ゼネコンと違って、特定の設備に集中して建設業を行っているのがサブコンです。ゼネコンが土木・建築などが主役で、電気系職種が目立たないのに比べて、サブコンでは電気系職種が主役になる会社もあります。

会社の花形として電気系技術者が活躍するには、サブコンのほうが選択肢として適切と言えます。

では、サブコンと一言で言っても、どのような選択肢があるのでしょうか? また、仕事内容はどのような内容になるのでしょうか? さらに、サブコンはきついと聞いたことはないでしょうか?

転職で成功するには、これらのことに対して十分な下調べをしておくことが重要です。これを怠ると、ミスマッチを惹き起こし転職失敗しやすくなります。

ここでは、「サブコンの種類」「仕事内容と求められる経験・資格」「ホワイト企業の見つけ方」「サブコンの給料・年収」について詳しく解説します。

サブコンのうち電気設備工事と電気通信設備工事が電気らしい職種

サブコンについて解説する前に、設備工事の種類・代表的な企業・電気系職種の多さを整理します。下表に、それらを整理しました。

設備工事の種類 代表的な企業 電気系職種の多さ
電気設備工事 HEXEL works、関電工、九電工、日本電設工業、東光電気工事など 多い(強電)
電気通信設備工事 協和エクシオ、日本コムシス、ミライトなど 多い(弱電)
消防設備工事 能美防災、ニッタン、ホーチキなど 少ない
空調設備工事 新菱冷熱工業、高砂熱学工業、三機工業など 少ない
衛生設備工事 西原衛生工業、斎久工業、日立プラントなど 少ない

このうち電気系の職種が多いのは、電気設備工事と電気通信設備工事を営んでいる会社です。サブコンで電気系職種への転職を考えるときには、まず選択肢に挙がるのがこの2つです。

ただし、電気設備工事は主に強電系の設備を扱うことが多く、電気通信設備工事は主に弱電系の設備を扱うことが多いです。また、両方を扱う会社もあります。

かつて私が一緒に仕事をしたことのある九電工社は、強電も弱電も扱っていました。そのときは、私が要件定義したオフィスの移転に伴う電源系統と通信系統の布設を施工してくれました。

強電と弱電では、工事施工に必要な資格が違います。また、考え方も変わるので、あなたの経験が活かせて、さらに得意な分野が多い会社を選ぶと失敗しにくくなります。

強電系の電気設備工事を主とするサブコンの求人例は、下図の株式会社HEXEL Worksの電気設備施工管理の求人が該当します。HEXEL Works社は、かつて六興電気という社名だった、大手サブコンです。

HEXEL Works社は親会社を持たない独立系のサブコンです。住宅の電気工事に強みを持つほか、神奈川県で募集しているこの求人で採用されると軍事施設(米軍基地)の電気工事も行います。また、HEXEL Works社は、神奈川県だけでなく全国で人材を募集しています。

次に、弱電系の電気通信設備工事を主とするサブコンの求人例を示します。下に示す求人例は、株式会社協和エクシオの求人です。データセンターなどの電気工事を行う人材を求めています。

この求人では電気設備工事を主体に行う人材を求めています。電気通信設備であっても電力が必要なので、電気設備工事も必要です。

しかし、協和エクシオ社自体は、電気通信設備の技術力を核にしている会社です。この求人でも、担当するのはデータセンターの電気工事です。電気工事は電気通信工事の付帯工事であるという位置づけです。

したがって、電気通信設備工事に触れることが少なからずあると考えられます。つまり、採用が電気設備工事の担当であっても、電気通信設備工事に全くの無知であることは許されないということです。以下のサーバーラック設置前の写真を見ても、電気工事と同時に通信線の工事もしていることがわかります。

以上、電気設備工事と電気通信設備工事のサブコンについて説明しました。これらの設備工事は「電気」が主体の工事を担当します。電気系のサブコンに転職を考えるときは、第一選択肢になるサブコンです。

消防設備工事も電気系の仕事が多い

次に紹介するのは、消防設備工事のサブコンです。

消防設備とは、消防法に定められている建物に設置しなければならない消火・防火のための設備のことです。例えば、以下の写真のような誘導灯がイメージしやすいと思います。

誘導灯のほか、下の写真のような天井に取り付けてある「スプリンクラー」「非常灯」「煙感知装置」なども消防設備です。

このほか不活性ガス(二酸化炭素、窒素、ハロゲンガス)を充満させて消火する設備も一般的です。これらの設備を動かすには、電気が必要です。

私が以前勤めていた会社では、電気系の社員に取得を推奨する資格として消防設備関係の資格を挙げていました。それほど電気系技術者と相性が良く、電気と切り離しては考えられない設備が消防設備なのです。

