ボイラーを扱うことのできる資格のうち、ある程度実務経験を積んだあとに取得する資格として、1級ボイラー技士免許があります。

ビルや商業施設の空調や給湯など、規模の大きな施設にはボイラーが使われます。これはほかの熱産生設備に比べて非常に効率が良いからで、まだまだ技術者の需要が耐えない分野です。

1級ボイラー技士免許を活かした転職を考えるならば、そのようなボイラー設備のある企業がターゲットになります。

では、実際にどのように募集されているのでしょうか? また、1級ボイラー技士免許はどのように評価されるのでしょうか? 転職で成功するためには、優れた求人を見つけ出す方法を知っておく必要があります

ここでは、「1級ボイラー技士の有資格者の募集の実態」「応募すべき求人と評価」「資格手当と年収」について詳しく解説します。

1級ボイラー技士資格のみを指定する求人は少ない

まず、1級ボイラー技士資格が条件にある求人は、どれくらいの数があるのでしょうか。試しに大手転職サイトのdodaで、「1級ボイラー技士」をキーワードにして検索してみます。

すると、下図のように6件の求人しかヒットしませんでした

また、「ボイラー技士」のキーワードで求人を検索すると、「ボイラー技士(1級、2級)」「ボイラー技士(2級以上)」という条件をつけている求人が多数ありました。これらの求人は、1級ボイラー技士免許の下位資格である2級ボイラー技士免許を保有していれば応募することができます。

このように、単に1級ボイラー技士の有資格者のみを求める求人は少なく、「1級ボイラー技士」「一級ボイラー技士」というキーワード検索だけに頼った求人探しで優れた求人を探すのはきついです。

1級ボイラー技士資格が必要な業務を認識する

1級ボイラー技士の有資格者を求める求人が少ない理由は、1級ボイラー技士免許の特性によります。

ボイラー技士免許は、業務独占資格と呼ばれる資格です。業務独占資格とは、有資格者のみ独占的に行うことができる業務がある資格を言います。

1級ボイラー技士免許でいうと、下記の2つの業務を独占的に行うことができます。

  1. ボイラーの取扱業務
  2. 伝熱面積の合計が500平方メートル未満のボイラー取扱作業主任者

この2つの業務のうち、1のボイラーの取り扱いは、下位資格である2級ボイラー技士免許保持者でも可能です。つまり、1級ボイラー技士免許の有資格者が必要なのは、2のボイラー取扱作業主任者を求めている場合です。

ところが、ボイラー取扱作業主任者は事業所に1人選任すれば問題ありません。そして、ボイラー取扱作業主任者がいないということは労働安全衛生法違反になるので、通常企業は複数の1級ボイラー技士有資格者を社内に在籍させます。

求人が出るとすれば、現在1級ボイラー技士の有資格者が社内規定の人数に達していないため補充する場合や、現在の1級ボイラー技士有資格者が近々退職することがわかっている場合です。

前者の場合は、下の株式会社北海道酪農公社のような1級ボイラー技士の有資格者を歓迎する求人が出されます。

ただし、このような求人は極めて数が少ないです。もし見つけた場合は、すぐに応募しないとチャンスを逃すことになります。

2級以上のボイラー技士資格者を求める求人に応募する

そこで、1級ボイラー技士免許を活かした転職を考える場合は、2級以上のボイラー技士免許保持者を募集している求人を探していくと良いです。そのような求人では、条件に「ボイラー技士(1級、2級)」「ボイラー技士2級以上」というような記載をしています。

具体的な例でいうと、下の大塚製薬株式会社の求人が該当します。

このような求人を出す会社であれば、社内に1級ボイラー技士有資格者が作業主任者に選任されなければならないボイラーがあると予想できます。したがって、1級ボイラー技士資格が無駄になることはありません。

ただ企業の中には、「1級ボイラー技士の独占業務範囲が2級ボイラー技士の独占業務範囲を包括するから、とりあえず両方記載しとけば良いだろう」と思える求人を出していることもあります。

例えば、「ボイラー技士(特級、1級、2級)歓迎」というように記載していたら要注意です。

企業名は伏せますが、下の求人ではたくさんの資格が活かせる資格として記載されています。

この会社の仕事内容はビル設備管理であり、これらすべての資格が必要とは考えにくいです。自社管内のすべての対象設備に対応できるように、「とりあえず」記載しているだけと考えられます。

ただ、その会社がどのようなボイラー設備を持っていて、なぜ1級ボイラー技士資格者を求めているのかは、外から眺めているだけでは正確にわかりません。そこでミスマッチを減らすためにも、転職を決める前に企業に十分に確認しておくことが必要です。

企業の実情は、選考過程を通して企業の採用担当者に直接問い合わせることが可能です。また、ハローワークではなく転職エージェントサービスを使っていれば、応募前に企業に対して質問を投げることもできます

下図は、私が転職活動をしていたときに求人票の内容を、転職エージェントを通して確認した電子メールの一部です。

このような手続きを確実にしておくことで、ミスマッチを減らせます。

1級ボイラー技士資格者はどのように評価されるか

では、実際のところ1級ボイラー技士の有資格者はどのように評価されるのでしょうか。1級ボイラー技士試験は、2級ボイラー技士試験と難易度が変わらないとされています。評価も変わらないのでしょうか?

