第二新卒と呼ばれる若い転職者は、転職成功しやすいといわれています。しかし、電気や機械の技術者(エンジニア)として転職する場合の情報は、あまり聞きません。

これまで技術職として働いてきたあなたにとっては、3年程度の短い経験で、転職成功できるのだろうかという不安があると思います。また、違う分野に挑戦しようと考えているなら、求められるものに応えられるだろうかという不安もあると思います。

さらに、「転職の進め方はどうすれば良いのか」「大手企業を狙いたいがどうしたら良いか」など疑問はたくさんあることでしょう。

今回は、私が勤めてきた経験や転職の体験を交えながら、主に大卒・大学院卒の第二新卒が転職する場合の要点を解説します。

第二新卒で転職するときの注意点

技術系の仕事に第二新卒として転職するとき、一般の第二新卒となにか違いはあるのでしょうか。

第二新卒は、新卒採用時の年齢からおよそ3年以内に転職する人たちを指します。つまり、大卒、大学院卒(修士卒)までを対象にすると、25~27歳くらいまでが対象です。

ここでは、大卒、大学院卒を対象にしていますので、下図に示す年齢層が対象です。

この年頃の転職者に対して、企業は技術力を期待していません。営業職はわかりやすく数字で実績が示せますが、技術職は3年程度で顕著な実績を残すことはまず無理です。

自分が新卒で入社して3年頃の状況を思い出してみると、他社で通用する技術力や実績などありませんでした。自分の後輩を見ても、3年目くらいから力を発揮してくる後輩がほとんどで、それまでは新入社員と大して変わりません。

これは技術力が、どれだけ現物の機器・設備を見て・触ってきたかに相関するからです。さらに扱うモノが変われば、3年程度の経験では全く役に立ちません。

したがって、転職の際に、変に飾って実績を強調しなくてもよいです。会社側は、際立った実績がないことは承知しています。

下の図は、第二新卒に特化した大手転職サイトを使って調べた求人の「求める経験・スキル」を示しています。

「実務未経験・第二新卒を積極採用中」であることが明示されています。また、求める人物像には、技術的なスキル・資格の記載が一切ありません。

また、この求人では、最も目立つ最初のところに「未経験OK」と記載があります。今までの経験とは関係なく、仕切り直したいというときにはもってこいの求人ともいえます

私が勤める電力プラントには、第二新卒で採用された社員がいます。彼は、全く畑違いの化学系学部・前職出身から機械担当として採用されました。技術的な知識や、仕事の進め方などは、「社会人3~4年目なら普通かな」といった具合です。

機械の技術力は、これから身につけていくところで、よく機械担当の上長に小言をもらっています。しかし、2~3年もすれば十分な戦力に成長するでしょう。

電力プラントは、下の写真に示すような設備があります。この内、機械設備が9割で、残りの1割が電気設備です。化学的な設備もありますが、ごく初歩的な化学的知識しか必要とせず、機械担当者がメンテナンスしています。

ちなみに、我が社は新卒を採らない方針なので、職場の人は全員中途採用です。

私も前職は鉄道の技術職で、電力プラントは未経験です。そのような人材でも採用する会社はありますので、自分の経験は気にせず転職活動をすると良いです

活かせる資格はあるか

また、第二新卒では、資格も必須とされることは少ないです。

業界内でしか通用しない(いわゆるツブシのきかない)資格は、持っている人材が少ないため、企業も入社してからの取得を前提と考えています。

つまり、転職者に求められる資格は、認知度の高い資格が多いです。電気系なら、「電気工事士資格」「電気主任技術者資格」、機械系なら「ボイラー技士資格」「エネルギー管理士資格」などです。

しかし実際の求人を見ると、必須ではなく「歓迎」としていることが多いです。

下図に実例を示します。これは、東京に本社を置くホーチキ株式会社の求人です。北海道から熊本まで全国に拠点がある防災設備のパイオニアです。

これには、わざわざ「※必須ではありません」として「消防設備士資格」「電気工事士資格」「防火設備検査員資格」を挙げています。

あなたがこれらの資格を持っていれば、面接などで大いにアピールすればよいです。しかし、取得していなくても気にする必要ありません。必須資格ではないのでマイナスポイントにはなりません。

ただし、この求人に記載のある資格は、難易度が高いものではありません。入社後1~2年のうちに取得を強く求められる可能性が高いです。

私の転職活動中にも、面接官から資格を持っていないことはとがめられることはありませんでした。一方、「入社してから1年以内に、〇〇の資格は取得してね」と言われたことはあります。

参考までに、採用試験時に各社から私が求められたのは、「電気設備施工管理技士資格」「電気工事士資格」「エネルギー管理士資格」「計装士資格」などです。

このように、転職時に資格が必須とされていることは、特に第二新卒において少ないです。したがって、何ら資格を持っていないとしても、気にせずに転職活動を進めると良いです