したがって、消防設備関係のサブコンも、電気系サブコンの転職先として選択肢になります。

具体的な求人例を挙げると、下図の能美防災株式会社の求人です。能美防災社は、消防(防災)設備のパイオニアです。東京に本社がありますが、この求人では広島で施工管理をする人材を求めています。

電気設備工事だけの知識しかなければ、電気通信設備工事と同じように入社後に消防設備の知識・技能を習得する必要があります。場合によっては、消防設備士資格の取得を求められることもあります。また、消防設備を工事することが主体で、電気設備工事などは付帯作業になります。

これらを承知した上なら、消防設備関係のサブコンも選択肢になります。

空調設備工事・衛生設備工事は全体の一部で電気工事もある

最後に紹介するのは、空調設備工事・衛生設備工事のサブコンです。

空調設備工事は、下の写真のように電力で動作する機械をたくさん使っていることはイメージしやすいと思います。

衛生設備工事は、主に給排水設備工事などを担当します。エンドユーザーが使う場面で、電気が使われていることをイメージするのは難しいかもしれません。しかし、送水には下の写真のような電動ポンプが使われます。

したがって、空調設備工事や給排水工事でも電気系の仕事・職種が存在します

実際の求人例でいうと、空調設備工事のサブコンは下図の新菱冷熱工業所株式会社の求人が該当します。新菱冷熱工業社は財閥系の大手サブコンで、この求人では名古屋で働く人材を求めています。

次に示すのは、衛生設備工事のサブコンの求人で、株式会社西原衛生工業所の求人です。西原衛生工業所はきんでん傘下の電力系サブコンです。この求人では、札幌で働く人材を求めています。

このようなサブコン会社でも、電気系の仕事はあります。しかし、前項までで紹介したサブコンよりもさらに電気関係の仕事量は少なくなります

通常、空調設備工事や衛生設備工事の場合は、空調機や衛生設備本体の工事金額が大きいです。反対に付帯する電気工事の工事金額は小さいです。仕事の優先順位は、工事金額の大きい仕事の方が高いです。

つまり、空調設備・衛生設備のサブコンで、電気専門の技術職で働くと、スケジュールや予算で冷遇されると考えてください。私は鉄道関係の電気設備工事を担当していました。その経験から言うと、土木建築や機械設備の工事工程遅れのしわ寄せを食らうのは、いつも電気系の工事関係者でした。

同じ社内であっても職種によって、このような仕事の進めやすさは変わってきます。電気系技術者として転職するなら、十分納得しておかないと、働きだしてから後悔することになります。

反対に、空調機や衛生設備本体や管工事の技術を意欲的に習得し、電気以外のセクションとの調整が得意なら大変重宝されます。

仕事内容は施工管理と工事設計

ここまで紹介してきたサブコンの仕事内容は、主に施工管理と工事設計です。工事の実施工ではないので注意しなければなりません。

冒頭で紹介したHEXEL Works社の求人を見ると、下図のように施工管理業務経験や電気工事施工管理技士資格が求められているのがわかります。

ただ、求人票の条件欄には、「第二種電気工事士」資格や「第一種電気工事士」資格も記載してあります。では、このような「電気工事士」資格があれば、即戦力として歓迎されるのでしょうか?

実は、施工管理をするのに「電気工事士」資格を「最低限持っていてほしい」というだけで、「電気工事士資格さえあれば十分」というわけではありません。電気工事の実施工と施工管理は別のスキルが要求されるので、HEXEL Works社の求人では、施工管理経験の優先度が高く記載されています。

