公害防止管理者資格は、13の専門的な区分がある国家資格です。その中の一つに、「騒音振動関係公害防止管理者資格」があります。

騒音振動関係公害防止管理者資格保有者は、騒音と振動に関する公害を防止するためのエキスパートとして、企業から求められます。公害に対する世間の関心は、高まることがあっても、低くなることはないからです。

では、実際に転職活動で騒音振動関係公害防止管理者資格が役に立つ求人を効率よく探すには、どのようにすればよいのでしょうか? また、どのような企業から求人が出ているのでしょうか?

転職活動の初期段階で、このような疑問を解決しておくことが、転職で成功する秘訣です。

そこで、ここでは「騒音振動関係公害防止管理者資格が条件の求人例と探し方」「公害防止管理者資格が有利になる理由」「転職エージェントを使って優れた求人を見つける方法」について詳しく説明します。

もくじ

騒音振動関係公害防止管理者資格が条件の求人は少ない

騒音振動関係の公害防止管理者資格を活かして転職・再就職しようとするときには、まず注意しないといけないことがあります。それは、「公害防止管理者 騒音振動」というキーワードで求人を探してもヒット数が極少ないということです。

試しに、大手転職サイトのdodaで「公害防止管理者 騒音振動」をキーワードにして検索すると、下図のように2件しかヒットしませんでした。

一方、「公害防止管理者」をキーワードにすると100件近い求人がヒットします。騒音・振動関係に絞ると、いかに求人数が少ないかがわかります。

騒音関係の公害防止管理者の有資格者を募集する求人が少ない理由は、この資格者を選任しなければならない工場が少ないからです。騒音規制法・振動規制法で届出の必要な機器は、下の写真のような大型の印刷機のほか40種類あります。しかし、公害防止管理者の選任は必要ありません。

公害防止管理者の選任が必要なのは、一定規模以上のプレス機・鍛造機が設置してある事業場です。

さらに、技術士や計量士などの資格があれば、公害防止管理者の認定講習を受けることができます。認定講習を受講すれば公害防止管理者に選任できるので、企業が公害防止管理者を急いで採用する必要性は低いです。

そのため、騒音振動関係公害防止管理者資格を活かして転職活動するときには、求人の探し方の工夫と根気が必要です。

簡単に見つかるのは環境調査関係の企業

少ないながら検索して簡単にヒットする求人は、環境調査関係の企業です。

例えば、下の株式会社有馬労働衛生コンサルタント事務所の求人がその例です。有馬総合衛生コンサルタント事務所は、広島を中心に工場の労働衛生について助言・提案している会社で、その一環として環境調査を行っています。

環境調査自体に公害防止管理者資格は不要です。しかし、客先が工場の場合、公害防止管理者の有資格者が在籍している場合があります。このような場合では、調査する企業も公害防止管理者の有資格者を置くことが多いです。なぜなら、そのほうが助言・提案に説得力が増すからです。

あなたは、外部業者に助言提案を求めるとき、専門の有資格者が在籍している会社と無資格者ばかりの会社のどちらに依頼しますか? 私なら、資格者が在籍している会社に依頼します。そして多くの人は、有資格者が在籍している会社を選ぶのではないでしょうか。

このように、法的に公害防止管理者の有資格者を在籍させる必要がなくても、有資格者を在籍させておけば会社として顧客を獲得しやすくなります。そのため、公害防止管理者資格が歓迎条件に挙げられることがあります。

「騒音」「振動」を別にキーワード検索する

「騒音振動 公害防止管理者」をキーワードにして検索すると、極わずかの求人しかヒットしませんでした。では、「騒音 公害防止管理者」「振動 公害防止管理者」として検索するとヒットするでしょうか。

すると、下表のようにヒット数が増えました。

キーワード ヒット数
騒音 公害防止管理者 21件
振動 公害防止管理者 16件

現行の仕組みでは、「騒音振動」関係公害防止管理者資格しか存在しません。しかし、平成18年より前は「騒音」と「振動」でそれぞれ別の資格でした。かつての資格者がまだ現役で一定数いるため、このようなキーワードで求人募集していると考えられます。

現行の「騒音振動」関係公害防止管理者資格は、かつての2つに分割されていた資格の両方の効力を持っています。したがって、「騒音」「振動」を別にしてヒットした求人でも、十分にアピール可能です。

実際にヒットした求人として、下のDaigasガスアンドパワーソリューション株式会社の求人を紹介します。同社は大阪ガスの子会社として、ガス関連施設やガス火力発電所を設計・建設・運営している会社です。

この求人では、「騒音関係公害防止管理者」「振動関係公害防止管理者」のそれぞれを歓迎条件として挙げています。

公害防止管理者資格が有利になる理由

ただ注意したいのは、ガス製造所や火力発電所に、プレス機や鍛造機などの法令で定める「騒音発生施設」「振動発生施設」があるとは考えにくいです。したがって、公害防止管理者に選任するために、騒音振動関係公害防止管理者の有資格者を求めているのではありません。

私が勤める電力プラントには、前職で製紙工場の発電所で機械系技術職として働いていた同僚がいます。その同僚は、技術職として採用試験に関わっていました。そのときの話を聞くと、以下のように教えてくれました。