転職はスピード感が命

求人を探すときは、経験や資格の有無は一つのポイントですが、第二新卒の場合あまり気にしなくてもいいです。それよりも、柔軟に仕事を覚えていく貪欲さが大切です。

また、転職するなら早いほうがいいのは、技術系も同じです。大手転職サイトを運営する株式会社パーソルは、下の図のように、転職者の多くは20代であり、年齢が上がるほど数が少なくなる調査結果を公表しています。

引用:https://doda.jp/guide/age/

現在では、雇用対策法によって、正当な理由なく求人票に年齢制限を設けることができません。つまり、ほとんどの求人票が年齢制限無しです。

多少、「長期キャリア形成のため」などの理由で、上限を設けていることがあります。しかし、大抵が上限で、下限を示しているものは、まず目にすることはありません。

これは、企業の本音では若い人材がほしいということを表しています。

例えば、定年を60歳とした場合、40歳で採用すると、20年勤めることになります。しかし、25歳で採用できれば、35年勤められます。

採用にもコストが掛かり、企業は一度採用したら長く勤めてほしいと考えています。つまり、若い人材がほしいのです。

ブランクを作らず転職すると良い

技術職の場合は、常に新しい技術を学ぶことが仕事の質を高める上で重要です。会社には、下の写真のような業界誌が置いてあったり、自分で購読していたりします。

左が鉄道会社に勤めていたときに読んでいた業界誌です。右は現在購読している、発電に関する業界誌です。

これらは「鉄道電気」や「発電所技術」特有の技術について記載されていることが多いです。しかし、その時点での技術トレンドに沿って書かれています。このトレンドは、業界が変わっても通用するものです。

一旦業界を離れると、このような資料も読むことがなくなったり、減ったりします。それは、技術的に大きく不利になります。

したがって、転職するなら動き出しは早く、そして転職することを決めたら間を開けずに転職することがうまくいく秘訣です。

また、私が初めて転職したときは、悠長に構えていて「半年くらいでゆっくり探せばいいか」と考えていました。欲しい資格もあったので、それを取ってから探そうと考えていたのです。

私は転職サイトに登録して、転職活動を行いました。しかし、転職サイトに登録したのは、特に考えがあったわけではありません。友人が「とりあえず登録だけしてみたらいい」と言っていたのを思い出したから、「なんとなく」登録してみたのです。

その時、転職エージェントにいわれたのが下記です。

転職で間を空けるのは3ヶ月まで。3ヶ月を過ぎると途端に合格率が下がる。半年空けるなら正当な理由がいるが、資格取得は正当な理由にならない。働きながらでも取れる。

このようにいわれて、慌てて転職活動をはじめました。その時の経過が下の図です。

おかげで、転職活動を初めて2ヶ月くらいで、次の仕事が決まりました。

このように、転職活動は間を空けず早く動くことが大切です

転職サイトを使ってエンジニアの求人を探す

実際に転職活動をするときは、転職サイトを使うと、第二新卒でもOKの求人を探しやすいです。

下図は、20代の転職に強みを持つといわれる大手転職サイト「マイナビAGENT」と、技術系の求人に特化した転職サイト「MEITEC NEXT」です。

第二新卒に特化した転職サイトもありますが、あわせて大手転職サイトや技術系特化の転職サイトも同時に使うと転職成功しやすくなります。私も転職サイトは、「大手」「技術系特化」「準大手」の三社を使いました。

これは、転職サイトにより扱っている求人が違うためです。

企業が転職サイトに求人を載せるには、転職サイト運営会社に費用を払う必要があります。したがって、限られた採用予算の中で求人を出すには、効率よく求人を出します。つまり、求人を出す転職サイトを絞ります。

さらに、求人サイトには非公開求人があります。この求人は、転職エージェントを通じてのみ入手できる求人情報です。これも転職サイトによって持っているものが違います。

したがって、転職サイトを利用する側のあなたは、複数のサイトを利用することによって、多くの求人情報に触れることができます。これにより、希望する条件に合う求人やより良い条件の求人を見つけやすくなります。

第二新卒でも大手メーカーに転職することは可能

このような手段により、転職サイトに求人を出している大手メーカーに転職することも可能です。

下は、神奈川県に本社を置く、昭和電線ホールディングス株式会社の求人です。東京証券取引所1部上場の電線業界大手で、この求人では愛知県の生産工場における電気技術者を求めています。

さらに、下図は同じ求人の求める方の欄です。学歴(高専卒以上、理系出身)と技術職の経験必須という条件が記載されています。

これだけ見ると、当てはまる人はたくさんいると思います。中小企業においても、技術職で理系大卒は山程いるでしょう。

しかし、中小企業出身者が大企業を狙うときは、この記載だけではわからない、中小企業と大企業では求める社員の質の違いに注意する必要があります。

大企業の一般的な傾向として、「厳しくルールを遵守させる」「協調性を重んじる」「労働安全に厳しい」などがあります。以下、私が大企業に勤めたときの実態を例に取り、順に解説します。