実は1級ボイラー技士免許の取得には実務経験が必要なため、2級ボイラー技士よりも高く評価されます

私の職場に転職してきた同僚で、製紙工場で機械系技術職として働いていた人がいます。その人は、採用も担当したことのある人です。その同僚にボイラー技士資格の評価を聞いてみると、下記のように教えてくれました。

機械系資格のうち、ボイラー技士免許は、1級と特級は高く評価する。なぜなら、資格取得に実務経験の証明が必要だからだ。

2級ボイラー技士免許だけ持っている人の場合は、実務経験を職務経歴書から判断しなければならない。その職務経歴書は、ごまかすことができる。

しかし、資格取得のための経歴書は会社として証明して提出するため、職務経歴書に書かれる実務経験より信頼できる。1級ボイラー技士免許を持っているということは、信頼できる実務経験があるということだ

つまり、ボイラーの実務経験がある即戦力として活躍できる人材を求めるなら、企業の採用担当者は1級ボイラー技士の有資格者を採用します。2級ボイラー技士の有資格者にはない「信頼できる実務経験」があなたの大きな強みになります。

1級ボイラー技士の資格手当・年収

最後に、1級ボイラー技士の資格手当と年収について解説します。

まず、1級ボイラー技士免許を保持しているときに、支払われる資格手当はどのくらいが相場なのでしょうか? 資格手当は、毎月の給料に上乗せされて継続的に支払われる手当で、資格を持っているだけで支払われるので士気上昇につながります。

もちろん、資格手当の支払いは会社によります。ボイラー技士の資格者を求めているにも関わらず、資格手当を支払わない会社もあります。

また、求人票に支払われる金額の記載があることは珍しいですが、下の株式会社ヒューマンウェイブの求人では1級ボイラー技士資格を持っていると月額5,000円の手当が支払われます。

そのほか、下の株式会社小田急ビルサービスの求人票には、1級ボイラー技士を含む複数の資格で、1〜3万円の資格手当が設定されています。つまり、最低でも月額1万円の資格手当が支払われます。

このように、1級ボイラー技士免許を持っていると、月額にして5,000〜1万円程度の資格手当が期待できます。年収にすると、6万〜12万円程度の増が見込めます。

年収の将来性は業種による

では、求人票で提示される年収はいくらぐらいなのでしょうか。冒頭で紹介した株式会社北海道酪農公社の年収は、下図のように238〜287万円が提示されています。

同様に、ここで紹介した求人の提示年収をまとめたものが下表です。

会社名 提示年収[万円] 業種
(株)北海道酪農公社 238〜287 製造業(食品)
大塚製薬(株) 600〜1,000 製造業(化学)
(株)ヒューマンウェイブ 300〜450 その他事業サービス業
(株)小田急ビルサービス 300〜450 その他事業サービス業

このように、業種により様々な年収が提示されていることがわかります。実は、年収は業種によって左右されることが多いです。

業種ごとの平均年収を調べてまとめた信頼のおけるデータとして、厚生労働省が公表している賃金構造基本統計調査があります。

下のグラフが賃金構造基本統計調査のうち、1級ボイラー技士資格が求人の条件になりやすい業種を抜粋してグラフ化したものです。グラフ中、青色が製造業、緑色が非製造業を示しています。

引用 : 令和元年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)をグラフ化

このグラフからわかるように、最も平均年収の高い業種と最も平均年収の低い業種で2倍近い差があります。その差は数百万円に及びます。

また業種の平均年収が高いということは、提示年収が低くても将来的に年収が上がりやすいことを示しています。

つまり、転職活動において業種の選択を誤ると、年収面で失敗する可能性が高いです。転職で高い年収を期待するなら、グラフの左側にある平均年収の高い業種に積極的に応募することが必須です。

まとめ

1級ボイラー技士免許を活かした転職活動で成功する方法について詳しく説明してきました。まず、1級ボイラー技士免許のみが応募条件にある求人は少ないことを知っておかなくてはなりません。

これは、最も求められるボイラーの運転に関して、2級ボイラー技士免許で十分だということが理由に挙げられます。そこで、応募条件に2級ボイラー技士免許以上が挙げられている求人にも応募していくことも選択肢に入れると良いです。

1級ボイラー技士免許取得にはボイラーに関する実務経験が必要なため、採用試験でその実務経験が評価されやすいです。つまり、2級ボイラー技士資格だけを持っている求職者より採用されやすくなります

資格手当は、1級ボイラー技士の有資格者だと年収換算で6〜12万円程度が提示されていることがあります。一方年収は、企業により様々です。

1級ボイラー技士の有資格者が活躍できる業種はたくさんあります。そして、平均年収は業種により大きく違います。したがって、信頼のおける平均年収データを参考にして、平均年収の高い業種への応募を優先することで、年収面で転職成功しやすくなります。


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以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。