機械系技術職の持っていて評価する資格として、「エネルギー管理士(熱)」と「公害防止管理者」の2つの資格がある。試験で取得するにはある程度の難易度がある資格だ。

これらの資格を試験で取得した応募者であれば、「努力して勉強できる人」「技術についてある程度高度な知識を持っている人」という評価をしていた。

高い給料を払ってでも、難易度の高い仕事を任しても問題ないと判断できるということだ。

このように、公害防止管理者の有資格者の評価が高いことがわかります。

先のDaigasガスアンドパワーソリューション社の求人は、計画・建設フェーズの業務を任されます。このフェーズの仕事は、検討事項や官公庁との折衝事項が多く、難易度の高い仕事です。ある程度能力の高い人材がほしいということが伺えます。

また、火力発電所で絶対に必要な公害防止管理者資格は、「大気関係」と「水質関係」の公害防止管理者資格です。

そして、「大気関係」「水質関係」の公害防止管理者試験は、騒音振動関係公害防止管理者資格を持っていると、試験科目が一部免除されます。

つまり、あなたは将来的に必要な「大気関係」「水質関係」の資格を取得できるだろう有望な人材です。すでに、騒音振動関係の公害防止管理者資格を持っていて科目免除がある上、同様の難易度の試験に合格しているからです。

このように、求人によっては事業に関係のない区分の公害防止管理者資格を求めている場合があります。この場合は、入社後に別区分の公害防止管理者資格を取得する必要性が出てくると考えておいてください。

転職エージェントから非公開求人を紹介してもらう

ここまで求人数と求人例を見てきました。このような条件に合致する求人が少ない場合は、転職エージェントサービスを利用すると優れた求人を見つけやすくなります。

転職エージェントを使う一番のメリットは、非公開求人にアクセスできることです。非公開求人とは、転職サイトで検索してもヒットしない求人で、転職エージェントの紹介を通してのみアクセスできます。

私が鉄道会社から電力プラントに転職したときも、転職エージェントに非公開求人を紹介してもらって転職成功させました。

下図は、製造業への転職に強みを持つ転職サイトであるメイテックネクストのホームページの一部です。非公開求人の数は、全体の80%であることが書かれています。

騒音振動関係公害防止管理者資格が条件になっている求人は、非公開求人の中にあるかもしれません。

また、転職エージェントに「騒音振動関係公害防止管理者資格を活かしたい」ということを伝えておくと、その観点で求人を探して紹介してくれます。あなたが考えもしなかった業種・職種の紹介を受けることもあります。

このようにして触れることのできる求人の総数を増やすことで、優れた求人を見つけやすくなります。

複数の転職サイトを使って求人を効率よく探す

一方で、あなたと転職エージェントのソリが合わないことも考えられます。どの転職エージェントに当たるかは全くの運次第なので、これは避けようがありません。

私は、運良く相性の悪い転職エージェントには当たりませんでした。しかし、仲の良い友人が転職したときは、5社登録して内2社の転職エージェントと相性が悪かったと言っていました。

相性の悪い転職エージェントに当たったとき、転職サイトを1社しか使っていないと転職活動が進まなくなります。そのような事態を防ぐために、転職サイトは複数使うのが王道です。複数の転職サイトを使うことで、相性の悪い転職エージェントに当たる不運をヘッジすることができます。

さらに、転職サイトによって扱う求人が違っていることが多いです。求人を出す企業からしてみれば、すべての転職サイトに求人を載せることは不可能だからです。

したがって、複数の転職サイトに登録すると、条件に合致したより多くの求人に触れることができます。

転職エージェントサービスを使うのも、複数の転職サイトを使うのも、考え方は共通しています。「条件に合致した、より多くの求人に触れるため」です。より多くの求人に触れると、優れた求人に出会う確率も上がります。そうすることで、より転職成功しやすくなります

まとめ

騒音振動関係の公害防止管理者資格を活かして転職活動を行うとき、求人数が極端に少ないということを念頭において転職活動を行う必要があります

これは、騒音振動関係の公害防止管理者が必要な事業場が少ないからです。また、技術士などの技術資格があれば認定試験を受講すると公害防止管理者に選任できることも影響しています。まずは、この事実を把握しておかなければなりません。

騒音振動関係の公害防止管理者資格保有者を募集しているのは、少ないながら環境調査の会社があります。環境調査をしている会社に公害防止管理者資格は必須ではありません。しかし、会社の信頼度を上げるために、公害防止管理者資格を歓迎条件としていることがあります。

また、「騒音振動関係」とひとくくりにせず、「騒音」「振動」というようにキーワードを分割して求人検索してみるとヒットする求人が増えます。現在の資格では、「騒音」「振動」のどちらにも効力があります。これらの求人も対象に入れると良いです。

ただし、あなたが一人で求人探しを工夫しても、見つけられる求人数には限りがあります。そこで、転職エージェントサービスを使うと触れる求人数を大幅に増やすことができます

騒音振動関係公害防止管理者資格を活かして転職活動を行うなら、あらゆる手を尽くして求人を探してください。そうすることで、優れた求人に転職しやすくなります。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。

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