだけでなく会社の顔として振る舞うことを求められます。その分、やりがいも感じやすい職種と言えます。

また、客先と職場を行き来することが大変多いため、枕が変わると寝られなくなるようなデリケートな人は避けたほうが無難です。

フィールドエンジニアの求人には、未経験でもOKの求人がたくさんあります。フィールドエンジニアの主な業務である、機器据付や試験調整・メンテナンスには必須の公的資格がないので、新しく飛び込みやすい業界とも言えます。

しかしながら電気工事士の資格は、わずかながら保有していたほうがいい場面があります。歓迎条件としている求人もあり、あなたが電気工事士資格を持っているならアピールできます。

フィールドエンジニアの年収は、求人票では400~600万円がボリュームゾーンです。フィールドエンジニアが活躍する製造業(生産用機械、業務用機械)の年齢別平均年収を、政府が統計として公開しているので参考にすると良いです。あなたの年齢と政府統計を参考にし、企業からの提示年収を比較し交渉することで年収面での失敗を防ぐことが出来ます

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。