・厳しくルールを遵守させる

会社によって厳しい分野は違いますが、私が勤めていた鉄道会社だと切符に関するルールは大変厳しいです。

例えば、通勤用定期を買うときに、料金が同じならより遠い区間の定期券を買っても良さそうです。しかし、これ認められません。

下の写真は、かつて使っていた定期券です。54,660円であることがわかります。

自宅と職場の関係は、下の図のとおりです。当時、54660円の同じ料金で、更に長い区間の「新橋-大山」が買えましたが、認められていなかったのです。

このルールに背き、不正を働くと、処分の対象です。ほかにも、駅で落ちていた5円玉をポケットに入れたのがバレて懲戒解雇になった人もいます。

このようなルールは、たくさんの社員を統制下で動かすためには仕方のないことです。事案が発生するたびに対処していたり、ルールが曖昧で例外事項が多かったりすると、社員をまとめる管理側に大変な労力がかかります。

したがって、あなたが面接を受けるときや、提出する職務経歴書などにルールを軽視するような内容があると、不合格になる可能性が大きいです。

・協調性を重んじる

大企業の仕事は、チームで行うことが多いです。そして、機械・電気系の仕事だと、写真のような大きな機械・設備を扱うことも珍しくありません。写真は、火力発電所のボイラーに空気を送り込む送風機です。

このような機械・設備を維持管理するには、1人ではできません。周りの仲間と助け合って仕事をする必要があります。

製紙会社で採用担当をしていたこともある技術者の人に話を聞くと、以下のように教えてくれました。

一番重んじるのは協調性だ。尖った人ではなく、周りと強調して仕事ができる人がほしい。

また、化学メーカーに勤める複数の友人も同様のことを教えてくれました。

これから考えられるのは、「ほかの優秀な社員を抑えて実績をあげた」という話より、「3年目までの若いチームをまとめて、チームとして実績をあげた」という話のほうが好まれるということです。

・労働安全に厳しい

労働災害とは、通勤や勤務中に発生する死傷事故のことです。プライベートのケガと違って、労災保険を適用します。また、労働災害発生し場合、企業は労働基準監督署に報告する義務があります。

要は、手続きが煩雑で余計な手間がかかります。しかも、私の知るほとんどの労働災害は、ルール逸脱です。つまり、通ってはいけないところをショートカットで通ったり、すべき措置を横着して省いたりして起こっています。

これは何を意味するかと言うと、管理者の社員統制ができていないということです。管理者は社員統制することが仕事です。労災が起こると管理者の評価が下げられます。さらに企業は、労働基準監督署に評価を下げられます。

したがって、企業は社員統制しやすい人を採用したがります。面接などの際には、労働安全を軽視することは厳に慎むべきです

このような点を中小企業がないがしろにしている、という意味ではありません。大企業のほうが、求められるレベルが圧倒的に高いという意味です。はっきり言って、息苦しいほどです。

大手メーカーなど大企業に転職を目指すときは、このような違いを意識し、面接などに挑めば転職成功しやすくなります。

まとめ

以上のように、大卒・大学院卒が第二新卒として技術職に転職する場合、技術力や技術的な実績を求められない求人がほとんどです。また、資格を持っていないとしても、あまり気にせず転職活動を進めることができます。

そして、転職において「若い」ということは、それだけで需要があります。それを無駄にしないように、転職すると決めたら早く動くことが大切です。その際、途切れなく技術的研鑽は積んでおくと良いです。

実際に転職活動を進めるときは、転職サイトを使うと求人を見つけやすいです。また、サイトを使うときは複数のサイトを使うと、転職成功する確率を上げることができます。

これは、転職サイトによって扱っている求人が違うからです。そのため、複数のサイトを利用することによって、希望する求人に出会いやすくなります。

最後に、第二新卒でも大手メーカーに転職することは可能です。ただし、大手メーカー(大企業)は、社員に求めている質が、中小企業の社員とは大きく違います。したがって、それを理解しないで転職活動を進めても成功しにくいです。

大手メーカーは、「ルールに厳しい」「協調性重視」「労働安全厳守」の特徴があることを十分理解して転職活動を進めましょう。これにより、転職成功しやすくなります。

技術者が転職するとき、多くの人が転職サイトを利用します。これは、それだけ良い条件で転職できるからです。

企業への履歴書・職務経歴書の送付やアポ取り、年収交渉など、面倒な仕事は全て転職エージェントが代行してくれます。これらを自分だけで行うのは現実的ではないですが、転職エージェントであればプロがしてくれます。

しかし、転職サイトは「対象地域」「対象年齢」「得意な分野(技術全般、製造業の技術・工場など)」で違いがあります。転職を成功させるには、これらの特徴を理解した上で進めなければいけません。

以下では、それぞれの転職サイトについて詳述しています。これらを理解することで、転職での失敗を防ぐことができます。