将来的に電気主任技術者に選任されたいときや、電気主任技術者資格を取得して日が浅いときなど、電気主任技術者の補助として働きたいと考えることがあると思います。電気主任技術者の指揮下で経験が積めれば、選任されることへの不安も小さくなります。

では、電気主任技術者の補助として働く求人というのはあるのでしょうか? あるとしたらどのように探せばよいのでしょうか?

実は、電気主任技術者を取り巻く状況から、探し方にコツがあります。また、適切な確認をしないで転職すると、ミスマッチに繋がります。

そこで、ここでは「電気主任技術者の補助員の求人の探し方」「ミスマッチを小さくする情報収集・確認の方法」について、詳しく解説します。

正攻法で求人を検索してもヒットしない

転職を考えたときに求人を探す方法として、多くの人が使う方法が転職サイトを使って求人を検索することです。では、電気主任技術者の補助員として働く求人を探すのに、同様に転職サイトを使って探すとどのような結果が得られるでしょうか。

試しに、大手転職サイトのdodaでキーワードを「電気主任技術者 補助」として検索してみます。すると、下図のように約800件の検索結果が得られました。

しかし、800件のうちほとんどが、電気主任技術者の補助員とは関係ない求人です。実際に求人票の中身を確認すると、電気主任技術者を選任する必要のない建設業の求人が相当数混じっています。

これは、「電気主任技術者資格を取得するのに会社から補助がある」という求人が多いからです。したがって、この検索方法で希望の求人を探すのは効率が悪いです。

ちなみに、私がこの方法で見つけた電気主任技術者の補助員として働く求人は、以下の三井物産フォーサイト株式会社の求人と、ほか数件だけでした。この求人だと、電気主任技術者支援業務と明確に記載されています。

三井物産フォーサイト社の求人では、東京にて同社運営する各地のメガソーラー太陽光発電所の管理運営を行います。同じ部署で働く電気主任技術者の補助的な立場で仕事をすることができます。

「補助」以外のキーワードで探してみる

このような結果になるのは、電気主任技術者の補助業務を行う職種に明確な名称が付けられていないからです。そこで、「補助」に代わる類似の言葉で求人を探してみましょう。

類似の言葉とは「代務」「補佐」「手伝い」などです。下表に、これらのキーワードで検索した結果を示します。

キーワード 検索結果[件] 意図に該当する結果[件]
電気主任技術者 + 代務 3 2
電気主任技術者 + 補佐 20 0
電気主任技術者 + 手伝い 8 0

表のように、検索結果自体が少なく、電気主任技術者の補助員という意図に沿った求人もほとんどありません。

つまり、転職サイトなどの求人をキーワード検索で探す方法だけでは、求人を見つけることはかなり難しいということです。このような正攻法だけでなく、求人の探し方に工夫をする必要があります。

電気主任技術者補助員の求人がない理由を知る

では、なぜ電気主任技術者補助員の求人はないのでしょうか。これは、企業側の立場に立って考えることで理解できます。また、そうすることによって電気主任技術者補助員として転職する方法が見えてきます。

まず、いちばん大切な前提は、企業は電気主任技術者の補助員を求めていないということです。法的に義務があるのは、電気主任技術者の選任だけで、補助員を置くことは求められていません。

経済産業省が提示する保安規程の例には、下図のように「代務者」が記載されています。

しかし、この「代務者」は、わざわざ募集するような役職ではなく、電気主任技術者の指揮下で働く従業員の中から指名すればよい役職です。

電気主任技術者の選任が必要な電気工作物を設置している会社なら、まず間違いなく複数の電気設備保全の担当者がいます。したがって、代務者を指名するのに困ることはありません。

通常、このように法的義務もなく緊急性もない役職を、企業はコストをかけてまで求人募集することはありません

これが、電気主任技術者補助員の求人がほとんどない理由です。

電気主任技術者の補助として働ける求人を読み解く

求人票に「電気主任技術者補助員」などの記載がないとなると、どのように求人を探せばよいでしょうか。

実は、私は電力プラントで電気主任技術者の補助的な立場で仕事をしています。私の転職時の経験が参考になるので、それを示しつつ解説します。

仕事内容に電気主任技術者の業務に近い内容が記載されているか

電気主任技術者の補助的な立場で仕事をすることは、電気主任技術者の業務の一部を代わりに行うということです。そこで、まず電気主任技術者の責務を押さえておきましょう。

電気主任技術者の責務は、電気事業法43条に記載がある通り、「事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督」です。具体的には以下の仕事が実務として行うべき仕事内容です。

・規程類の整備 : 組織的に電気工作物を工事・維持・運用するための規定を作る

・設備保全の実施 : 定めた規定類に基づき、組織的に電気工作物を工事・維持・運用する

・保安教育の実施 : 適切に電気工作物の工事・維持・運用をできる教育を実施する

・災害時の対応 : 電気工作物に重大な故障を及ぼす自然災害や事故時の対応を定める。また、適切に運用されるための訓練を行う

・記録の保存 : 電気工作物の工事・維持・運用にかかる記録、教育記録などを適切に保存する

・監督官庁への申請・届出 : 保安規程の届出など行政へ必要な申請・届出を行う

これらの業務は、電気主任技術者が手を動かして全てを行う必要はありません。電気事業法にあるとおり「保安の監督」が電気主任技術者の責務なので、同じ部署の誰かにさせてもよいのです。

実は、私は電力プラントで電気主任技術者に代わって、保安規程の変更の届出をしたことがあります。そのときの流れは、下の図のとおりです。

私は第二種電気主任技術者資格を持っているものの、電気主任技術者には選任されていない社員です。電気主任技術者は、第一種電気主任技術者資格を持った発電所勤務40年以上の経歴を持つベテランが選任されています。