また、電気工事施工管理技士資格を取得するのに、電気工事士資格を持っていると受験要件が緩和される場合があります。

電気系大手サブコンに勤める知人に聞くと、以下のように教えてくれました。

施工管理をすると言っても、仮設や準備作業で電気工事をすることがある。そのために電気工事士資格がほぼ必須だ。

また、サブコンという会社の特性上、電気工事施工管理技士資格を持った社員が必要だ。まず間違いなく、施工管理技士資格を取得させる。

このように、サブコンは施工管理が中心になるということを覚えておいてください。

一方、新菱冷熱工業社の求人には、「電気工事設計」も謳われています。

工事設計のうち、当初設計は専門の部署が行うことが多いです。私が勤めていた会社では、当初設計は工事設計だけを専門に行う設計課が担当していました。

工事は、大規模になるほど設計変更が出てきます。そうした設計変更は、施工管理をしている現場の社員が担当することが多いです。したがって、サブコンに転職するなら工事設計の経験があると強いアピールポイントになります

サブコンはきついか?ホワイト企業に転職するには

よく言われるのが、「施工管理はきつい」ということです。はたして、施工管理職は本当に「きつい」のでしょうか?

私も建設業界に関わってきたので、施工管理がきついと言われるのを知っています。きつい原因は、概ね長時間拘束されることです。

実施工を担当する、たくさんの職人をまとめるのが施工管理の仕事です。職人は、日当で働いていることが多く、土日祝日であっても、自分の都合が良い日で働きたがります。すると、管理する側の施工管理職は出勤せざるを得ません。

このような実態があり、さらにかつてはサービス残業が当たり前だったこともあり、「きつい」と言われているのです。また、竣工直前は、竣工書類の準備などで事務仕事に忙殺されます。体力的というより、精神的なきつさがある仕事と言えます。

しかし、政府主導の働き方改革の推進で、休みも増えてきています。建設業を管轄する国土交通省は、下の写真のように積極的に週2日は休むようになってきました。

また、サービス残業について、サブコンに勤める知人に聞いてみました。すると、「かつてはサービス残業が当たり前だったが、今は残業した分だけ残業手当がつくようになった」と教えてくれました。

さらに、企業の中には政府お墨付きで「ホワイト企業」認定を受けている企業もあります。例えば、先に紹介した協和エクシオ社は、経済産業省に2017年の健康経営優良法人として認定されています。

このような指標を参考にすることで、ブラック企業を避けホワイトな環境に転職成功しやすくなります

サブコン求人の年収は?

最後に、サブコンの年収について解説します。冒頭で紹介したHEXEL Works社の年収は、下図のように400~650万円と示されています。

同様にここで紹介した5社について、求人票に掲載されている年収をまとめたのが下表です。

会社名 提示年収[万円] 種別
(株)HEXEL Works 400~650 電気設備工事
(株)協和エクシオ 600~900 電気通信設備工事
能美防災(株) 400~700 消防設備工事
新菱冷熱工業(株) 450~700 空調設備工事
(株)西原衛生工業所 360~700 衛生設備工事

この提示金額が妥当かどうかは、信頼の置けるデータと比較することでわかります。信頼の置けるデータは、厚生労働省が毎年公開している賃金構造基本統計調査があります。下のグラフが、サブコンが含まれる設備工事業の年齢別の平均年収をグラフ化したものです。

引用 : 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)より抜粋してグラフ化

この統計調査によると、協和エクシオ社の提示年収が業種の水準より上振れしています。そのほかの4社は、業種平均の20代から50代までの年収の幅に収まっています。したがって、あなたの年齢を踏まえた上で、提示年収の妥当性を判断すると良いです。

このようなプロセスを踏むことで、年収面で大きく失敗することを防ぐことができます

まとめ

サブコンの電気系職種に転職する際の考え方について詳しく説明してきました。電気系の職種が多いのは、電気設備工事・電気通信設備工事を主体として行うサブコン企業です。

また、消防設備工事・空調設備工事・衛生設備工事の企業であっても、電気系職種はあります。しかし、あくまで主たる設備の付帯する工事です。そのことを十分理解して転職先を選ぶ必要があります。

サブコンの仕事内容は、主に施工管理です。工事設計も付随することがあります。したがって、求められる経験や資格も施工管理に関わる経験や資格です。応募書類や面接で、実施工の腕をアピールすべきではありません。

なお、施工管理がきついと言われてきた状況は改善しつつあります。また、肉体的なきつさではなく、精神的なきつさが特徴です。あらかじめこれらを知っておけば、ミスマッチを防ぎます。

サブコンの年収は、400~700万円が平均的な水準です。あなたの年齢と政府統計などの信頼できるデータを参考に比較することで、年収面での失敗を防ぐことができます。


技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。