この流れで、実際に電気主任技術者は、私に対して指示と確認しかしていないので、私は電気主任技術者の補助として働いているということになります。しかも、転職して数ヶ月しか経っていないときにした仕事なので、採用時には想定されていた仕事内容だと考えられます。

では、私が採用試験を受けたときの求人票にはどのように記載されていたのでしょうか。私が今勤める電力プラントの採用試験を受けたときの求人票を、下図に示します。

すでに電気主任技術者は選任されているので、電気主任技術者を求めるとは記載されていません。しかし、職務内容には電気主任技術者に求められるものと同じ「発電所の工事、維持、運用に係る保安の監督など」と記載されています。

つまり、「電気主任技術者に選任されるとは謳われていないものの、仕事内容に電気主任技術者の責務に相当する内容が記載されている求人」を探して応募すれば、電気主任技術者の補助的な立場で仕事をすることができます。

例えば、下のマツダ株式会社の求人では、広島または山口の自動車工場に設置してある火力発電所のプラント技術者を募集しています。

もうすでに稼働している発電所なので、規程類の整備や運用はなされています。したがって、マツダ社のように稼働済みのプラントで採用される求人では、電気主任技術者の責務のうち規程類に関する記述はまず見られません。

しかし、保全の実施や監督官庁への申請・届出は継続的に発生します。つまり、保全や申請・届出が、求人票の仕事内容に記載されやすいです。また、管理監督的な立場で業務を遂行するのかがキーポイントです。

マツダ社の場合は、「裁量権を持つこと」「立案・推進」などを行うことから、管理監督的な立場で仕事をすると推定できます。

なお、下図のようにマツダ社の求人では、電験資格の保有について特に求めていません。

したがって、電気主任技術者に選任されるのではなく、電気主任技術者の補助的な立場で仕事をすることがわかります。

このように、電気主任技術者の補助員として働くには、求人票の記載から読み解くことで、優れた求人を探し当てることができます。

最終的に面接などで確認は必須

ここまで、求人票から電気主任技術者の補助的な立場で仕事をする求人の探し方を解説してきました。

しかし、求人票の記載だけに頼って転職活動をしてはいけません。転職成功した多くの人は、あらゆる手段を使って情報収集をしています。

例えば、求人に応募する前にできる情報収集には次のような手段があります。

  • 応募する会社の知り合いに訊く
  • 転職エージェントに訊く
  • 会社ホームページやニュースを読む
  • Web上の情報を確認する

この中で、当該の求人に対して最も確度が高い情報を得やすいのは転職エージェントに訊く方法です。転職サイトを通して提供される求人は、転職エージェントが先方企業と求人の詳細内容について説明を受けています。

したがって、求人票に書ききれない内容や、企業側の生の声を知っています。つまり、転職エージェントに訊けば、あなたが気になった求人で電気主任技術者の補助的な立場で仕事をできるか知れる可能性が高いです。

私が今勤める電力プラントの採用試験を受けたときは、転職エージェントが企業の求める人物像の詳細や決裁の状況など、外部からは知り得ないことを教えてくれました。

以下は、私の転職活動中に転職エージェントからもらったメールです。紹介された求人の職務内容についての質問に対する回答です。

そのほかの手段は、企業の社風などを知るには良い方法です。しかし、あなたが希望する求人の詳細については知ることができません。参考程度にとどめておきましょう。

次に、求人に応募したあとでできる情報収集の方法は、次の方法があります。

  • 企業を訪問したときに、社員に訊く
  • 面接時に、疑問点として確認する

このうち、面接時の確認が最も知りたい情報が得やすいです。面接では、ほとんどの場合質問事項がないか訊かれます。ここで以下のような質問をすると良いです。

  1. 私に求められる仕事内容に、電気主任技術者の補助的な仕事があると認識しているが、間違いないか。
  2. 将来的に電気主任技術者に選任されることがあるのか。

1の方法は、直接希望する仕事内容があるかどうか確認する方法です。

2の方法は、答えが「YES」なら電気主任技術者の補助の仕事があると考えて良いです。全く未経験で電気主任技術者に選任させることは考えにくいので、選任されるまでになんらかの電気主任技術者の業務を行うことが考えられます。

反対に答えが「NO」なら追加で、「仕事内容にあなたが希望する電気主任技術者の補助的な仕事があるかどうか」を明確に確認する必要があります。1の質問と組み合わせて確認すると良いです。

以上のような情報収集を行うことで、転職後のミスマッチを小さくすることができます。特に、電気主任技術者の補助員という企業側が明確に募集していない職種を狙うときは、必須のプロセスです

まとめ

電気主任技術者の補助員として転職する求人の探し方・考え方について説明してきました。

電気主任技術者の補助員というポジションは、企業が明確に求めていないことがほとんどです。転職サイトなどで「電気主任技術者 補助」「電気主任技術者 補佐」などをキーワードに探しても、ほとんど見つかりません。

したがって、仕事内容をよく分析して、電気主任技術者の補助的な立場で仕事ができる求人かどうかを見極める必要があります。

そのためには、電気主任技術者の責務である「電気工作物の工事・維持・運用に関する保安の監督」業務をしっかりと認識しておく必要があります。そして、求人票に電気主任技術者の責務に相当する仕事内容があるかどうかが見極めるポイントになります。

ただし、求人票だけで判断するのはミスマッチの原因になります。必ず、求人の応募前後で追加の確認をしましょう。

応募前では「転職エージェントに求人の詳細・募集背景について確認すること」、応募後は「面接時の確認」が、仕事内容の確度高い確認方法です。このような手続きを踏むことで、転職成功しやすくなります。

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。